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ブレンダーは、単にモルトウイスキーとグレーンウイスキーのブレンディング(調合)を行うだけではありません。何百というタイプの、そして膨大な数の樽に貯蔵されているウイスキー原酒から、それぞれの個性を引き出し、ひとつの作品(製品)を作り上げていくという創造的な役割を担っているのです。そんなブレンダーの仕事について、サントリーの輿水(こしみず)チーフブレンダーにインタビューしてみました。
Q1.ブレンダーの仕事について教えてください。
A. 大きく分けると二つあります。まず、色々なタイプのウイスキー原酒を組み合わせて新しい製品をつくる仕事、それから、すでにある製品の品質の維持やリファインという仕事です。 サントリーの貯蔵庫には約100万樽のウイスキー原酒が眠っていますので、これらを定期的にテイスティングしてタイプ別に振り分けながら、どこにどんな原酒があるのかを常に把握しています。そうして、あの原酒とこの原酒を組み合わせたらこんなウイスキーができるなあ、というようなことを考えるわけです。Q2.具体的には毎日どのような仕事をしているのですか。
A. おもに午前中は、テイスティングをします。というのは、お昼前の時間がいちばん感覚が研ぎすまされて、集中力が高まるからです。ブレンダー室には、常時、数百点の原酒のサンプルが蒸溜所から送られてきますので、これらを数人のブレンダーで、テイスティングします。午後は、テイスティング結果の分析や、テストブレンドに充てています。また、新製品の企画会議もありますし、ときにはお客様向けのセミナー講師もしています。Q3.ブレンダーになるにはどのような資質が必要ですか。
A. そうですねえ、私は工学部の発酵生産科出身なのですが、知識はもとより、味や香りを瞬間的に捉える判断力がまず必要だと思います。味や香りはなかなか数値化できないものです。我々ブレンダーは、日頃から訓練を積んで、たとえば「華やかな」と表現したときには、具体的にはこういう味と香りを表す、ということをすり合わせています。ここまでくるのに結構トレーニングが必要です。Q4.すると技術者というより芸術家に近いのでは。
A. どうでしょう(笑)。創造的という意味ではそうかもしれませんが、あまり浮世離れした存在になっても困るんですよ。今の市場の動きはどうか、どういうウイスキーなら飲んでもらえるだろうか、と考えてモノづくりをする必要がありますから。また、好き放題に原酒を使っていたら会社がつぶれます(笑)。品質と価格のバランスを上手にとることも大切ですね。いろいろなセンスが求められる仕事かもしれません。![]() |