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登美 百年の物語
樹が眠っている間に未来のための作業をします。

 ぶどうの樹が眠りにつく12月から3月の間、登美の丘では、未来のための作業が粛々と行われます。ぶどうの樹の健康診断、剪定、そして、改植。スポーツ選手のシーズンオフ-身体機能の チェックやフォームの改造をしながら来季に向けて充電する-そんなイメージでしょうか。
「先々どんなワインを目指すのかという方向性をつくる意味で、これらの仕事は重要です」と渡辺直樹ワイナリー長は語ります。ふり返ってみれば、これまでシーズンオフにしっかり体づくり、畑づくりをしてきたから、 今の登美の丘の味わいがある、ということですね。
「剪定は、ぶどう栽培の作業の中でもとりわけ頭を使う仕事です」と渡辺さん。1本1本の樹と向かい合って、"見る →考える → 切る"を繰り返していく。その際、ぶどうの樹をどんな姿に形づくり、 どんな葉の配置にするかを思い描きながら、ハサミを入れます。葉の配置は、光合成量を左右しますから、房の付き具合や実の熟し度合い、収量に関わってきます。 つまり、剪定がその年のぶどうの質と量を決めるといって過言ではありません。
「それだけじゃなくて、来年、再来年、数年先の枝ぶりもイメージしながらハサミを入れることが大切なんですね」。今年形づくった枝ぶりの先に来年、再来年の枝が伸びていく。 今年の剪定が未来の枝ぶりを決めているわけです。渡辺さんは、剪定を「ぶどうの樹に対して、人間の意志を込めてハサミを入れること」と表現します。
 そして、もうひとつ、未来のための重大な作業が改植です。今年は3haの改植を行なっています。植え替えにあたっては、入念な土壌調査を敢行しました。 「土質はもちろん、地層の中の水の流れを見るためでもあります。それ次第で、より水はけの良い状態になるような畝の組み方、樹の植え方を考えるのです」。
 ワインとは土地の個性を表現するもの。であるならば、土壌の力が100%発揮される畑づくりをしよう。ぶどうの樹が眠る間こそ、登美の丘のスタッフは土と向き合う日々を送ります。 冬の間のこうした地道な営みの上に百年の歴史は築かれた。そして、未来へと続いていくのです。

こんなふうに剪定します。
渡辺直樹
ワイナリー長 渡辺直樹
1988 年サントリーに入社。登美の丘ワイナリーにて栽培・醸造技術開発を担当。その後ボルドー大学留学を経て、フランスの国家認定資格であるエノログ(ワイン醸造士)を取得。登美(赤・白)、甲州、塩尻メルロ、マスカット・ベーリーA 等の品質向上に取組み続け、2014 年4月より現職。
君島佐和子-文
ジャーナリスト/『料理通信』編集長
photographs by Tsunenori Yamashita