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第46回サントリー音楽賞受賞記念コンサート
広上淳一と京都市交響楽団

【日時】
2017年9月18日(月・祝) 18:00開演(17:30開場)
※公演日をクリックしたページよりチケットを購入いただけます。
【曲目】

武満徹:フロム・ミー・フローズ・ホワット・ユー・コール・タイム
~5人の打楽器奏者とオーケストラのための~

ラフマニノフ:交響曲第2番 ホ短調 op.27

【チケット発売】
サントリーホール・メンバーズ・クラブ先行発売
5月22日(月)10時~26日(金)
一般発売 5月29日(月)10時~




「微熱の愛情」による予期せぬ化学反応~広上淳一と京響の10年

山田治生(音楽評論家)


京都市交響楽団 第610回定期演奏会©Tatsuo Sasaki

3月25日、26日、京都市交響楽団は、京都コンサートホールでマーラーの交響曲第8番「一千人の交響曲」を演奏して、自らの創立60周年の掉尾を飾った。指揮はもちろん常任指揮者兼ミュージック・アドヴァイザーの広上淳一。満員の聴衆から喝采を受ける「一千人の交響曲」は、まさに日本を代表するオーケストラの演奏であった。
そんな彼らは、2014年度サントリー音楽賞の受賞者であり、その受賞記念コンサートが9月18日にサントリーホールで開催される。


広上淳一©伊藤菜々子

京都市交響楽団(通称:京響)は1956年に日本で唯一の地方自治体直営のオーケストラとして創設された。広上淳一が初めて京響を指揮したのは1990年。キリル・コンドラシン国際指揮者コンクールに優勝して6年後のことだった。
「井上道義さんが音楽監督になられて、京響を変えるぞと意気込んでおられた頃です。井上さんに『京響にデビューしろ』と言われたのです。でも京響の最初の印象は最悪でした。当時は、日本のオーケストラ全体がモラルの低い時代で、京響にも、演奏中、プロとして燃えるのは恥ずかしい、感動をした顔をしちゃいけないという誤解をしていた楽員が多かった。それから10年くらい京響には行かなかったのですが、大友(直人)さんの時代に1年に1回呼んでもらうことが4,5年続きました」
そして2008年に京響の常任指揮者に就任した。その時、広上はアメリカのコロンバス交響楽団の音楽監督も務めていた。
「当時、コロンバス響の音楽監督をやっていたので、京響には興味がなかった。楽員も僕に興味を持っていなかったでしょう。それでも、ヨーロッパやアメリカのオーケストラではシェフをやったことがあったが、日本ではシェフをやったことがなかったので、コロンバス響と兼務でいいならばということで引き受けました。そのときはコロンバス響に思い入れがあり、まあ、あり過ぎて、後に理事会とケンカをすることになりますが(2008年秋にコロンバス響を退任)。あの頃の京響は、親方日の丸の風土が音として出ているようなオーケストラでした。一期目(最初の3年間)は、コロンバス響との出来事のショックで、京響ではそんなに一生懸命にやりませんでした。

でもリハーサルを通して、京響のメンバーの能力が高いことに気づいた。まだまだ上に行ける地力を持っていることがわかりました。彼らは自分たちのポテンシャルの高さを意識したこともなければ、シェフからそういうことを言われたこともなかったのでしょう。たまたま3年目の半ば頃でしたか、リハーサルで私は素直に『あなたたちはすごい能力を持っているよ』とボソッと言ったのです。スルーした楽員もいましたが、何かが楽員たちに残ったのだと思います。
その頃から、私とオーケストラの信頼関係が好転し始めました。京響を変えようと思わなかったから、京響は変わった。要は、化学反応なのです。予期しない幸いな化学反応でした。偶然です。彼らはモチベーションがあがり、私は『良い演奏を続けよう。そのために最善を尽くそう』とことあるごとに言ってきました。そして彼らがうまくやったときにはそれを褒めました。彼らが僕の言葉を素直に受け取ってくれたのがうれしかったですね。素直であることは伸びるポイントです。
微熱の愛情です。冷たいのはダメ。熱血過ぎるのもダメ。程よい愛情は浸透する。こんなに強いものはありません。コロンバス響とは蜜月過ぎました。京響とは、9年、10年かけて、楽員と僕が愛情を持ち続けている。お互いの愛情が深まったのです。今は、リハーサルでほとんど何を言わないでも、彼らは、僕の考えていること、やりたいことがわかっています」


サントリー音楽賞受賞記念コンサートでは、武満徹の「フロム・ミー・フローズ・ホワット・ユー・コール・タイム(From me flows what you call Time)」とラフマニノフの交響曲第2番が演奏される。
武満晩年の大作「フロム・ミー・フローズ・ホワット・ユー・コール・タイム(From me flows what you call Time)」は、創立100周年を祝うニューヨークのカーネギー・ホールからの委嘱に応えて作曲された。初演は、1990年に小澤征爾指揮ボストン交響楽団とカナダの打楽器グループ、ネクサスによってカーネギー・ホールで行われた。
「カーネギー・ホールに感謝する意味で書かれた曲で、世界中のホール、特にサントリーホールに対する感謝を込めてこの作品を演奏します。サントリーホール一杯に鳴らされる打楽器の美しい音色とオーケストラの融合を楽しんでいただけたらと思います」
ラフマニノフの交響曲第2番は、海外のオーケストラ、あるいは、サイトウ・キネン・オーケストラとの共演など、ここぞという時に取り上げてきた、広上の伝家の宝刀というべき曲。
「コロンバス響の音楽監督就任を決める演奏会でも取り上げました。失恋の歌です。私そのものです(笑)。誰にとってもわかりやすく良い曲。そして程よく長い。今の京響をアピールするには最適の曲だと思います。満を持して演奏させていただきます」


©伊藤菜々子
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