サントリーホール オルガン プロムナード コンサート
12:15開演(12:00開場、12:45終演) 入場無料
2012年12月13日(木)
【曲目】

J.S.バッハ(1685〜1750):
前奏曲とフーガ ハ長調 BWV547
G線上のアリア(管弦楽組曲第3番 BWV1068から)
主よ、人の望みの喜びよ
協奏曲 ニ短調 BWV974(A.マルチェッロ「オーボエ協奏曲 ニ短調」による)

※1曲目はオルガン演奏、2〜4曲目はオルガン&サクソフォーンの演奏(編曲は演奏者による)

【出演者プロフィール】
オルガン:椎名雄一郎
椎名雄一郎 東京芸術大学音楽学部器楽科オルガン専攻卒業。同大学院音楽研究科修士課程修了。第1回ダラス国際オルガンコンクール第2位。第12回ライプツィヒ・バッハ国際コンクール第3位。NDR(北ドイツ放送局)音楽賞国際オルガンコンクール優勝。ウィーン国立音楽大学に留学し、満場一致の最優秀の成績で卒業。スイス、バーゼル・スコラカントルム音楽院に留学。日本のほか、スイス・オルガン・フェスティバルをはじめ、ドイツ、オーストリアを中心に欧州各地で演奏会を行なう。コジマ録音よりCD「バッハのオルガン解体新書」、「オルガン音楽のすすめ」、「平和の祈り」をリリースし、レコード芸術特選盤に選ばれる等、高い評価を受けている。現在、長崎・活水学院オルガニスト、活水女子大学音楽学部准教授。東京芸術大学非常勤講師。日本基督教団讃美歌委員会実務委員。日本キリスト教団吉祥寺教会オルガニスト。
サクソフォーン:長瀬正典
長瀬正典 東京芸術大学音楽学部器楽科サクソフォーン専攻卒業。静岡大学大学院教育学研究科修士課程(サクソフォーン、音楽教育専攻)修了。これまでに「レインボウ21 サントリーホール デビューコンサート」をはじめ、数多くの演奏会に出演。オーケストラのサクソフォーン奏者として名古屋フィルハーモニー交響楽団、浜松フィルハーモニー管弦楽団等に参加。1999年には中国浙江省、2008年にはオーストリア・ザルツブルクのコンサートツアーに参加するなど、国内外で幅広い演奏活動の他、後進の指導にも力を注ぐ。12年12月、椎名雄一郎とのCD「Air」をリリース。現在、浜松学芸高等学校芸術科音楽課程、常葉学園短期大学音楽科非常勤講師。文化庁「学校への芸術家等派遣事業」講師。サクソフォーンを岩本伸一、冨岡和男、須川展也、北山敦康、室内楽を冨岡和男、古楽演奏法を吉沢実に師事。
【出演者メッセージ】

パイプオルガンとサクソフォーン。意外な組み合わせとも思えるアンサンブルでバッハの名曲を演奏します。サクソフォーンは19世紀に発明された楽器で、バッハ自身この楽器の音色を知ることはありえませんでした。しかし、現代のオリジナル楽器復興により、当時の管楽器の音色を知ることができるようになると、サクソフォーンの響きに近い音色が当時もあったことがわかってきました。そこで今回は、サクソフォーンの音色で、バッハの名曲を演奏します。
12月といえばクリスマスシーズンです。まずはオルガン・ソロで、バッハの『前奏曲とフーガ ハ長調』です。この作品はバッハがクリスマスの時期に演奏したとされ、あふれるばかりのクリスマスの喜びが表れています。
続いて、サクソフォーンとともにバッハの名曲『G線上のアリア』と『主よ、人の望みの喜びよ』。そして最後にマルチェッロのオーボエ協奏曲を演奏します。バッハが鍵盤楽器のために編曲したことで有名になったこの作品を、今回は、バッハの編曲を元に再構成してみました。サクソフォーンの響きがバロック・オーボエの音に聴こえてくるようです。皆様のご来場をお待ち申し上げます。

(椎名雄一郎)

