
山崎入門 vol.3
“ウイスキーづくりと水。”


水は、ウイスキーの命。

シングルモルトウイスキー山崎に関する基礎知識をご紹介する「山崎入門」。3回目の今回は、「ウイスキーづくりと水」について解説します。
水は、ウイスキーにとって命と言われるほど大切なもの。ウイスキーの初期工程のひとつである「仕込み」(麦芽中のデンプンを糖分に変えて甘い麦汁をつくる工程)に使われる「仕込水」は、ウイスキーの出来映えを左右するといっていいほど、重要な役割を果たします。
また、熟成を終えた原酒どうしをブレンドした後、製品に適したアルコール度数に加水する際にも、水は大切な役割を果たします。その水の性質が最終的なウイスキーの香味に大きな影響を及ぼすのです。
そのため、良いウイスキーをつくるには、良い水のある場所を選ばなければなりません。蒸溜所の場所を決める際には、良い水が見つかるまで各地を探し回り、適した水の候補が見つかったら、その水でウイスキーを試験的に製造します。そして最良の結果が得られる水が見つかるまで、何年もかけて「理想の地」を探しつづけるのです。
名水の地、山崎。

サントリー創業者・鳥井信治郎も、「理想の地」を追い求めました。「日本人の繊細な味覚に合ったウイスキーをつくりたい」との想いから、とりわけ日本的な風土を求め、長い歳月をかけて日本全国を踏破しました。そしてたどり着いたのが山崎の地だったのです。日本最古のモルトウイスキー蒸溜所・山崎蒸溜所の誕生です。


日本名水百選にも選ばれた清らかな水が今も湧く。
山崎周辺は、古から「水生野(みなせの)」と呼ばれ、水の豊かな里として知られていました。「日本書紀」をはじめ、「伊勢物語」や「枕草紙」などの中にも、山紫水明の里として描かれています。
豊臣秀吉が明智光秀を破った山崎の戦い(天王山の戦い)の際には、茶人・千利休がこの地を訪れて茶室を開き、竹林から湧き出る山崎の水で秀吉に茶を点て、侘び茶の世界を大成させたと言われています。
何百年も前から名水と謳われてきた山崎の水は、複雑で重厚なモルト原酒をつくるのに非常に適した性質を持っています。この水が、あの「シングルモルトウイスキー山崎」の唯一無二の香味を生み出す主役のひとりなのです。

一方、サントリー第2の蒸溜所がある白州地域の水からは、山崎とは異なる軽快でなめらかな「シングルモルトウイスキー白州」の香味が生み出されます。
今でも、山崎蒸溜所では清らかで良質な地下水を使ってウイスキーを仕込んでおり、毎朝職人たちが水のデータを集めているのですが、その品質は創業時と少しも変わらないといいます。「シングルモルトウイスキー山崎」は、山崎の地が悠久の時をかけて育んできた水を母とし、そこに溶け込んでいるこの地の風土をDNAとして、この地でしか生まれ得ない香りと味を現出させているのです。
次回の山崎入門は、「仕込み・発酵・蒸溜工程のつくり分け」についてお伝えします。お愉しみに。
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