山崎蒸溜所
2020年9月30日
山崎蒸溜所の今。
新型コロナウイルスの影響で、山崎蒸溜所の見学が中止になってから約半年が経ちました。
蒸溜所は今どのような状況なのか、藤井敬久工場長が話します。

- 蒸溜所見学が中止になってからずいぶん経ちます。今の状況をどのように捉えていますか?
- 一言で言えば淋しいですね。蒸溜所に朝くる時、仕事をしている時、夕方帰宅する時、お客様がいらっしゃらないのを見るのはとても淋しいです。ただ、お客様がいらっしゃらないからといって手を抜くことだけは絶対にやめよう、またいつ来ていただいても良いようにいつも綺麗に整えておこう、という話はしています。
- ご案内するスタッフは、特に淋しく感じていると思いますね。自分たちの仕事ができない状況が長く続いているので。この前、蒸溜所見学をご予約いただいていたのに新型コロナウイルスの影響で急遽キャンセルとなってしまい、ご迷惑をおかけしたお客様向けにオンラインセミナーを行ったのですが、久しぶりにお客様と接することができるということで、彼らの意気込みはすごかったです。彼らがどれだけ準備に時間をかけたか。気持ちが伝わってきました。早く皆さんに来て欲しいなあと思います。
- 新型コロナ感染防止のために、どのような対策をしていますか?
- ウイスキーの生産は、変わらず24時間体制で行っています。その中で、検温、マスク、手洗いや消毒の徹底、ソーシャルディスタンスを確保するといった基本的なことをしっかりやりつつ、アクリル板を各所に設置したり、どうしてもスペースを確保できない作業は15分以内に終わらせるなど、従業員や協力会社の方々の健康、安全を第一に考えながら生産体制を維持するために、やるべきことを徹底してやっています。
- また、ウイスキーづくりには五感がとても大切で、それをお互いに伝え合うことで進めていく部分も多いのですが、今の状況は物理的にも心理的にも距離ができがちなので、コミュニケーションが疎かになることで品質に影響を及ぼさないように、特に注意しています。
- コミュニケーションはやはり重要ですか?
- 重要ですね。日々のコミュニケーションだけでなく、今は外との交流、たとえば東京のスタッフや、弊社の他の蒸溜所との交流もできない状況ですので、今の状況が収束したら、特に若手に勉強してもらうために、そういう他との交流を一日も早く再開したいですね。
- それから、みんなで集まって飲んだりすることが、ここまで我々の生活に大切なことだったんだなというのが、今回改めて分かりましたので、早くみんなで気兼ねなくワイワイ飲みたいですね。
- ところで、入社以来ずっと山崎蒸溜所の敷地内で仕事をしている工場長にとって、山崎蒸溜所とはどういう場所ですか?
- 今年58歳になりますけれど、22歳で入って58歳ですから、それをどう言うかですけども、まあ人生そのものですよね。ここしか知らない人生です。
- 弊社の創業者である鳥井信治郎の「やってみなはれ」の原点とも言える場所ですから、当時からある建物や設備でまだ残っているものもありますし、折に触れて「信治郎さんだったらどう考えるかな」、「ここがこうなっているのは、信治郎さんのこういう考え方からだろうな」と思うことも多々あります。こういった伝統を守りつつ、未来に向けて果敢に挑戦することこそが我々の大事な役目だと思っています。
- 最後に、山崎倶楽部会員の皆さまにメッセージをお願いします。
- 山崎蒸溜所で、30年以上ウイスキーづくりに携わってきて、世の中から振り向いてもらえないすごく苦しい時期を経て、ハイボールをきっかけに、また皆さんに愛していただけるようになって、大変うれしく思っています。
ファンの皆さんがいてくださったから、また盛り上がることができたんだと思うと、本当に感謝しかないです。ウイスキーや山崎を愛していただける皆さんのような方々がいらっしゃるからこそ、そういう方々に喜んでいただける何かを、なんとか生み出していきたいと思っております。
蒸溜所見学を休止せざるを得ない状況が続いておりまして、大変申し訳なく思っております。再開のあかつきには、皆さんのお越しを心からお待ち申し上げております。よろしくお願いいたします。
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