2012年11月15日(木)
【曲目】
メシアン(1908〜92):永遠の教会の出現
ラングレ(1907〜91):グレゴリオ狂詩曲
マルシャン(1669〜1732):レシ
トゥルヌミール(1870〜1939):『神秘的オルガン』から「顕現日のための幻想曲」 
【出演者プロフィール】
オルガン:青木早希 
小島弥寧子 東京芸術大学で鈴木雅明に師事。大学院在学中に渡仏し、E. ルブラン、E. ル=プラド、A. イゾワールに師事し、数々の国際コンクールに入賞する。ブルージュ国際コンクール名誉賞、グラナダ国際コンクール優勝、J. L.フローレンツ国際コンクール優勝、ニュルンベルク国際コンクール第2位。2008年シャルトル国際オルガンコンクールでは、聴衆賞・作曲賞と3賞を独占して審査員満場一致で優勝した。その後、2年間にわたるヨーロッパ、アメリカ大陸をめぐるコンサートツアーに対して、野村国際文化財団より助成金を得る。10年より文化庁の新進芸術家海外研修員として2年間フランスに派遣され、フランスオルガン音楽の伝統をさらに深く学ぶ。10年にはフランス・シャルトル大聖堂にて録音されたデビューCD『シャルトル大聖堂オルガンの響き』をリリース。現在フランス・カン市聖アンドレ教会、聖ピエール教会オルガニスト。日本演奏連盟、日本オルガニスト協会会員。
【出演者メッセージ】

7年になるフランス生活の中で、日々吸収している私の"フランス音楽"をお届けできたらと思います。
オルガンの音色、強弱の可能性を十分に生かした『永遠の教会の出現』は、中間部にかけての大きなクレッシェンドとその後、幕を閉じるまでのデクレッシェンドという緩やかなアーチ型の構造から成り立っていて、永遠の教会の出現と消失を暗示させる独特な世界を作り上げています。サントリーホールで、メシアンが長年務めた聖トリニテ教会のオルガンの壮大な響きを少しでも再現できたらと思います。
メシアンと同時代を生きたラングレは最後に演奏するトゥルヌミールの弟子でもあり、中世音楽に傾倒しながらも、19世紀以降のシンフォニックオルガンの特性を生かす多くの作品を残しました。『グレゴリオ狂詩曲』は中世音楽と交響的音楽がうまく融合した美しい作品の一つで、二つのグレゴリオ聖歌の旋律が豊かな和声とともに祈りのように繰り返され、最終的にはこの二つの旋律が一体となって堂々と幕を閉じます。
次に演奏する作品は、その時代もスタイルも一転した言わばフランス料理のメニューでいう'coup du milieu'(箸休め)のような作品です。18世紀パリで活躍したマルシャンの『レシ』は、その語源réciter(暗唱する)からもわかるように、レシ鍵盤において、美しく素朴な旋律が、どこか懐かしく静かに歌われます。
最後に演奏するトゥルヌミール作曲の『顕現日のための幻想曲』は、キリストが神の子として公に現れたことを祝う顕現日のために作曲された、非常に即興的でまさに幻想的な作品です。シャンパンの泡が勢い良く沸き立つようなエネルギーと軽快さ、何世紀にも渡る歴史が刻まれた石造のカテドラルのような重々しさのなかに、パリジェンヌのような自由奔放さが見え隠れするフランス音楽の魅力をお楽しみください。

(青木早希)

2012年10月18日(木)
【曲目】
フェルナン・リッシュ(1906〜57):アンダンテ・カンタービレ

フランシスコ・コレア・デ・アラウホ(c.1576,77〜1654):
歌のスタイルによる第4旋法のティエント 第16番

フランシスコ・コレア・デ・アラウホ:
分割鍵盤のための、右手のソロのティエント 第27番

J. S. バッハ(1685〜1750):キリエ、聖霊なる神よ BWV 671
デュリュフレ(1902〜86):ソワソン大聖堂の鐘の主題によるフーガ op. 12
【出演者プロフィール】
オルガン:小島弥寧子
小島弥寧子 玉川大学芸術学科オルガン専攻卒業。武蔵野音楽大学大学院音楽研究科修士課程修了。フェリス女学院大学ディプロマコース修了。大学院在学中、福井直秋賞受賞。ドイツ、スイス、スペイン、イタリア、アメリカなど各地のマスタークラスに参加。2003年度横浜みなとみらいホール・オルガニスト・インターンシップ修了。国内及びヨーロッパ、アメリカ各地でソロ、アンサンブル、オーケストラや吹奏楽団との共演などの活動を行う。またオルガンコンサートの企画、コーディネートにも力を注いでいる。これまでにオルガンを富永哲郎、伊藤繁、酒井多賀志、藤枝照久、早島万紀子、三浦はつみ、武久源造に師事。現在、築地本願寺副オルガニスト、武蔵野大学非常勤講師。日本オルガニスト協会、日本オルガン研究会会員。
【出演者メッセージ】

