サントリーホール オルガン プロムナード コンサート
プラハ音楽院とプラハ音楽アカデミーでヤロスラフ・トゥーマに学んだのち、1999年からアムステルダム音楽院でジャック・ファン・オールトメルセンに師事。98年にリュブリャナ、99年にヴィリニュスで開かれた国際オルガンコンクールで第1位を受賞。青少年のためのヨーロッパ音楽コンクール欧州連合から「踊る天使」賞を与えられた。2000年には、第4回武蔵野市国際オルガンコンクールで第1位とJ. S. バッハ賞を併せて獲得。10年には、南ドイツとチェコのバロック音楽におけるオルガン演奏の歴史的演奏習慣に関する研究により、プラハ音楽アカデミーから博士号を授与された。ピアニストとしてもしばしば活動。世界各国で演奏、マスタークラスの開催、コンクールの審査を行い、複数のCDをリリースしている。今後の活動としては、チェコ国営放送との「歴史的オルガン」プロジェクトの企画が予定されている。
J. S. バッハの音楽を演奏することなく真のオルガン奏者になることはできない、という言葉があります。『パッサカリア』や『フーガ』などの、複雑な対位法によって華やかに彩られ、聴く人に深い印象を残すそのオルガン作品は、人間の魂と尊厳が求めるものを満たしてくれます。私にとって、それはまさしく人生の糧でした。国際コンクールで第一位と特別賞を受賞した都市、東京でふたたび演奏できること、美しく大きなオルガンを備えたサントリーホールで、私の愛する作品を皆さまにお聴きいただけることを嬉しく思います。
リサイタルではいつも、聴く人を喜ばせ、対比と多様性を与え、楽器の魅力を最大限引きだすよう心がけています。ヴィーデルマンの『ノットゥルノ』は戦争のあった1942年、彼の妻に捧げられた作品です。終演後、来場者の方々から温かいコメントをいただくなかで、音楽の色彩という点で、この作品は特別であると確信するようになりました。ヴィーデルマンは、プラハを拠点として国内外で活躍した、20世紀チェコを代表するオルガン奏者です。
締めくくりには、チェコ音楽の珠玉の一曲、スメタナの『わが祖国』の第1曲「ヴィシェフラト」を選びました。編曲者のヨゼフ・クリチュカは名教師として知られるプラハのオルガニストで、スメタナの友人、チェコ音楽の熱心な擁護者でした。ロマン派のオルガンは、使用するストップを増やすことで、各種の管楽器や弦楽器の音色を模倣し、オーケストラに近い効果を上げることに成功しました。こうした進化のおかげで、オルガンは誕生から数世紀を経た今もなお、どのような音楽も演奏することができる楽器として、活躍し続けているのです。
(パヴェル・コホウト)
サントリーホール
0570-55-0017
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