WHiSKY on the Web ウイスキーミュージアムウイスキーを知る蒸溜の話 > 蒸溜の機能

蒸溜の機能

蒸溜は、単にアルコール度数を高めるだけと思われがちですが、実は四つの機能を持っています。

1.濃縮:主に沸点の違いを利用しての濃縮
ニューポット前述したように、蒸溜はアルコールが約80度で沸騰する性質を利用し(沸点の違いを利用)、蒸気を発生させこれを冷却、液体化させ、アルコールや香気成分などの揮発成分だけをとり出す仕組みです。
モロミを加熱した最初の頃は、沸点が低いものが多く、するどいにおいを持ったものが上がっていきます。
中間になるとバランスが良く、ウイスキーに適したものになります。
後半になると沸点が高いものが多くなり、重い匂いのものが多くなります。
この過程で三分の一が蒸溜され、三分の二が残ります。
モロミは約三倍に濃縮されます。

2.バランス:バランスの良い部分をとり出します
スチルマン一般的に初溜は5〜8時間かけて行われ、再溜には同等かそれ以上の長い時間がかけられます。
再溜の溜出液の最初の部分は前溜(ヘッド)と呼ばれますが、揮発性の高い成分のため鋭く華やかな香りがします。
この前溜の時間はわずか10〜30分程度です。
次いで、スチルマン(ウイスキーの製造工程の中で蒸溜を担当する職人)の判断でウイスキーになる中溜(本溜、ハート)に切り換えます。この溜出液は高い香りを放ち、熟成後のウイスキーを予想させるものです。
スチルマンは将来のウイスキーの姿を予想し、常にバランスの良い部分だけをとり出していくわけです。どの部分をとり出すかは、ウイスキーのタイプの設計上の問題です。
どのようなモルトにするか、というウイスキーの性格を構想しながら、バランスを見て、判断するわけです。
さらに中溜から後溜に切り換えます。
この中溜から後溜への切り換え時期は蒸溜の作業の中で最も難しい仕事といえます。
刻々と香りが変化し、この切り替えのタイミングでウイスキーの性格が決まる、ともいわれます。
検度器に流れるウイスキーを見つめ、香りをかぎわけ、品質を見分けるスチルマンの熟練の技が求められます。

3.好ましくない成分の除去:釜が銅製の理由
スチルポット発酵中に様々なものが生成されます。
中にはウイスキーにとって好ましくない香りをもった成分もあります。
そこで蒸溜によって、発酵中に生成されるウイスキーには適さない成分を取り除きます。
硫黄系の成分、とくに硫化水素は釜の銅と反応して取り除かれます。
蒸溜釜が銅製の理由は、こんなところにあるのです。

4.新たな成分の発生:蒸溜の不思議
蒸溜によって新たな成分が生成します。
加熱することで従来の成分が分解したり、新たに化合したりして新たな成分が出てくるのです。
初溜で起きるアミノ酸と糖との反応もこの一例です。また(フルフラールやダマセノン等の)特徴的な香りを持った成分が生まれたりします。

蒸溜の方法 蒸溜の機能 蒸溜とウイスキーの味との関係蒸溜釜の型と構造蒸溜に関するQ&A


サイトマップ