ドイツとの国境に近いフランスのアルザス地方に、かのシュバイツァーの生家があるカイザスベルクという小さな村があります。中世のままの街全体はうっすらと赤れんが色で、古い塔にはコウノトリが巣を作って住んでいる、絵本の世界そのままの美しいところです。村の入り口にある、13世紀に建てられた聖十字架教会のオルガニストを50年も務めていた大切な友人が、この5月に亡くなりました。コンサートは、オルガニストで、作曲家でもあった彼のお父さん、フェルナン・リッシュが作曲した、平和に満ちたアンダンテ・カンタービレで始めます。この曲はおそらく日本で初めて演奏されることになると思います。曲の最後は、聖十字架教会の鐘を模倣した音形で静かに終わります。
その後時代をずっとさかのぼって、17世紀のスペインのアラウホの、性格の異なるティエント(スペインで用いられた器楽様式)を2つ選びました。スペインのオルガニストから、苗字ではなく名前で「コレア」と親しみを込めて呼ばれるほど愛されている彼の作品は、この国独特の歌い回しやリズムが、非常に魅力的です。
続くバッハのコラール前奏曲は、足鍵盤に讃美歌のメロディが置かれています。彼はあまり音色の指示を楽譜に残しませんでしたが、この曲には "organo pleno"と自ら書き入れています。英語で言うところの "full organ" で、楽器全体が喜んで歌ってくれることでしょう。
コンサートの終わりは、リッシュと同時代に活躍したデュリュフレの、同じく鐘の音をモチーフにした作品を演奏します。石造りの大聖堂の中では、最初は鐘のメロディを耳で追うことが出来ても、前の音が残響によって残されて、次第にどれが今鳴っている音なのかよくわからなくなってきます。26年かけて日々息を吹き込まれた大オルガンによって、サントリーホールの響きの豊かな空間の中に、音の渦が満ちる瞬間を楽しみにしています。 

(小島弥寧子)

2012年9月13日(木)
【曲目】
デュプレ(1886〜1971):プレリュードとフーガ ロ長調 op. 7-1
フランク(1822〜90):カンタービレ

フォーレ(1845〜1924)/ジャン=フィリップ・メルカールト編曲:
『ペレアスとメリザンド』op. 80から「糸を紡ぐ女」「シシリエンヌ」

ヴィドール(1844〜1937):オルガン交響曲第6番 op. 42-2 から フィナーレ 
【出演者プロフィール】
オルガン:ジャン=フィリップ・メルカールト
塚谷水無子 ©MUSE Tokorozawa ベルギー出身。18歳でベルギー全国音楽コンクール「プロ・シヴィターデ」第1位。フランス国立ナンシー音楽院にてジャン=フィリップ・フェッツァーに師事し、オルガン部門で金メダルを獲得。その後、パリ国立高等音楽院でオルガンをオリヴィエ・ラトリー、ミシェル・ブヴァールに師事。2005年プルミエ・プリを得て卒業。ベルギーではブリュッセルのベルギー王立音楽院にてジャン・フェラーに師事し、08年修士号を取得、モンス王立音楽院にてクラシック作曲法を学び07年修士号を取得。07年、ジルバーマン国際オルガンコンクール第2位、09年、ブルージュ国際古楽コンクールオルガン部門第2位。03年から1年間、札幌コンサートホールKitaraの第6代目専属オルガニストを務めた。任期中日本各地で演奏会及びオーケストラとの共演を行い、オルガンの指導にもあたった。現在、所沢市民文化センターミューズ ホールオルガニスト、那須野が原ハーモニーホール オルガンアドヴァイザー、聖グレゴリオの家宗教音楽研究所講師、片倉キリストの教会オルガン教室講師。
【出演者メッセージ】

サントリーホールのシンフォニックなオルガンの響きをご紹介するために、19〜20世紀のフランス・オルガン作品のプログラムを組んでみました。
デュプレは当時パリで最も有名なオルガニストで、世界中で活躍しました。『プレリュードとフーガ ロ長調』は、彼がまだ学生のころに作曲されたもので、エネルギーにあふれた華やかな曲です。続いてフランクの『カンタービレ』は、パリのトロカデロのオルガン披露演奏会のために作曲された静かな美しい曲です。フランス・ロマン派オルガン音楽の中でも、最も美しい旋律を持った作品の一つといえます。次は、フォーレの非常に有名なオーケストラ作品から2作品の編曲を演奏します。「糸を紡ぐ女」と「シシリエンヌ」は、どちらも一度は耳にされたことがあるメロディーだと思います。この作品では、オルガンの美しいフルートの音色をお聴きいただけます。最後のヴィドールの『オルガン交響曲第6番』から「フィナーレ」は、シューマンの『謝肉祭』から大きく影響を受けた曲です。弾むようなリズムと喜びに満ちた曲想で、初めて聴く方もきっと好きになっていただけると思います。

(ジャン=フィリップ・メルカールト)

