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登美 百年の物語
年を追うごとにいっそう土地の個性が映し出されてきました。

 まずまずの強さと、優しさ、柔らかさ、繊細さを持ち、緻密で凝縮感のあるワイン?渡辺直樹ワイナリー長は、登美の丘のワインの性格をこう表現します。 「決して濃く強いワインができる風土ではありません。この土壌や気候を生かせば、優しくて繊細で緻密なワインになる。それらを追い求めた時、土地の本領が発揮された優れたワインが生まれるのだと思います」。  ずらり並んだボトルは、フラッグシップ「登美 赤」の09年、04年、97年、90年、87年、76年*ヴィンテージ。前述のワイナリー長の言葉は、長年、登美の丘と向き合い続けて見えてきたひとつの答えであり、これらのヴィンテージにも見い出すことができます。  まず76年。このワインには他の5本と決定的な違いがあります。それはぶどうの樹。登美の丘では55年に欧州系ぶどう品種を本格的に植え付けました。が、84年の凍害で改植を断行。76年は改植前、55年のぶどうからつくられたワインなんですね。  次の87年は、凍害による改植後の最初のグレートヴィンテージ。そして、90年は「濃く仕上げることを意識していた時代です。実の成分のピークに収穫して、強く抽出する。今より約1ヵ月ほど早く収穫していました」。 「我々がワインに強さを求めた時代でもありました。それが登美の個性を表現するつくりなのか? 議論を重ねました。 結果、90年代後半からつくりの見直しを図るようになったのです」。無理なく抽出し、柔らかさや優しさを表現するほうが登美の特質が出るのではないか。同時に、ワインは蔵で熟すのではなく、畑で熟すのだという考え方にシフトしていきました。 「97年あたりから現在のスタイルに近づいています。ぶどうを畑で完熟させ、強く抽出しないつくりです」  折りしも98年~01年、登美の丘はぶどうの着色やアロマが不十分という事態に直面します。原因は土壌の水分ストレス。渡辺さんたちはいっそう土から考えるワインづくりへと邁進することになったのです。 「09年は、ぶどうの種が香ばしくなるまで熟させて収穫。新樽の比率を下げ、樽熟期間を短くしています」  土地の個性がぶどうに映し出される栽培と、ぶどうの持ち味が表現されるつくりへ。登美百年の歴史はそこに集約されてきたと言って過言ではありません。

こんなふうに剪定します。
渡辺直樹
ワイナリー長 渡辺直樹
1988 年サントリーに入社。登美の丘ワイナリーにて栽培・醸造技術開発を担当。その後ボルドー大学留学を経て、フランスの国家認定資格であるエノログ(ワイン醸造士)を取得。登美(赤・白)、甲州、塩尻メルロ、マスカット・ベーリーA 等の品質向上に取組み続け、2014 年4月より現職。
君島佐和子-文
ジャーナリスト/『料理通信』編集長
photographs by Tsunenori Yamashita