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大ホールブルーローズその他誕生
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パイプオルガンのしくみをご紹介 オルガンの裏側 坂崎 紀(音楽学)

外側から見えるパイプは、オルガンのパイプのほんの一部に過ぎません。内部には、数千本のパイプと、それを鳴らすための複雑なメカニズムが収められているのです。
オルガンのパイプは、オルガン・メタル(錫と鉛の合金)による金属パイプと、各種の木材から作られる木製パイプとに分かれます。また、発音原理からは、リコーダー(縦笛)と同じ原理で音が出るフルー管と、1枚リードのリード管とに大別されます。フルー管はオルガンの基本的な響きを生み出すもので、パイプ上端の形状が開管、閉管、半閉管のものがあり、これらの形状の違いと、材質の違いによって、多様な音色が生み出されます。リード管の音色は、基本的にはリードの性質で決まりますが、共鳴パイプの形状と長さも影響します。線の細い音色のものもあれば、リード特有の強いビリつくような音を出すものもあります。またリード管は、しばしばソロで主旋律を奏するために用いられたり、フォルテを増強するために用いられます。

典型的なパイプの配列

パイプには木製、金属製のものがあり形状もさまざまであることがわかります。オルガンの内部には、このようにパイプが林立しています。

各種のパイプ

細くなっている端(写真右)から空気が送られます。上の4本はフルー管で、発音原理はリコーダーと同じ。一番上のパイプは、上端が木の栓でふさがれた木管閉管。次の2本はオルガン・メタル製の開管。長さと太さの比率が異なるので音色は微妙に異なります。上から4本目は、小さな煙突状のパイプ(開管チムニー)を持つ半閉管。発音時にアクセントが付くのが特徴です。いちばん下はリード管で、左端の内部に金属性のリードが1枚あり、これが振動して鋭い音を出します。この例では円錐状の共鳴管を持っています。

金属製のフルー管の列

オルガンの響きの基本をなす「プリンシパル」と呼ばれるタイプのパイプ。錫の含有量が多いので、銀色に光っています。これらのパイプの1本1本を点検、調律する必要があるため、人が通れるように通路が中央に設けられています。

金属製のフルー管の列

この部分で空気が渦を作り、音が発生します。この部分のデザインと仕上げが音色を左右するので、パイプにとって非常に重要な部分です。歌口の左右に取りつけられている小さな金属板も、音色に重要な影響を及ぼします。

図1:実際のオルガンでは鍵盤の幅とパイプの並びの幅の差を調整するための回転軸(ローラー)がありますがこの図では省略しています。

※実際のオルガンでは鍵盤の幅とパイプの並びの幅の差を調整するための回転軸(ローラー)がありますがこの図では省略しています。

鍵盤の動作は梃子とクランクを用いて、トラッカー(細い木の棒)を引くことによって、遠く離れた風箱まで伝達されます。
図1は、機械式トラッカー・アクションと呼ばれるメカニズムで、奏者の指の力によってパレット(弁)が開き、パイプに空気が流れて音が出ます。パレットが開く瞬間には、風室の風圧に対抗するため、鍵盤には若干の抵抗が感じられますが、パレットが開いたあとは、鍵盤は軽くなります。鍵盤から指を離すと、風圧とパレット・スプリングによってパレットが閉じ、音が止まります。
この方式は、オルガンの最盛期であるバロック時代に完成されたもの。その後19世紀になって、大音量を出すために風圧が高くなると、指の圧力だけでパレットを開くことができなくなり、補助的に空気圧を利用してパレットを開いたり(ニューマティック・アクション)、20世紀に入ると、電磁石でパレットを動かす方式(エレクトリック・アクション)などが開発されました。しかし、よくできた機械式トラッカー・アクションは反応がよく、パレットの開く微妙な瞬間を指で感じることができることからオルガニストに好まれ、機構が単純で保守も容易なため、現在では、再びオルガンの標準的な方式となっています。

典型的なパイプの配列

鍵盤を押すと、トラッカー(木の棒)とスクエア(クランク)からなる機構によって力が伝達され、弁が開いて空気がパイプに送られます。写真は、この機構の一部。左から8番目のスクエアが鍵盤を押した状態のため下がっていて、上方のトラッカーを引いているのがわかります。

コンソール(演奏台)の後側

コンソール(演奏台)の後側、下に交差して伸びているトラッカーは、足鍵盤からのものです。

ストップノブ

ストップ操作は回転軸を経由してスライダーに伝達されます。この機構により、任意のパイプ列を発音可能にすることができるのです。
写真右上は、ストップノブ。これを引くと、スライダーが動き、特定のパイプ列が発音可能となります。写真右下は、写真右上の部分を内部から見たところ。木製の角材の終端(写真では右側)にノブが付いています。
つまり、オルガンでは、まずストップによって、特定のパイプ列を発音可能な状態にし、次に鍵盤を押して、特定のパイプに空気を送り込み、音を出す、という2段階の操作が必要なのです(ストップがすべてオフであれば、鍵盤を押しても音は出ません)。

風室には、送風機から風が送られ、常に一定の気圧がかかっています。左端のキーを押すと、トラッカーが下がり、パレットが開いて、風室から空気がチャンネルに流れこみます。
図2aは、ストップがオフの状態。左端のチャンネルに空気が流れ込みますが、スライダーに妨げられて、空気がパイプに流れないので、音は出ません。
図2bは、ストップがオンの状態。スライダーの穴を通って、チャンネルからの空気がパイプに流れ込み、左端のパイプの音が出ます。

2列(2ストップ)のオルガンのチャンネル列を上から見たところ(パイプを外した状態)。スットップ・オフでは、パイプ穴とスライダーの穴がずれているため、パレットが開いてチャンネルに空気が流れ込んでも、パイプには空気が流れず、音が出ません。ストップ・オンでは、パイプ穴とスライダーの穴が一致します。この状態でチャンネルに空気が流れ込めば、パイプにも空気が流れて音が出るのです。

オルガンに空気を流すケースや、風箱、送風ダクトは、大部分が木材で作られます。また、気密を保つためのシールには、子牛の皮などが用いられます。パイプ以外には、あまり金属は用いられていません。当然のことながら、耐久性のない合成樹脂やゴムも使われません。このような配慮によって、適切に保守を行えば、オルガンは数百年にわたって使用することができるといわれています。

風箱

写真上部の風箱の横に並んでいる金属の丸棒は、回転することによってトラッカーの動きを伝えるローラー。

電動送風装置

右の木製の箱は、風圧を一定に保つためのもの。19世紀以前は、人力でふいごを動かし、送風していました。

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