2012年7月19日(木)
【曲目】
J. S.バッハ(1685〜1750)/塚谷水無子 編曲:G線上のアリア
J. S.バッハ:トッカータとフーガ ニ短調 BWV 565
マスネ(1842〜1912)/塚谷水無子 編曲:タイスの瞑想曲
デュボワ(1837〜1924):トッカータ ト長調
J. ウィリアムズ(1932〜)/塚谷水無子 編曲:ダースベイダー・ファンタジー
【出演者プロフィール】
オルガン:塚谷水無子
塚谷水無子

東京芸術大学楽理科卒業後、オランダへ。パイプオルガンを今井奈緒子、ジャック・ファン・オールトメルセン、ジャン・ボワイエに、即興演奏をヨス・ファン・デア・コーイ、ピアノと室内楽をヴィム・レーシンクに師事。アムステルダム音楽院、デン・ハーグ王立音楽院修士課程を首席で卒業。アムステルダム音楽院在学中は、国費留学生としてリヨン国立高等音楽院に派遣される。コンセルトヘボウはじめヨーロッパおよび日本のフェスティバルやコンサートに多数出演。またクラシック作品の編曲、委嘱作品の世界初演から日本の旋律をモチーフにした即興演奏まで、ジャンルは多岐にわたる。近年は青島広志との公演シリーズが好評。国内外でラジオ番組や新聞、雑誌にてインタビュー多数。

【出演者メッセージ】

皆さんこんにちは。"パイプオルガンで聴きたいあの名曲"をセレクトしました。
バッハの「トッカータとフーガ ニ短調」はディズニー映画『ファンタジア』で使われて以来、パイプオルガンの定番となりました。 楽器の王様、パイプオルガンは数々の音色が楽しめる楽器。サントリーホールの楽器の素晴らしさとホールの響きを味わってほしくて、お馴染みの「G線上のアリア」「タイスの瞑想曲」を演奏致します。パイプオルガンの癒やしの響き、音のパレットをお楽しみ下さい。 パリのオペラ座の近くにマドレーヌ寺院と呼ばれるギリシャ建築のような素敵な教会があります。あのサン=サーンスやフォーレが活躍した教会です。今回演奏するデュボワもマドレーヌ寺院でオルガニストを務めた人。フランスならではの華やかで楽しい、バッハとはひと味ちがう「トッカータ」をぜひ聴き比べてくださいね!
お楽しみ企画は、映画『スターウォーズ』でお馴染みの「ダースベイダー・ファンタジー」。 サントリーホールで聴けるなんて、ちょっと面白いでしょう? パイプオルガンのキレイ、音楽のチカラを感じてもらえれば嬉しいです。 それでは、サントリーホールでお会いしましょう!    

2012年6月21日(木)
【曲目】
L. マルシャン(1669〜1732):グラン・ディアログ
B. パスクィーニ(1637〜1710):かっこうの主題によるトッカータとスケルツォ
P. ペレス(1961〜): 7つのプレリュード からI、II、III、V、VII
E. トレス(1872〜1934):祈り
J. S. バッハ(1685〜1750):われら悩みの極みにありて BWV 641

シンフォニア ニ長調

【出演者プロフィール】
オルガン:青田絹江
青田絹江

国立音楽大学器楽学科オルガン専攻卒業。卒業時に武岡賞受賞。リヨン国立高等音楽院を一等賞で卒業。吉田實、X. ダラスに師事。チェンバロとオルガンの歴史的奏法をJ. W. ヤンセンに師事。その後ウィーン国立音楽大学およびミラノで研鑽を積む。M. ラドゥレスク、L. ギエルミに師事。パリ国立高等音楽院上級課程修了。M. シャピュイ、O. ラトリーに師事。1988年第1回武蔵野市国際オルガンコンクール入選、武蔵野市長奨励賞受賞。89年トゥールーズ国際オルガンコンクール第2位。国内外で演奏活動を行っている。国立音楽大学および宮城学院女子大学講師。東京カテドラル関口教会聖マリア大聖堂オルガニスト。

