ウイスキーの香味は、つくられる風土や気候に大きく影響を受けるというのはすでにご存知ですよね。では、どのくらい影響を受けるのでしょう?その比較に最適なのが、軽快な香味で日本のみならず世界のウイスキー通をも魅了する『白州』と、“ウイスキーの聖地”と呼ばれるアイラ島の中で最古の蒸溜所でつくられる『ボウモア』です。前者が深い森の中に位置する蒸溜所でつくられる一方、後者は荒波が打ち寄せる海辺に佇む蒸溜所でつくられています。どちらも育まれる環境を色濃く宿した個性豊かな表情が魅力。相反する気候風土の中でつくられた2銘柄をさっそくフライトしてみましょう。
それは、気候と風土。蒸溜所を見れば、ウイスキーの個性が見えてくる!
『白州』と『ボウモア』は、どちらもひとつの蒸溜所で育まれた原酒だけを使用したシングルモルトウイスキー。仕込みに使われるのは、それぞれの土地で育まれた良質な水です。また、森や海に囲まれた蒸溜所周辺の気候風土の中で5年10年と眠り続ける原酒は、樽を通して呼吸を繰り返すため、その土地ならではの個性が次第に色濃く宿るのです。
白州蒸溜所とボウモア蒸溜所、それぞれのバックグラウンドやつくりのこだわりを探ってみましょう。
標高約700mの深い森の中という、蒸溜所としては世界でも類をみないロケーションに位置する白州蒸溜所。高地ならではの澄んだ空気や冷涼な気候、花崗岩質の大地に磨かれた良質の天然水といった森の恩恵を最大限に活かしながら、匠たちの手で多彩に原酒をつくり分け、繊細なブレンドを重ねることで、軽快かつ複雑な奥行きをもつ『白州』の香味を生み出しています。
ボウモア蒸溜所が建つアイラ島は、スコットランド西南のインナーヘブリーディーズ諸島最南端に位置します。風が強い日にはまともに波しぶきを受けるという海辺にあり、海抜0mの貯蔵庫には潮の香りが満ちています。仕込み水にはピート層を通って湧くラガン川の水を使用し、伝統あるフロアモルティングで発芽させた大麦にピート香を纏わせるなど、海辺ならではの環境が反映されています。
育まれる気候や風土によって異なる個性を持つウイスキー2銘柄のフライト。それぞれが生まれた背景を知ることは、ウイスキーの奥深い世界を愉しむ大きな手掛かりになります。『白州』の軽快な味わいはウイスキー初心者でも飲みやすく、エレガントな磯の香りが広がる『ボウモア 12年』は、通な味わい。ストレートで味と香りをじっくり堪能するのも良し、料理とも相性抜群なハイボールでマリアージュを愉しむも良し。ウイスキーの奥深さを体感できる、とびきりユニークなフライトになりますよ!