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加藤一二三九段(ひふみん)も期待する
ボストン交響楽団の魅力とは

田中 泰(日本クラシックソムリエ協会理事)

 将棋界のレジェンド「ひふみん」こと加藤一二三九段は、将棋界きってのクラシック通だ。その加藤九段に、間もなく来日公演を行うボストン交響楽団やクラシックへの思いを聞いた。

*アンドリス・ネルソンス指揮ボストン交響楽団 公演詳細・チケット購入はこちら
https://www.suntory.co.jp/suntoryhall/feature/BSO2017/#information

以前からボストン交響楽団のファンだったと伺っています。

はい、小澤征爾さんが長く音楽監督を務めていらしたせいもあって、海外のオーケストラの中では最初に親しみを持ったオーケストラです。そしてこれは偶然なのですが、先日俳優の石坂浩二さんとテレビでご一緒した時に音楽の話をしていましたら、シャルル・ミュンシュが指揮するボストン交響楽団のCDをプレゼントしてくださったのです。これは嬉しかったし縁がありますね。

素敵なエピソードですね。今回のボストン交響楽団のプログラムはいかがでしょう?

もちろん全部聴いてみたいです。チャイコフスキーは美しいメロディを書く作曲家ですよね。マーラーはこれまであまり聴いてこなかったのですが、とても興味があります。「いつかきっと自分の時代が来る」というマーラーの言葉が心に残ります。ラフマニノフの「交響曲2番」も楽しみです。「ピアノ協奏曲第2番」が大好きなので、期待してしまいます。ラフマニノフはロシア正教の祈りをテーマにした「晩禱」という曲を書いていますので、クリスチャンの私としてはその点にも惹かれます。そしてハイドンの交響曲「太鼓連打」。これも気になります。もしかしたらお客さんたちの眠気を覚ますために太鼓を連打するんじゃないですか? ハイドンにはそんなユーモアがありますね。ショスタコーヴィチはこれまであまり聴いたことないので、いろいろ教えてほしいと思っています。

それは良い機会です。今回指揮をする現音楽監督のアンドリス・ネルソンスはショスタコーヴィチに入れ込んでいて、グラミー賞を受賞した素晴らしい録音も行っていますので、ぜひお聴きいただきたいと思います。

ⓒMarco Borggreve

ネルソンス指揮ボストン交響楽団

楽しみです。最後の1人モーツァルトはもちろん大好きな作曲家で昔からよく聴いていていますし、映画「アマデウス」は何度も観ています。あの映画が封切られた時には棋士たちの間でも大きな話題になっていました。自分はあの映画の中のモ−ツァルトとサリエリのどっちなんだということですね。天才か秀才かという意味です。そういえば、20連敗のスランプに陥った時に聴いて救われたのもモーツァルトでした。対局の前日にパールマンが演奏する「ヴァイオリン協奏曲第3番」を聴いて連敗から脱したのです。
そのモーツァルトの「レクイエム」についてこんな話があります。ウィーン・フィルが日本公演に来た折に将棋連盟のサッカーチームと親善試合をしたことがあったのです。試合後の打ち上げの時に、「将棋の加藤さんがモーツァルトのレクイエムを聴きながら名人になった」という話が出たところ、ウィーン・フィルの団員たちが、「我々はモーツァルトの『レクイエム』をそのようには聴きません。その加藤さんは天才だ!」と言ったというのです(笑)。これは嬉しかったですね。まさに名人戦の時には、バッハの「マタイ受難曲」やモーツァルトの「レクイエム」を聴きながら気持ちを盛り上げていたわけですからね。

それは凄い! そして棋士同士のお付き合いは興味深いですね。

ライバルであると同時に仲間ですからね。対局の後には「感想戦」というのがありまして、対局が終わった後に1時間から2時間程度2人で戦いの軌跡を辿りながらお互いの読み筋をオープンに話し合います。

それはまさに音楽家同士が楽譜を見ながら音楽について語り合う姿に似ていますね。

その通りです。将棋は90%までが理詰めで、後の10%は考え抜く作業です。いくら考えても答えが出ないという意味においても音楽と似ています。そして、私がこれまで行ってきた2505回の対局も音楽に当てはめてみると、2505のコンサートのように感じられます。

音楽への想いがほとばしる加藤九段の姿は、まさに映画「アマデウス」に描かれたモーツァルトを思わせる。その純粋無垢な感性が体験するボストン交響楽団公演の印象はいったいどのようなものだろう。マーラーの「巨人」を聴いた「将棋界の巨人」の感想を聞くのが楽しみでならない。

  • 加藤一二三九段と田中泰氏

  • 大ホールステージに立つ加藤九段

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