【出演者メッセージ】

今回のプログラムは、フランスとイタリアのバロック期の作品、フランスとスペインの現代、そしてバッハで構成いたしました。
サントリーホールの大オルガンに備わった豊かな音色で、異なる様式の色彩感をお楽しみいただけたらと思います。
オープニングは、リード管をふんだんに使ったルイ・マルシャンの傑作『グラン・ディアログ』です。作曲家の指示通りに様々に変わる音のコントラストが楽しめます。
2曲目は、イタリアの可愛らしいバロック作品、ベルナルド・パスクィーニの『かっこうの主題によるトッカータとスケルツォ』。素朴なフルートの音色が、森で囀る「かっこう」の声を模倣します。 3曲目のパブロ・ペレス作曲『7つのプレリュード』は、イタリア・トリエステ国際作曲コンクール入選作品で、原曲のピアノ用作品をオルガン用にアレンジいたしました。続くスペインの作曲家エドゥアルド・トーレスの『祈り』と同様、どこか日本の香り漂うノスタルジックな雰囲気を感じさせます。
最後はJ. S. バッハの、美しい装飾コラール作品『われら悩みの極みにありて』と、カンタータ第29番「神よわれら汝に感謝す」の中の作品『シンフォニア』で締めくくります。『シンフォニア』はフランスのオルガニスト、マルセル・デュプレやアレクサンドル・ギルマンによってオルガン独奏用に編曲されており、そのダイナミックな作風は、大音量の響きと相まって、サントリーホールの空間を「希望のエネルギー」で満たすことでしょう。
東日本大震災の復興への祈りを込めて演奏させていただきます。

2012年5月17日(木)
【曲目】
メンデルスゾーン(1809〜47):ソナタ第3番 イ長調 op. 65-3
D.ロックレア(1949〜):フェニックス・プロセッショナル
北村ゆい(1983〜):Tomorrow (Pray For Japan) 〜東日本大震災の犠牲者に捧げる〜

キリ〜高尚(岩手県)

ネモトシャクナゲ〜威厳(福島県)

萩〜柔軟な精神(宮城県)

J. S. バッハ(1685〜1750):フーガ 変ホ長調 BWV552/2
【出演者プロフィール】
オルガン:マーガレット陳
マーガレット陳

米国インディアナ大学を最優等で卒業し、音楽修士、オルガン演奏音楽博士を取得。1988〜2001年、聖アンドリュー教会のオルガン奏者兼聖歌隊マスター、及びシンガポール交響楽団の正オルガニストを務める。ロバート・ショウ、セルジュ・コミッショナー、マレク・ヤノフスキ、オッコ・カムらの指揮者と共演。オルガン・コンサルタントとして、シンガポールのヴィクトリア・コンサートホール、クアラルンプールのペトロナス・フィルハーモニックホール等においてパイプオルガン設置に積極的に関わる。2000〜10年イリノイ州ハイランドパーク・トリニティ教会で音楽イベント「Music in Trinity」の運営及び演奏に携わった。ソリストとしてアメリカ、ヨーロッパ、アジアで活躍している。現在、シンガポール在住。

【プログラム・ノート】

メンデルスゾーン(1809〜47):ソナタ第3番 イ長調 op. 65-3
メンデルスゾーンが、生涯で10回訪問することになるロンドンを初めて訪れたのは1829年のことである。かの地で作曲家は、音楽愛好家から広く支持されていただけでなく、ヴィクトリア女王夫妻にもたいへん高く称賛されていた。
1844年、英国のCoventry and Hollier出版社は、メンデルスゾーンにオルガン独奏曲(voluntaries)の作曲を依頼する。メンデルスゾーンは出版者のコヴェントリーに「"Voluntary"という言葉が何を意味するのかわからないのですが」と返信を出したうえで、6曲のオルガン・ソナタを作曲した。6曲とも複数の楽章をもち、古典・ロマン派のソナタ・サイクルにとらわれることなく自由に作曲され、1曲ずつ異なった性格を持っている。コラールに基づく主題と変奏であるコラール・パルティータの形式をとるソナタ第6番の第1楽章のように、コラールの旋律を取り入れたものもある。
『ソナタ第3番 イ長調』は、「コン・モート・マエストーソ」のセクションで始まり、締めくくられる。それに挟まれるかたちで、手鍵盤で奏される二重フーガとペダルによるコラール旋律「深き淵よりわれ汝に呼ばわる」が現れる。メンデルスゾーンの6曲のソナタ、および3曲の『前奏曲とフーガ』(1837)は、ドイツ・ロマン派のオルガン・レパートリーをたいへん豊かなものにした傑作である。オルガン・ソナタ完成から2年後の1847年、メンデルスゾーンは発作に見舞われ、11月4日、38歳の若さで世を去った。(マーガレット陳)

D.ロックレア(1949〜):フェニックス・プロセッショナル
『フェニックス・プロセッショナル』は、オルガン、ブラス・クインテットとパーカッションのための『フェニックス・ファンファーレとプロセッショナル』から生まれたオルガン独奏曲である。原曲の『フェニックス・ファンファーレ』は、1979年、ニューヨークのユニオン神学校の委嘱で作曲された。作曲者のダン・ロックレアはノースカロライナのウェイクフォレスト大学の教授でコンポーザー・イン・レジデンスを務めている。
彼は、演奏者への手紙で作品について次のように記している。「大震災の悲劇に見舞われた日本に、“フェニックス(不死鳥)”は最もふさわしいテーマに思えます。フェニックスは絶望の淵からはい上がる力の象徴であり、まさにそれは、(私が知りうるかぎり)日本の人々の姿なのです。」(マーガレット陳)

