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ウイスキー映画大全


男と女編

『肉体の悪魔』

LE DIABLE AU CORPS
平和の訪れは2人の恋の終わり、
ストレート・ウイスキーは永遠に忘れられない大人の味。

肉体の悪魔

(1947 フランス)
監督/クロード・オータン・ララ
原作/レイモン・ラディゲ
出演/ジェラール・フィリップ、ミシェリーヌ・プレール、ドニーズ・グレイ、ジャン・バラス

(ストーリー)
20歳でこの世を去った天才レイモン・ラディゲの自伝的小説を、フランスの美男子ジェラール・フィリップを主人公に映画化した悲恋物語。第1次大戦末期のパリ、ある日フランソワ(ジェラール・フィリップ)は看護婦をしていたマルト(ミシェリーヌ・プレール)と出会う。マルトには従軍中の婚約者がいたが、フランソワは年上のマルトとの恋に落ちてしまう。やがてマルトはフランソワの子供を身ごもるが・・・。

1918年11月7日、この晩、第1次世界大戦が終わりを告げる。思い出のフレンチ・レストランで食事を終えたフランソワとマルトは別れがたく、バーのカウンターで肩を寄せ合っていた。混み合ったバーの中では、終戦を祝って人々が盛り上がっている。けれど戦争が終わることは2人にとって、この恋の終わりを意味していた。マルトがバーテンダーに「バラのカクテル」を注文するけれど、ベテランのバーテンダーは「ウイスキーでは?」とすすめる。かたわらのフランソワはマルトの身体を心配するけれど、マルトは「これが最後よ」とバーテンダーが差し出したストレート・ウイスキーを口にする。心配そうに「今夜は強いね」とフランソワが言うと、「なぜかしら?」と首をかしげながら飲み続けるマルト。フランソワもマルトと一緒にストレート・ウイスキーのグラスを重ねていく。

そのバーの名前はハリーズ・ニューヨーク・バー。今もパリのオペラ座近くで健在の店、フランスにありながらワインは決して置かないウイスキー通のための頑固なバー。休戦を祝う人たちが飲んで踊りフランス国歌ラ・マルセイエーズが流れる店内。ウイスキー・グラス片手に「これで終わりだね」と呟くフランソワ。「これが最後よ」と呟いたマルトの言葉通り、このストレート・ウイスキーが2人の恋を締めくくるお酒になってしまった。年上の女性との叶わぬ恋。ストレート・ウイスキーは、青年を少し大人にしてくれた。


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