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登美 百年の物語
土地と品種のマリアージュを求め続けてきました。

 「ぶどう棚」という言葉があるくらい、ぶどう栽培と言えば、日本では棚仕立てが一般的です。屋根状に広がる葉のあちこちから、色づく房がシャンデリアのようにぶら下がる様こそ、日本人が思い描くぶどうの姿。
 そんな光景も、日本ワインがますます活発化したら、変わっていくかもしれません。なぜなら、ワイン用ぶどうの場合、欧州にならって、垣根仕立てにするケースが増えているからです。
 登美の丘ワイナリーでも、欧州系品種の栽培が本格化するにつれ、また、ワインづくりにおけるぶどう栽培の重要度を認識するほどに、棚仕立てから垣根仕立てへと移行してきました。
「90 年代以降、垣根への切り替えを少しずつ進めて、現在は垣根6:棚4の比率です」と語るのは、登美の丘ワイナリーの栽培担当、吉野弘道さん。「棚のほうが収量は多いですね。垣根仕立ては量が採れない反面、味が凝縮します」。
特に、カベルネ・ソーヴィニヨンやメルロ、カベルネ・フランといった欧州系品種は垣根仕立てが適していると見ています。
「甲州、マスカット・ベーリーA、ブラック・クイーンといった日本の固有品種は棚仕立てにします。とりわけ甲州は樹勢が強く、先へ先へ伸びようとする性質がある。それを生かすには、こじんまり仕立てる垣根より、のびのび広がらせる棚のほうがいい」
 背よりも高く枝葉を巡らせる棚では、どうしても細部に目と手が届きにくいのに比べ、すべての葉を目と手の届く範囲に収まらせるのが垣根仕立て。「作業効率が良くて、コントロールしやすいですね」と吉野さん。より凝縮したぶどうを得るには光合成が大切で、光合成の効果を高めるには、枝ぶりや繁り方をコントロールしやすい垣根が向いている……「垣根仕立ては、ヨーロッパの伝統の中で確立された栽培法なんだなって、改めて思います」。
 実は、登美の丘では、大正2年頃から大正10 年頃まで試験的に垣根栽培に取り組んだ記録があります。指導に当たったドイツ人技師ハインリッヒ・ハムの伝授によるものですが、当時としてはかなり画期的だったことでしょう。百年の歴史を持つがゆえのエピソードです。

登美の丘で栽培する代表的な品種
吉野弘道
吉野弘道
学生時代にブルゴーニュ留学し、ブドウ栽培と醸造を学ぶ。また世界15 ヶ国、200 以上のワイナリーを視察。サントリーでのワインづくりを熱望し、2012 年サントリー入社。登美の丘ワイナリーにて自家ブドウ園栽培管理、設計開発を担当。
君島佐和子-文
ジャーナリスト/『料理通信』編集長
photographs by Tsunenori Yamashita