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登美 百年の物語
土地と品種のマリアージュを求め続けてきました。

 登美の丘ワイナリーの渡辺直樹技師長が今、大きなポテンシャルを感じている品種がプティ・ヴェルドです。
「この品種は、8月中旬から色づき始め、9月中旬過ぎにいっそう糖度を増し、色を蓄えていきます。10月に入ってさらに、味も着色も度合いを深める……秋に充実するタイプなんですね」。
 登美の丘の秋は、からりと晴れ上がり、夜の気温がぐっと下がって、理想のコンディションが続きます。
 「つまり、ここはプティ・ヴェルドの品種特性とマッチしているんです」。
 登美百年の歴史は、土地に寄り添う品種を探し続けた百年でもありました。どんなに一生懸命耕しても、人気や定評のある品種を植えても、土地と品種の相性が良くなければ、質の高い実りはもたらされません。技師長たちがより良い相性を求め続けた中で浮上してきたひとつが、プティ・ヴェルドだったのでした。
 プティ・ヴェルドは、故郷ボルドーでは補完品種としての位置づけにあります。色濃くスパイシーでタニックなため、アサンブラージュで加えられる量はマックスでも5~10%程度。「それが、ここ登美の丘で育てると、土地の性格が反映して、ぐっと優しく柔らかく香り豊かになるのです」。気候的にも土壌的にも高め合う関係なのでしょう、ボルドーの人たちも知らなかったであろう魅力が出現するのかもしれません。
「フランス語でtypicite (ティピシテ)と言います。適地適種、すなわち、その土地らしさとその品種らしさが最も引き出される関係ですね」と渡辺さん。
 料理とワインにマリアージュがあるように、土地と品種にもマリアージュがあるのですね。
 そんな適地適種の精度を上げるべく、登美の丘では畑を細分化して栽培と醸造を行なっています。水はけの良い畑には乾燥を好む赤系品種を、水分を抱え込みがちな畑には適度な水気を求める白系品種を。そうやって畑と品種の関係を見続けてなお、「この畑にはもっとふさわしい相手(品種)がいるのでは?」と思ったら、改植に踏み切る。そう、結婚相手を替える……。
「でも、ぶどうは一年に一度しか収穫できないから、相性を見極めるには何年もかかる。だから、僕は自分に言い聞かせます、『悠々として急げ』って」

登美の丘で栽培する代表的な品種
渡辺直樹
渡辺直樹 登美の丘ワイナリー技師長
1988年サントリー入社。登美の丘ワイナリーにて栽培・醸造技術開発を担当。その後、ボルドー大学留学を経て、フランスの国家認定資格であるエノログ(ワイン醸造士)を取得。登美(赤・白)、甲州、塩尻メルロ、マスカット・ベーリーA等の品質向上に取り組み続け、2007年より現職。
君島佐和子-文
ジャーナリスト/『料理通信』編集長
photographs by Tsunenori Yamashita