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登美 百年の物語
シャンパーニュと同じ瓶内二次発酵でつくります。

 登美の丘ワイナリーの冬の風物詩と言えば、スパークリングワインのデゴルジュマン、澱引きです。
 今年も1月下旬、「登美の丘 甲州 スパークリング2011」の澱引きが行われました。
 登美の丘ではシャンパーニュと同じ瓶内二次発酵でスパークリングワインがつくられています。瓶内での発酵がひと段落すると、働き終えた酵母が澱になるため、コルク栓をする前に澱を取り除く、それがデゴルジュマンです。澱を抜く時、どうしても液体が少量失われてしまうので、減った分を追加して栓をする。味の調整役としてドザージュ(補糖)もします。
「補糖の量は、澱引き前にテイスティングをして決めています」と語るのは、醸造スタッフの篠田健太郎さん。「その年のぶどうの出来やワインの仕上がりが反映されるんですね。今回はほぼゼロに近いんですよ」とうれしそう。「元々、11年は甲州の出来がすばらしく良い年でした。濃厚で、酸がしっかりしていて、厚みがある。その持ち味はスパークリングになっても変わらなくて、すばらしくバランスがとれているんです。補糖の必要がほとんどありませんでしたね」。
篠田さん、控えめに「かぎりなくエクストラ・ブリュットに近いと思います」とにっこり。ぶどうのポテンシャルの高さが、こういったところに映し出されてくるわけですね。
 今でこそ日本ワイン界にもスパークリングが増えましたが、この土地には、1910年代後半にスパークリングワインがつくられていたとの記録が伝わっています。百年近く前に発泡ワインが手掛けられていた事実に驚くばかり。グラスの中できらめく泡への人々の憧れを感じずにはいられません。
 この時期、篠田さんにはもうひとつ大切な作業があります。それは、澱引きに先立つルミアージュ(動瓶)。ボトルの頭を下に傾け、その傾斜を2週間ほどかけて少しずつ上げることで、澱を瓶口に集めるのです。瓶の中で澱が舞わないように、ゆっくり、そうっと。「毎朝9時に、1本1本、45度ずつ回しながら、角度を上げていくんですよ」。
 発酵を重ね、時間を重ね、手間も重ねてつくり上げる……。スパークリングワインの泡には登美の丘のスピリットが詰まっているように思えてなりません。

ルミアージュ(動瓶)とデゴルジュマン(澱引き)
篠田健太郎
篠田健太郎
1998年サントリー入社。研究所、登美の丘ワイナリー勤務などを経て、2009年から約3年にわたりボルドー大学に留学し、栽培、醸造について学ぶとともに、ワインの香りの研究を行う。2012年4月に帰国し、登美の丘ワイナリーにおけるワインの醸造、中味品質設計を担当。
君島佐和子-文
ジャーナリスト/『料理通信』編集長
photographs by Tsunenori Yamashita