サントリーホール チェンバーミュージック・ガーデン 20192019年6月1日(土)~6月16日(日) 会場 ブルーローズ(小ホール)

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毛利文香(ヴァイオリン)とクロンベルク・アカデミー

クロンベルク・アカデミー代表者メッセージ

  • Raimund Trenkler

音楽を愛する皆さま

音楽は世界中で話されている言語です。クロンベルク・アカデミーには若手ソリストが集まり、音楽を通じた芸術コミュニティを形成して仲間と共演し、絆を深めています。その成果を発表するため、彼らはクロンベルク・アカデミーのアンバサダーとして世界中で公演しています。

クロンベルク・アカデミーはヨーロッパにある有数のコンサートホールと緊密な関係を築いてきました。加えて本年は、サントリーホールとニューヨークのカーネギーホールという、ヨーロッパの域を超えた素晴らしいパートナーシップを結ぶ幸運に恵まれました。とりわけ、音楽を愛し音楽への造詣が深い日本の皆さまに演奏を披露できることを非常に楽しみにしております。また、クロンベルク・アカデミーで学んだ宮田大氏と、指導者であるフランス・ヘルメルソン氏やかつての同級生とステージ上で再会し、共演を果たせるのはこの上ない喜びです。

クロンベルク・アカデミーを代表して、この度のご招待を心より感謝申し上げます。いつの日か今度は私たちが、クロンベルクの音楽の源泉に日本の若い音楽家の方々をお招きできたらどれほど光栄なことでしょう。

この機会に類稀な才能をもった若手音楽家たちによる室内楽を、どうぞ心ゆくまでご堪能ください。

ライムント・トレンクラー

毛利文香インタビュー

  • 山田治生(音楽評論家)

    毛利文香©Hisashi Morifuji 毛利文香(ヴァイオリン)

毛利文香さんは、2015年のエリザベート王妃国際音楽コンクールで第6位に、昨年のモントリオール国際音楽コンクールで第3位に入賞するなど、ソリストとして活躍しながら、現在は、ドイツのクロンベルク・アカデミーで学んでいる。
6月のチェンバーミュージック・ガーデンで、国際的に名高い指導者陣と、秀逸な受講生たちによるクロンベルク・アカデミー初来日公演が実現する。現役で学んでいる毛利さんに、現地のアカデミーのことや、CMG公演の聴きどころなどを聞いた。

*「クロンベルク・アカデミー日本ツアーⅠ・Ⅱ」公演情報・チケット購入はこちら

まず、クロンベルク・アカデミーに留学されたきっかけを教えてください。

留学の第一の理由は、ミハエラ・マルティン先生に師事したいということでした。正直に言うと、クロンベルク・アカデミーのことは留学する前までほとんど知りませんでした。チェロの宮田大さんや同じ原田(幸一郎)門下のヴィオラの杉田恵理さんが学んでいたのを知っていたくらいです。マルティン先生は、クロンベルクやケルンなどで教えておられるのですが、クロンベルクに来ることを一番勧められました。

  • ミハエラ・マルティン©Marco Borggreve ミハエラ・マルティン(ヴァイオリン)
  • ミハエラ・マルティン©Marco Borggreve ミハエラ・マルティン(ヴァイオリン)
  • アンドラーシュ・シフ氏との共演©Andreas Malkmus アンドラーシュ・シフ(ピアノ)との共演
  • session with Gidon Kremer©Kronberg Academy_Andreas Malkmus 講師のギドン・クレーメル(ヴァイオリン)と受講生
  • タベア・ツィンマーマン氏との共演©Patricia Truchsess タベア・ツィンマーマン(ヴィオラ)との共演
  • スティーヴン・イッサーリス氏との共演©Andreas Malkmus スティーブン・イッサーリス(チェロ)との共演
  • クロンベルク クロンベルクの街
  • フランス・ヘルメルソン©Marco Borggreve フランス・ヘルメルソン(チェロ)
  • フェスティバルの会場にもなる町の教会(右) フェスティバルの会場にもなるクロンベルクの教会(右)

マルティン先生と知り合ったのはいつですか?

2012年夏、原田幸一郎先生と行った韓国のグレートマウンテン国際音楽祭で、初めてマルティン先生のレッスンを受けました。それがすごく良いレッスンで、その後、ハノーファーのコンクールやエリザベート王妃国際コンクールで先生が審査員されていて、そこでお会いして、フランスのカザルス音楽祭で演奏を見ていただきました。また、先生の演奏も聴いて、素晴らしいと思いました。

