サントリーホール オルガン プロムナード コンサート
1992年、フランス生まれ。ストラスブール音楽院でF. ジャコブ、F. ルフェーヴル、D. モレールらに学んだ後、オーストリアのブルックナー私立音楽大学上級課程コースに留学。リヨン国立高等音楽院では、F. エスピナス、R. シュルンベルジェらに師事。2017年、ソシエテ・ジェネラル社から奨学金を授与されるなど、優秀な成績を修めている。18年、最優秀の成績でリヨン国立高等音楽院のオルガン演奏の修士号を取得。在学中は、フランス各地の教会でリサイタルを行うほか、フランス国内のオーケストラや合唱団と共演。15年より、フランス・リヨンのアノンシアシオン教会の正オルガニストを務める。また、ラジオ・フランス・モンペリエ・フェスティバルのトークイベントに参加するほか、J. P. ルゲ、G. アミらフランス現代作曲家との共同制作など、現代音楽の普及活動にも積極的に取り組んでいる。18年9月、第20代札幌コンサートホール専属オルガニストに就任。
今回のプログラムは、オペラをイメージして選曲しました。オペラでは、ひとつの物語のなかで、恋する登場人物たちのさまざまな感情が描かれます。曲調や性格の異なる各作品には 、恋する気持ちを歌うものもあれば、失恋を歌うものもあり、再会の喜びや新たな未来への希望を見出すこともできるでしょう。
J. S. バッハの「シンフォニア」は、もともとヴァイオリン独奏のために書かれたものです。バッハは、ふたつのカンタータでこの旋律を取り上げており、華やかな管弦楽に編曲しています。今回演奏するオルガン独奏版は、フランスの作曲家デュプレによって編曲されたもので、現在も世界中のオルガニストが好んで演奏しています。
モーツァルトの『クラリネット協奏曲』は、彼の死の約2ヶ月前に作曲された作品です。その静かで美しい「アダージョ」は、モーツァルトの作品のなかでも、もっとも有名な旋律のひとつでしょう。オペラ『魔笛』も、クラリネット協奏曲とほぼ同時期に書かれた作品です。このアリア 「愛の喜びは露と消え」 は、ヒロインのパミーナが、主人公タミーノが沈黙の試練を課されているとは知らず、彼から拒絶された絶望の思いを歌う場面です。曲を通して、彼女の心音を表わすようなリズムが伴奏で打たれるのが特徴的です。
シューマンの『ペダル・フリューゲルのための練習曲』第4番 は、彼の歌曲のように美しい作品で、そのロマンティックな主題は、ふたりの恋人たちが二重唱を奏でるかのようです。たがいを探し求め合うドラマチックなエピソードが途中に挟まれた後、再び主題が奏でられ、ふたりの輝かしい愛が歌われます。
ヴィドールの「トッカータ」は、『オルガン交響曲第5番』の終楽章です。この交響曲では、ひとつの主題が、全楽章を通じて現われます。トッカータの楽譜の全ページにわたって繰り返される16分音符は、作品に強い推進力を与えています。
(シモン・ボレノ)
サントリーホール
0570-55-0017
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