北村ゆい(1983〜):Tomorrow (Pray For Japan) 〜東日本大震災の犠牲者に捧げる〜
「Tomorrow (Pray For Japan)」は、マーガレット陳氏による本公演のための委嘱作品です。
2011年の春に、東日本大震災から間もなくこの話をいただき、ニューヨークでチャリティー活動に参加しながら、どんな曲にしようかと毎日考えていました。そんなとき、Pray For Japanという、世界各地の方々がツイッターで東日本大震災のことについてつぶやいたものの中で、感動するつぶやきをまとめたウェブサイトを知りました。遠くから被災地を応援していた私には、短く綴られた愛あふれる言葉の数々に涙が自然と流れ、日本人であることを改めてとても誇りに思いました。東日本大震災で最も被害が大きかった三県(岩手・宮城・福島)の県花と、その花言葉からインスピレーションを受けてこの曲を書きました。
第1楽章は岩手の県花のキリの花で、花言葉は「高尚」。「世界で唯一災害時に暴動が起きぬ国」と世界各地で讃えられた日本ですが、ひとりひとりの胸の内はきっと色んな葛藤があると思い、どんな状況にも光を見つけ出す強さをイメージしました。第2楽章は福島の県花のネモトシャクナゲで、花言葉は「威厳」。これは原発との問題に日々立ち向かう県の方々と、遠くから原発の処理に駆けつけ、国を守ってくださる方々への感謝と敬意を込めて書きました。第3楽章は、一番被害が大きかった宮城の県花、萩で、花言葉は「柔軟な精神」。あのような悲惨な事態になっても、常にこれからの事を考えていかなければならない現実は、その場にいるその瞬間がつらい人たちには過酷なことだと思います。それにも関わらず、あんなに迅速に、街も、道路も、生活も復興に向かって動き出した日本という国の底力を目の当たりにし、世界中が驚きました。助け合いの精神で困難を乗り越える素晴らしさを次の世代にも伝えていくことを誓い、音にしました。
最後になりましたが、東日本大震災でお亡くなりになられた方々のご冥福と、どんな時にも思いやりを忘れず、優しい言葉を掛け合い、笑顔を心がけている被災された皆様とご家族の方々の明るい「明日」を願って、そして日本の未来を作り上げる残された私たちの強さと、より早い国の復興を信じて、この曲を聴いていただけたら嬉しいです。(北村ゆい)

J. S. バッハ(1685〜1750):フーガ 変ホ長調 BWV552/2
バッハの記念碑的な『クラヴィーア練習曲集第3部』の最後を飾るこのフーガは、5声で書かれている。しかし私には、「3」の数字でこの曲を捉えたほうがわかりやすいように思える。この曲の調性はフラット3つの「変ホ長調」。フーガは3つの主題を持ち、Aセクションは36小節、Bセクションは45小節、Cセクションは72小節――それぞれ3の倍数である。そして、これら3つの主題が最後のセクションで結び合わされるため、この作品を三重フーガと呼んでもよいように思われる。バッハがどのような数のゲームを施したのかに想いをめぐらすのは楽しいが、バッハの精神は、もっと超越したところにあったに違いない。すなわち「三位一体」の信仰である。“恐ろしいまでのシンメトリー”を持つこのフーガは、弾き手にも聴き手にも大きな歓びを与えてくれる、実にすばらしい作品である。(マーガレット陳)

2012年4月19日(木)
【曲目】
J.アラン(1911〜40):リタニー(連禱)
リスト(1811〜86):降霊
エルガー(1857〜1934):威風堂々第1番 ニ長調 op. 39
ギルマン(1837〜1911):ソナタ第1番 ニ短調 op. 42から 第3楽章 アレグロ・アッサイ
【出演者プロフィール】
オルガン:朴 素賢

韓国に生まれ、ソウルの梨花女子大学校でオルガンを学ぶ。ドイツのフライブルク音楽大学で、ジグモンド・サットマリーに師事してディプロマを取得した。ケルン音楽大学でドイツ国家演奏家資格を取得した後、さらにオランダのユトレヒト芸術専門学校とフランスのストラスブール音楽院で研鑽を積む。第10回オーデンセ国際オルガン・コンクール&音楽祭2004(第3位)や、国際オルガン・コンクール「Premio Battipaglia 2004」(第3位)をはじめ、数々のコンクールで入賞を果たす。 現在、ソウルの永楽教会および普門第一教会のオルガニスト。梨花女子大学校と長老会神学大学校で講師を務めている。 これまでに、ドイツ、フランス、オランダ、イタリア、ポーランドを含むコンサートツアーを行っている。