そして、クロンベルク・アカデミーに入学されたのですね。

2015年秋に入学しました。生徒の数が少ないのですが、国際的で(ドイツなのに、ドイツ人は1、2名のみ)、すごくレベルが高い。プレカレッジもあり、17歳くらいから28歳くらいまで、今は、25名ほどの生徒がいます。もともとチェロのアカデミーだったのでチェロが一番多くて12名ほど、ヴァイオリンは10名ほど、ヴィオラは4名。そして、2、3年前から、アンドラーシュ・シフによるピアノのコースも始まり、ピアノが2名います。先生の数は、ヴァイオリンが3名、ヴィオラ、チェロが各2名、毎年いらっしゃるビジティング・プロフェッサーの先生が2、3名います。師事している先生以外のマスタークラスも受けられて、その方たちと一緒に演奏する機会もあります。また、シフ、ギドン・クレーメル、クリストフ・エッシェンバッハのマスタークラスには必ず全員出席して、他の生徒が受けるレッスンも聴くことになっています。3日間、凄い熱気でレッスンが行われ、1日中座って聴いているだけでもたいへんです(笑)。シフご本人と一緒に弾くこともありましたが、普段のヴァイオリンの先生とは違うアプローチが新鮮でした。指揮者がマスタークラスの講師に来ることもあり、ダニエル・バレンボイムは、曲が全部頭に入っているのがすごくわかりました。
マルティン先生は、2週間に1回程度の頻度で、一度に3時間のレッスンなどをされていきます。このアカデミーでは、いろんな講師の方のいろんな意見をきいて、刺激を受けるとこも多いですが、混乱しそうになるときもあるので、自分の第1番の目的はマルティン先生に習うことという意識をしっかり持つようにしています。

  • アンドラーシュ・シフ氏との共演©Andreas Malkmus アンドラーシュ・シフ(ピアノ)との共演
  • session with Gidon Kremer©Kronberg Academy_Andreas Malkmus 講師のギドン・クレーメル(ヴァイオリン)と受講生

クロンベルク・アカデミーには授業以外にもいろいろなプログラムがあるようですね。

2年に一度、クロンベルク・アカデミー・フェスティバルがあり、現役の生徒、卒業生、先生のほか、外部の素晴らしいアーティストが招待されます。私は、2015年秋に入学して、いきなりそのフェスティバルがあり、タベア・ツィンマーマンのリサイタルを聴いたのですが、「ヴィオラってこんな風に弾けるんだ」と、大きな衝撃を受けました。彼女は3年後にクロンベルクの先生になりました。2017年のクロンベルク・アカデミー・フェスティバルで、彼女とモーツァルトの協奏交響曲を弾くという夢のような話があり、本当にうれしかったです。二人で一緒に合わせたとき、「楽譜をよく見てごらん」といわれ、本当はこうだと気付かされることがたくさんありました。音程の合わせ方もすごくシビアですが、「本番は何も気にせず、弾けばよい」と言ってくれました。それはすごく印象に残っている思い出です。

  • タベア・ツィンマーマン氏との共演©Patricia Truchsess タベア・ツィンマーマン(ヴィオラ)との共演

クロンベルク・アカデミー・フェスティバルの間の年に、2年に一度、チェンバーミュージック・コネクツ・ザ・ワールドという室内楽のフェスティバルも開催されます。クリスティアン・テツラフスティーブン・イッサーリスらのシニアアーティストにアカデミー外部を含むいろいろな国からの学生が加わり、リハーサルを重ねて、コンサートを開きます。イッサーリスとメンデルスゾーンの弦楽五重奏曲第2番を演奏したとき、彼は、すごくアイコンタクトをしてきて、コミュニケーションって大事だと教えてくれました。そして彼は楽しんで演奏します。特に本番は、リハーサルとは違うインスピレーションを交えて、いい化学反応を起こします。テツラフがコンサートマスターを務めた弦楽合奏でのシェーンベルクの『浄夜』もすごく印象的な本番でした。
今回のような日本ツアーは、近年始まった新しい行事で、2017年にはパリのルーヴル美術館のオーディトリウムで、マルティン先生、ヘルメルソン先生とともにブラームスの弦楽六重奏曲を弾いたことがあります。マルティン先生の隣で弾くのはそのときが初めてでした。マルティン先生の隣でちゃんと弾くのは、6月のCMGがその時以来です。ボンのベートーヴェン・ハウスでは、ベートーヴェン週間にタベア・ツィンマーマンの企画でクロンベルク・アカデミーが呼ばれ、シューベルトの八重奏曲を演奏しました。管楽器はマーラー・チェンバー・オーケストラのメンバーでした。

  • スティーヴン・イッサーリス氏との共演©Andreas Malkmus スティーブン・イッサーリス(チェロ)との共演

クロンベルクでの生活はいかがですか?

私は、海外に住むのが初めてでしたし、最初は、どんな生活になるのかわからず不安でした。今は、シェアハウスのような形で、4人で一つの家に住んでいます。国際色豊かで、一緒に料理をしたりもします。クロンベルクは本当に小さい町で、それぞれの家も近いのです。小さい旧市街的な街並みもありますが、半日もあれば十分まわれるような広さです。なので、練習に集中するには最高の環境です(笑)。クロンベルクは、フランクフルトから20分くらいの町で、フランクフルトからは他都市に行くのも便利です。休みの日にはフランクフルトにコンサートやオペラを観に行ったりもします。

  • クロンベルクの街 クロンベルクの街

ミハエラ・マルティンさんはどのような教え方をされるのですか?

