サントリーホール チェンバーミュージック・ガーデン 20192019年6月1日(土)~6月16日(日) 会場 ブルーローズ(小ホール)

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ディスカバリーナイト Ⅰ

工藤重典(フルート) 大萩康司(ギター) インタビュー

  • 工藤重典(右)と大萩康司(左)工藤重典(右)と大萩康司(左)

「ディスカバリーナイト」は、クラシックの名曲と秘蔵の作品を織り交ぜたプログラムをお届けするコンサート。ライブならではのトークを交えて、平日の19:30から開催します。
フルートの工藤重典さん、ギターの大萩康司さんは今回、デュオでの共演が初となります。6月12日の演奏会は、室内楽の新たな発見に満ちたナイトカルチャーを楽しむ刺激的なひとときになりそうです。

*6月12日(金)「ディスカバリーナイトⅠ」 公演情報・チケット購入はこちら

高坂はる香(音楽ライター)

お二人は今年初めて共演されたばかりで、今度の「ディスカバリーナイト」が2回目の共演(デュオでは初)だそうですね。

工藤:大萩くんは、僕の旧知の友人のギター奏者、福田進一のお弟子さんで、なかでも群を抜いてすばらしい才能を持っていますから、ずいぶん昔から知っていました。でも、これまでなかなか共演する機会がなかったんです。

大萩:工藤さんには、僕がまだ16歳の頃、福田先生について参加したフランスのモルジーヌでの講習会で初めてお会いしました。そのあと、神奈川県立音楽堂で工藤さんと福田先生の共演を聴く機会がありました。僕にとっては、ギターの室内楽演奏を聴く初めての経験で、フルートと一緒だとギターってこんなことができるんだ!と衝撃をうけたことを覚えています。そんな工藤さんとデュオで演奏させていただける日がくるなんて、幸せです。

工藤:そんなことがありましたか。福田進ちゃんとは、ピアソラの「タンゴの歴史」の本邦初演や、世界初レコーディングなどもしている、本当に古い付き合いですからね。今や弟子の世代として、大萩くんはじめ世界で認められる優れた奏者がたくさん出てきて、日本のギター界は本当にすごいと思います。

  • インタビュー終了後の演奏動画撮影よりインタビュー終了後の演奏動画撮影より

今回お二人は、ラヴェルの「ハバネラ形式の小品」とパガニーニの「協奏的ソナタ」で共演されます。

工藤:どちらもフルートとギターのためのオリジナル作品ではありませんが、演奏する機会はよくあります。まずラヴェルのほうは、もともとヴォカリーズという歌声のための曲。そしてパガニーニのほうは、原曲はギターとヴァイオリンです。

大萩:パガニーニはヴァイオリンの名手でしたから、この組み合わせだと、ギターはだいたい伴奏の役割で使われることが多いんです。当時付き合っていた彼女なのか……、あまり達者でない人がギターを弾くことを想定していたことも、その理由の一つです。でもこの「協奏的ソナタ」は、ギターが上手だった別の友人のために書いているので、どちらの楽器も対等に活躍しています。

工藤:そのヴァイオリンのパートを、今回はフルートで吹きます。ヴァイオリンとフルートは音域も近いし、メロディ楽器同士という共通点があります。一方で違うところとしては、まずヴァイオリンは低音でも大きな音が出せるのに対して、フルートは低音が小さくなるという点。そして、フルートには重音が鳴らせません。そこで、分散和音を使ってヴァイオリンを模倣するところもあります。
そして一番大きいな違いは、フルートは酸素の補給が必要だというところ。ヴァイオリニストは息を吸っている間も音が出せるけれど、僕たちはそうはいきません(笑)。ギター奏者には、ブレスが入るタイミングを踏まえてうまく調整してもらう必要が出てきます。

大萩:そうですね。フルートとの共演では、まさに歌の息遣い、フレージングそのままの歌う表現がありますから、それを感じながら僕もあわせていきます。

工藤:ヴァイオリンやオーボエは芯のあるしっかりした音が鳴るけれど、フルートってやっぱり、風の音がする楽器なんですよね。軽やかで、色でいうならブルーという感じ。

ギターとフルートの音を合わせた時の魅力は、どこに感じますか?

大萩:まずギター奏者にとっては、音量的なバランスを作りやすいです。ヴァイオリンやチェロがフルパワーの音を出すと、ギターは完全に聴こえなくなってしまいますから……。

工藤:その意味では僕たちも、ギターと演奏しているとより音楽的になります。音量の大きな楽器と一緒だと、こちらもどうしても頑張ってしまう。それに対して、ギターやハープのような撥弦楽器との相性はとてもよく、力むことなく、豊かな表現を求めることができるのです。

大萩:しかも今回はブルーローズ(小ホール)というサロン空間での演奏ですから、じっくり聴いていただくにはぴったりですね。

  • チェンバーミュージック・ガーデン「ENJOY! ディスカバリーナイトⅡ」2016年6月チェンバーミュージック・ガーデン「ENJOY! ディスカバリーナイトⅡ」2016年6月
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サントリーホール ブルーローズには何か思い出がありますか?