【出演者によるプログラム・ノート】

J.アラン:リタニー(連禱)
ジャン・アランはフランスのオルガニスト、作曲家。『リタニー(連禱)』は、アランのもっとも有名な作品で、スコア冒頭には次の言葉が記されています。
「キリスト者の魂が、苦悩のなかで神の慈悲を請うほかないとき、魂は、その激しい信仰をもった祈りを、際限なくいくども繰り返す。理性には限界があり、ただ信念のみがその飛翔を追い求めることができる。」

リスト:降霊
フランツ・リストは、アッレーグリの『ミゼレーレ』とモーツァルトの『アヴェ・ヴェルム・コルプス』をもとに『システィーナ礼拝堂での降霊』を書き、オルガン・ファンタジアとしました。自身の手紙のなかで、この作品を次のように分析しています。
「『ミゼレーレ』では人間の惨めさと苦悩が声となり、『アヴェ・ヴェルム・コルプス』では、永遠かつ無限の慈悲と、神のすべてを包み込む恩寵が歌で答える。これらは、災いや死に対する神の愛の勝利を明らかにする、最も崇高な神秘といえるだろう。」

エルガー:威風堂々第1番 ニ長調 op. 39
1901年に作曲した管弦楽作品『威風堂々第1番』を、エドワード・エルガーが“再利用”したものです。1902年6月に戴冠式を行うエドワードVII世が『威風堂々』のトリオをたいへん気に入られていると聞き、エルガーは、トリオの部分にベンソンによる「希望と栄光の国(Lang of Hope and Glory)」の歌詞をつけた音楽にしました。「戴冠式頌歌」として用いられたこのメロディは、いまでも「希望と栄光の国」として公式行事の行進の音楽でよく演奏されます。オルガンの人気レパートリーでもあります。

ギルマン:ソナタ第1番 ニ短調 op. 42から 第3楽章 アレグロ・アッサイ
世界的に著名な19世紀フランスのオルガニスト・作曲家アレクサンドル・ギルマンは、その魅力的な作品と高く評価された演奏で、オルガン芸術を広めることに重要な役割を果たしました。「交響楽派」と呼ばれる“シンフォニックな”オルガン演奏は、比類ないクオリティと音域をもつカヴァイエ=コル・オルガンの発展に多くを依っていますが、ギルマンは交響楽派の確立に不可欠な存在でした。ソナタ第1番ニ短調の輝かしいフィナーレ、第3楽章は、そのシンフォニックなスタイルを如実に示しています。

2012年3月15日(木)
【曲目】
ワーグナー(1813〜83)/ルメア編曲:ワルキューレの騎行
C. フランク(1822〜90):前奏曲、フーガと変奏曲
ポンキエッリ(1834〜86)/山口綾規編曲:オペラ『ジョコンダ』から「時の踊り」
【出演者メッセージ】

ワーグナーの「ワルキューレの騎行」をいつかオルガンで弾いてみたい!そう思い続けて早や20年。思い立った当初は、私の技量がまるで足りておらず、びっしり音符の詰まった譜面にただただ目まいがしそうでしたが、今回やっと実現に漕ぎつけました。ワーグナーの楽劇のみならず映画やCMなどで広く知られるオーケストラの名曲を、ここサントリーホールの立派なオルガンで演奏できることを大変嬉しく思っています。

2曲目は、ワーグナーをはじめとするドイツ・ロマン派に影響を受けた、フランクの作品を演奏します。
最後は、ディズニー映画『ファンタジア』でも取り上げられたポンキエッリ作曲の「時の踊り」です。きっとご存じのメロディだと思います。

お昼のひととき、オーケストラにも匹敵する、オルガンの豊かな色彩感を存分にお楽しみください。

【出演者プロフィール】
オルガン:山口綾規

早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。東京芸術大学音楽学部別科オルガン専修を経て、同大学院修士課程音楽研究科(オルガン)修了。オルガンを田中由美子、ブライアン・アシュレー、廣野嗣雄に師事。東京を中心に、アメリカ、中国、マレーシアなど、国内外で積極的に演奏活動を続けている。クラシックからジャズ、ポピュラーまで、ジャンルの垣根を越えた多彩なレパートリーには定評がある。2011年にはクイーンズスクエア横浜のクリスマス・イルミネーション「シンギング・ツリー」の音楽制作を担当、作編曲をはじめ、後進の指導など、活動のフィールドは多岐に亘る。日本オルガニスト協会会員。全日本ピアノ指導者協会(PTNAピティナ)正会員。昭和音楽大学非常勤講師。