マルティン先生は、音へのこだわりがすごく強いと思います。曲の作り方、フレーズの作り方、イメージに妥協がありません。レッスンは厳しく、すごく納得させられます。先生に師事して、より自分の音を聴くようになりました。もう、5年目ですが、まだまだ見ていただきたい曲があります。
マルティン先生の演奏は、聴いたことのあるような演奏とは違いますが、楽器が身体の一部のような自然さで、語りかけてきて、音に説得力があります。先生の室内楽はたくさん聴きましたが、他人との交わり方が素晴らしいと思います。それでいて、個性も光っています。

今回のクロンベルク・アカデミー日本ツアーに参加するメンバーを紹介していただけますか?

マルティン先生は、妥協なく、パッションあふれる人ですが、フランス・ヘルメルソン先生は、すごく穏やかで優しい。夫妻で正反対のイメージです。ふくよかな音でおおらかな音楽をされます。すごく仲の良いご夫妻ですが、リハーサルのときは必ず衝突します。でもいつも最後はまとまります。
ヴィオラのティモシー・リダウトは、この夏にアカデミーを卒業しました。イギリス人の彼は、今井信子先生の弟子で、武蔵野市民文化会館でリサイタルをひらき、私も聴きに行きました。自分の音楽をはっきりと持っていて、現代音楽を自分が作った曲のように弾きます。私よりも年下なのに、貫禄があって、いつもリラックスしています。ユニークで、ヴィオリストらしいヴィオリストです。
ヴィオラのシンディ・モハメドは、フランス生まれですが、両親がエジプト人。タベア・ツィンマーマンの弟子です。少しの間、同じ家に住んだことがあります。今は、結婚して、子供もいて、ベルリンからクロンベルクに通っています。
チェロのアレクセイ・シャドリンは、ウクライナ出身。ヘルメルソン先生の弟子で、濃厚な音を出します。よく冗談などを言ってふざけているイメージがありますが、音楽には真面目です。 (宮田大さんはアカデミーでは重なってなくて、お話しをする機会があっただけで、今回CMGでご一緒するのが初めてです。)

  • フランス・ヘルメルソン(チェロ) フランス・ヘルメルソン(チェロ)
  • フェスティバルの会場にもなる町の教会(右) フェスティバルの会場にもなるクロンベルクの教会(右)

今回のツアーのプログラムについて、お話ししていただけますか?

ドヴォルジャークテルツェットは、すごく良い曲だと思います。2つのヴァイオリンとヴィオラという珍しい編成で、音のバランスやメンバーとの相性が重要かなと思います。今回は、私が第1ヴァイオリンで、マルティン先生、ティモシーと演奏します。
コダーイ二重奏曲は、アレクセイと演奏します。昔から憧れていたカッコいい曲。技巧的に難しく、二人で噛み合わせるのもたいへん。そういう難しさを乗り越えて、巧みに書かれているところを伝えたいですね。
チャイコフスキー「フィレンツェの思い出」は、ラ・ルーチェ弦楽八重奏団で弾いたことがありますが、メロディが親しみやすく、名曲だと思います。今回は、マルティン先生が第1ヴァイオリンを弾きます。
ハルヴォルセン「パッサカリア」は、クロンベルクでもよく演奏します。ティモシーと弾くのは今回が初めてなので、このショー・ピースを、新鮮さをもって演奏できればと思います。
メンデルスゾーン弦楽五重奏曲第2番は、八重奏曲に通じる若々しく生き生きとした音楽です。マルティン先生が第2ヴァイオリンなので、第1ヴァイオリンの私が引っ張らなければなりませんね(笑)。
ブラームス弦楽五重奏曲第2番は、チェロのヘルメルソン先生の大きな音楽で始まります。ブラームスはメンデルスゾーン以上にお互いに噛み合わせていかなければなりません。内声が重要だと思います。

今回のサントリーホールでの演奏会について、抱負をきかせてください。

自分の師匠と日本で演奏できるのが本当に楽しみです。留学してからの仲間たちと日本に来られることもとても楽しみです。自分の家族や知り合いに聴いてもらえることもうれしいです。

ご自身の今後について、話していただけますか。

私自身は、留学5年目で、あと数年、ドイツにいたいと思っています。そして、ヨーロッパでの演奏の機会を増やしたいです。いずれは日本に帰って来ると思いますが、今はソロと室内楽で頑張っています。コンチェルトでは、ベルクやストラヴィンスキーなど、近現代曲のレパートリーを増やしたいと考えています。ブラームスやベートーヴェンももう一度じっくりとやりたいですね。

ありがとうございました。6月の演奏を楽しみにしています。



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