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HIBIKI special interview 和紙デザイナー 堀木エリ子氏インタビュー前編 日本人の精神性を宿した「響」ラベル

和紙デザイナー 堀木エリ子氏インタビュー前編 日本人の精神性を宿した「響」ラベル

和紙デザイナー・堀木エリ子氏のプロデュースで生まれた、「響」を飾る和紙ラベルの素材。1500年の歴史を誇る和紙の里、越前に伝わる伝統技法を用いてつくられています。光が移ろい、奥ゆかしくも華やかな印象を醸す和紙ラベルには、どのような想いが込められているのでしょうか。堀木氏が語る、「響」和紙ラベル開発時のエピソードをご紹介します。

「響」と和紙、自然を敬する
想いを共に

Q:越前和紙のラベルを纏った「響」が誕生したのは1989年。和紙ラベルをプロデュースすることは、ご自身にとってどんなお仕事でしたか?

A:お話をいただいた時に思ったのは、「響」のボトルを手にする人に手漉きの越前和紙の魅力が伝わるものでなければならないということ。当時わたしは、和紙の世界に飛び込んで間もない頃で、使命感のようなものを感じていたんです。

構想を練りはじめたのは、「響」の中味や装いもまだ姿がない頃のことでしたから、どんな想いを込めて「響」をつくりあげるのか、ブレンダーやデザイナーたちにその点を深く聞きましたね。

いろいろな想いの中で根底となっていたのは、当時サントリーが企業理念として掲げ、「響」が具現化することを目指した “人と自然と響きあう”という言葉。これには深く共感しました。というのも、それは和紙づくりにも通じるものだからです。

陶芸やガラスは火の芸術と言われますが、和紙は水の芸術。すべての工程で水の力を借りますし、水が起こす偶然性によって和紙の仕上がりに表情が生まれます。日々そんな経験を重ねていたので、この言葉にはとても親しみを感じたんです。「響」と和紙は、もともと目指すものが同じだったのですね。

そして「響」は、サントリーが培ってきた技術の粋を結集した“和”のウイスキー。和の設えに似合う顔、日本を代表する佇まいとは、どうあるべきか…。そういう風に追求していきました。

Q:突き詰めていくと、どんなテーマが見つかったのですか?

A:それは、『和と洋の域を超える』ということでした。そもそもウイスキーは、海外から伝わったものを日本特有の気候や人に合わせてつくりあげたものですよね。そして、日本らしさを体現する「響」は、これから世界へと羽ばたいていくもの。まさに、和と洋の域を超えた存在になると感じたんです。

「響17年」のボトルを見ていただくと分かるように、ラベルの上下はまっすぐにカットし、左右は和紙らしさが際立つ手ちぎりで仕上げています。こうすることで、洋風のモダンさと和の落ち着きを共存させたんです。手ちぎりの表情は手作業でしか出せないのでとても手間が掛かるのですが、わたし自身とてもこだわった部分です。

※画像内の「響17年」は休売中

豊かな表情を生んだ越前の伝統技法

Q:和紙ラベルの表面には繊細な模様があり、見る角度によってさまざまな表情が現れますね。これには、どのような工夫が施されているのですか?

A:「響」の和紙ラベルは、三層を重ねあわせた構造になっています。それぞれ使う道具や方法が異なるため、組み合わせることで奥行感のある表情が生まれます。キラキラとした有機的な模様を描く三層目は、「ひっかけ」と呼ばれる越前和紙の伝統技法を取り入れたもの。

金型を使って三椏(みつまた)の繊維を汲み取り、あらかじめ漉いておいた二層の和紙表面に重ねて伏せるんですね。そうすると、まるで手品のように光を受けて輝く艶が生まれます。和紙の原料の中でも高級な三椏の繊維を使って漉いた、表面が輝く和紙のことを「光華紙(こうかし)」と呼ぶこともあるんですよ。

「響」の和紙ラベルに使用しているこの金型は、工房で代々大切に受け継がれてきた稀少なものです。この型をひとつ作るのに掛かる費用は、高級車1台分と言われるほど。金型を作るのも職人さんの手作業ですから、とても高価なんです。

「響17年」のラベルに使用している越前和紙。
複雑な地模様が浮かび、光を受けてやわらかな表情を描きます。

越前和紙の伝統的な「ひっかけ」技法に使われる金型。
和紙の表面に光と影をもたらします。
Q:「ひっかけ」の技法を取り入れたのはどうしてですか?

A:「響」にはその名の通り、さまざまな要素が響きあっています。清らかな水のイメージもあれば、四季の彩りという印象もある。日本的な侘び寂びとも言えますが、光と影が存在する奥深さがとても美しく表現されているウイスキーだと感じました。和紙において、光と影を表現できる術というのが、この「ひっかけ」という技法にあったんです。

それに、この金型はモダンさもある紋様ですから、「響」の印象にぴたりとはまりました。「ひっかけ」の技法を取り入れたのは、『伝統的なものを“現代の暮らし”に融合させたかった』というのが理由ですね。

それからわたしは、伝統は時代に寄り添いながら形を変えていく必要があるという考えも持っています。伝統は尊いものですが、伝統のまま立ち止まっていては次の世代に繋がりません。

多くの人に見てもらえる、触れてもらえる、使ってもらえる。そうした形に変えていかないと、伝統産業を守り、継承者を育てていくことはできないんですよ。未来に羽ばたいていく「響」に越前和紙の伝統を乗せて、世界に発信していきたいという想いも込めました。

「響」の和紙ラベルを通じて、たくさんの人に越前和紙を見たり触れたりしてもらう機会をつくることができました。ここ数年、「響」は国際的な酒類コンペティションで栄誉ある賞を受賞し、世界的に認められていますが、とても嬉しいことですね。日本のものづくり精神を宿す代表的な存在として、これからも広く愛される「響」となることを願っています。

「響17年」のラベルに使用している越前和紙。
複雑な地模様が浮かび、光を受けてやわらかな表情を描きます。

越前和紙の伝統的な「ひっかけ」技法に使われる金型。
和紙の表面に光と影をもたらします。

※画像内の「響17年」は休売中

堀木エリ子 (ほりきえりこ)

和紙デザイナー・株式会社堀木エリ子&アソシエイツ代表取締役
1962年生まれ。京都府出身。高校卒業後、4年間の銀行勤務を経て、手漉き和紙の商品開発や販売を手掛ける会社に入社。その後、1987年に呉服問屋に移り、和紙ブランドSHIMUSを設立。2000年に株式会社堀木エリ子&アソシエイツを設立し、「建築空間に生きる和紙造形の創造」をテーマに創作活動を続け、世界を舞台に活躍している。
ウェブサイト: https://www.eriko-horiki.com/portfolio/package_a/

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