サントリーホール オルガン プロムナード コンサート
武蔵野音楽大学大学院音楽研究科修士課程修了。横浜みなとみらいホール オルガニスト・インターンシップ・プログラム修了。国内外のマスタークラスにて研鑽を積む。各地のコンサートホールや教会でのソロ活動のほか、オーケストラや吹奏楽団、合唱団との共演を行う。佐渡裕&シエナ・ウインド・オーケストラによるディズニーのオフィシャルCD『ディズニー・オン・ブラス』にゲストミュージシャンとして参加。これまでにオルガンを酒井多賀志、池田泉、藤枝照久、三浦はつみ、志村拓生、早島万紀子に師事。現在、昭和音楽大学非常勤講師。トート音楽院渋谷講師。フェリス音楽教室講師。立正佼成会大聖堂オルガニスト。日本オルガニスト協会会員。
幕開けは、ムッファトの『トッカータ』です。ザルツブルク、ローマやパリなどで学んだムッファトは、イタリアやフランスの様式を得て、作品の中で表現しようとしたため “国際人”といわれます。第10番はゆったりとした付点リズムを伴う導入部に始まり、軽快なフーガ風の部分へと続く、リュリのフランス風序曲を彷彿とさせる壮麗な作品です。
『涙のパヴァーヌ』は、「流れよ、わが涙」と題されたダウランドのリュート付き歌曲の器楽用作品です。当時ヨーロッパで大流行し、多くの作曲家によって編曲されました。シャイデマンは、伝統を受け継ぎつつ自身の装飾法を駆使して、古典的で静かな曲想に仕上げました。
1856年、若き23歳のブラームスは、クララ・シューマンに『前奏曲とフーガ イ短調』を贈りました。対位法に熱中していた時に書かれたこの作品では、バッハの初期の前奏曲の影響が色濃く見られます。フーガは主題の反行形や拡大形を用いつつ、音量やリズムにより緊張感を増していくロマン派のフーガです。
オルガニストとしてのカルク゠エーレルトは、ドイツではなかなか評価を得られず、イギリスやアメリカで多くの演奏活動を行いました。『三部作』は1930年にロンドンで開催されたカルク゠エーレルト・フェスティヴァルのために書かれた作品です。第1曲「伝説」は、ソナタ形式を土台とし、色彩豊かな和声の中に響く5音音階的なモティーフが印象的です。
私が近年特に興味を持って取り組んでいる4人の作曲家の作品です。お楽しみいただければ幸いです。
(野田美香)
サントリーホール
0570-55-0017
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