2012年2月23日(木)
【曲目】
ヴィエルヌ(1870〜1937):『24の幻想的小品集』から

大聖堂 op. 55-3

朝の歌 op. 55-1

太陽への讃歌 op. 53-3

ガーゴイルとキマイラ op. 55-5

ウエストミンスターの鐘 op. 54-6

【出演者メッセージ】

盲目のオルガニスト、ヴィエルヌの『24の幻想的小品集』から「大聖堂のある街」をイメージした5曲を選びました。

「ガーゴイルとキマイラ」は、パリのノートルダム寺院の回廊から街を見下ろす守護神としての怪物像のこと。
対話のような、じゃれあっているような、とてもめまぐるしい作品。色々な音色がひっきりなしに出てきます。
サントリーホールのオルガンは強弱をつけられる鍵盤が二段あり、この曲ではその二つの鍵盤の掛け合いがメイン。
そのうちの一つは、演奏台の両側に見える赤いよろい戸状のシャッターが開閉しているので視覚的にも分かります。
注目してみてください。

そして、最後の「ウエストミンスターの鐘」はこのプログラムの中では一番知られている曲でしょうか。
学校のチャイムで有名なメロディーがテーマです。

寝静まった街に臨む大聖堂、朝靄の中次第に人々が活気づく朝を迎え、そして全てを輝かせる太陽の圧倒的な力強さ。
ガーゴイルとキマイラが見下ろす中、街中に鐘が響きわたる…という、ある街の一日を体感してください。

【出演者プロフィール】
オルガン:高橋博子

東京芸術大学音楽学部オルガン科卒業、同大学院修了。安宅賞受賞。明治安田生命クオリティオブライフ文化財団の奨学金を得て、ドイツ国立ハンブルク音楽大学を卒業し、さらに平和中島財団奨学生として同大学の国家演奏家試験を最優秀で合格。オルガンを今井奈緒子、W.ツェラーに師事。1999年ツェレ・ニーダーザクセン国際オルガニスト・コンクール、2000年北ドイツ放送局(NDR)音楽賞国際コンクールともに優勝。審査員長であったG.レオンハルトから絶賛される。2000年ハノーファー万博で二夜にわたってソリストとして招かれたのをはじめ、霧島国際音楽祭(ザビエル教会)など各地での演奏会、劇場版「名探偵コナン」(堂本一揮役)などTV・映画出演、企画等と多方面で活動している。新宿文化センター専属オルガニスト、明治学院非常勤オルガニスト、日本基督教団筑波学園教会オルガニスト。日本オルガニスト協会、日本オルガン研究会会員。

2012年1月26日(木)
【曲目】
デュプレ(1886〜1971):プレリュードとフーガ ト短調 op. 7-3
J. アラン(1911〜40):フリギア旋法によるバラード
C. フランク(1822〜90):コラール第2番 ロ短調
【出演者メッセージ】

人は、踊るように生き、歌うように生きている…。
1月のプロムナードコンサートのプログラムを考えながら、私はそんな感覚にとらわれました。

デュプレの作品、前奏曲(プレリュード)とフーガ。
美しい色彩に満たされた響きの前奏曲に続くフーガは、8分の6拍子。舞踏のリズムです。
時を刻みながら、ただひたむきに。
踊り続けるかのように生きる人間の姿に思いを馳せました。
アランの作品。
バラードとは民謡のことです。思わず懐かしくなるような旋律に、理由もなく涙が溢れてしまいそうです。
最後はフランク。
コラールとは、神さまを讃美する歌を意味します。これは、フランクによる祈りの音楽だと感じました。

フランス近現代の3作品を、サントリーホールのオルガンによる豊かな音色とともにお楽しみ頂けましたら幸いです。

【出演者プロフィール】
オルガン:浅井美紀

東京芸術大学音楽学部器楽科オルガン専攻卒業、同大学院音楽研究科修士課程修了。安宅賞およびアカンサス音楽賞受賞。横浜みなとみらいホール・オルガニスト・インターンシップ修了。オルガンを池田泉、廣野嗣雄、早島万紀子、三浦はつみに、チェンバロを小島芳子に、通奏低音を今井奈緒子、廣野嗣雄に師事。これまでに東京芸術大学助手、青山学院高等部講師を務めたほか、全国各地における演奏会、オーケストラや合唱との共演、オルガン見学会や公開講座の企画・演出等も積極的に手がけている。現在、青山学院高等部オルガニスト、水戸芸術館主催「幼児のためのパイプオルガン見学会」オルガニスト。日本オルガニスト協会、日本オルガン研究会会員。

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