大萩:以前、チェンバーミュージック・ガーデンに出演した時は、弦楽カルテットとギターの共演で、全員19世紀の楽器にガット弦を張って演奏することに挑戦させていただきました。そうすると、PAなしで十分に成立するのです。これは大きな発見でしたし、貴重な経験でした。

工藤:僕はチェンバーミュージック・ガーデンには初めて出演するので、とても嬉しいです。いつも横目で見ていましたから(笑)。

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工藤さんのブルーローズ初登場は、1987年、福田進一さんとのデュオだそうです。

工藤:ああ、そうでしたか! ブルーローズは響きにとてもアットホームな感触があってとても良いホールです。また、大ホールにも別の魅力がありますね。今思えば、当時の東京には、こういうクラシック専用のホールは他にありませんでしたから、最初はあまりの響きの良さに面食らうところがありました。それから時がたち、演奏家はもちろん、聴衆の耳もサントリーホールと一緒に育ってきたところがあるのではないでしょうか。

お二人それぞれ別の共演者と演奏する作品について伺います。まず大萩さんは、チェロの横坂源さんとのデュオで、ヴィラ=ロボスシューマンを、またヴァイオリンの辻彩奈さん、ヴィオラの田原綾子さんが加わったカルテットで、トゥリーナピアノ四重奏曲(ギター編曲版)を演奏されます。

大萩:チェロとギターは音域が近く、一方で発音の方法は異なります。そんな二つの楽器を合わせることで聴こえてくる音はなかなか魅力的です。チェロが奏でる長い音符の中で、自分がどれだけ遊べるかというところも楽しみですね。
またカルテットのほうは、この編成のオリジナル曲がほとんどない中、新しい時代の作品に取り組んでみたいと思い、トゥリーナを選びました。お客様にとっても僕たちにとっても発見がもたらされることになると嬉しいですね。

  • 辻彩奈(ヴァイオリン)、工藤重典(フルート)、田原綾子(ヴィオラ)、横坂源(チェロ)©Hikaru Hoshi辻彩奈(ヴァイオリン)、工藤重典(フルート)、田原綾子(ヴィオラ)、横坂源(チェロ)

工藤さんは、辻さん、田原さん、横坂さんとモーツァルトフルート四重奏曲第1番を演奏されます。

工藤:モーツァルトのフルート四重奏曲は4番まであり、どれも有名な作品です。僕も、世界のあちこちの国で、本当にいろいろなメンバーと演奏してきましたが、これだけ若いメンバーとちゃんとしたコンサートで演奏するのは初めて。僕にとっては、この共演者が“ディスカバリー”という感じです。
みなさんソリストとしても活躍しているのがまた良いんです。というのもモーツァルトの作品って、弦楽のみのアンサンブルでは、全員で一つの楽器のように息を合わせることが求められるのに対して、フルートが加わる編成になると、それぞれ独立したパートのように書かれているんです。つまり、弦楽四重奏曲で一人ベテランが入っていたら、その人に合わせなくちゃいけなくて若い人は気を使うでしょうけれど(笑)、フルート四重奏曲の場合はそういうことはない。それぞれの楽器の良さを自由に発揮できます。

大萩:僕は去年の夏に行われたあるパーティーでこのメンバーの演奏を少し聴いたのですが、工藤さんが何か音楽的なトリックをしかけると、それぞれのメンバーが即座に反応して返していくことがはっきりと見て取れて、興奮でした!

工藤:そう、よく見てたねぇ!

大萩:もう、瞬間瞬間、耳が離せないという感じ。みなさんにもぜひ間近で集中して聴いていただきたいです。

工藤:あと、この第1番の特徴としておもしろいのが、ヴィオラ奏者の仕事量が半端でないということ。3楽章のロンドなど、ほとんどいじめじゃないかというくらい大変なので、この前も、モーツァルトに怒っているヴィオラ奏者がいましたよ(笑)。当日は、そんな縁の下の力持ちの活躍にも、ぜひ注目していただきたいですね。

最後に、お客様にメッセージをお願いします。

工藤:「ディスカバリーナイト」では、私たちも新しいものを発見しながら音楽を創っていくことになると思いますので、みなさんにも、演奏家同士の対話、そこで生まれる空気などから、新しいものを感じていただけたら嬉しいです。まるでお花畑のように、いろいろな種類の花が咲き乱れているような「チェンバーミュージック・ガーデン」になると思います。

大萩:そういう意味では、新種の花も発見できるかもしれませんね! プログラムには世界初演の作品もありますから。これから後世に受け継がれていく作品が初めて世に出る瞬間に立ち会う、貴重な時間になるでしょう。どうぞ楽しみにいらしてください。



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