サントリーホール ENJOY!MUSIC PROGRAM
音楽に出会う喜びを 未来を担うこどもたちへ
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【開催レポート】

2017年度
港区&サントリーホール Enjoy! Music プロジェクト

港区とサントリーホールは、港区立小学校の4年生を対象に、音楽を中心とした継続的な芸術体験プログラムを2014年にスタートさせました。各小学校における事前授業と、サントリーホールでのコンサートを行うプロジェクトです。
国際的に活躍する指揮者・大野和士が企画にかかわり、初年度はフランス国立リヨン歌劇場管弦楽団を迎えて、「音楽と身体表現」をテーマに開催。2015・16年は「音楽と絵画」をテーマに、大野和士指揮による東京都交響楽団のコンサートを鑑賞しました。
2017年は「声の響きを楽しもう」テーマに開催。サントリーホール オペラ・アカデミーより派遣された歌手たちによる事前授業とサントリーホールのコンサートを取材したライター・伊藤優さんのレポートをお届けします。

  • 2018年1月サントリーホールでのコンサート

プロの歌声を間近で! 感度を磨く事前授業

事前授業の前半は、声の響きを楽しむためのレクチャー。ソプラノ、アルト、テノール、バスの4名の歌手による、デモンストレーションが行われました。
授業のポイントは、“声域”、“響きの変化”、“声の重なり”の3点。はじめに、子どもたちはソプラノ、アルト、テノール、バスの4つの“声域”の存在を知ります。それぞれの歌手たちが、得意な声域を披露。子どもたちも、ヘ長調の音階で一音ずつ声を出し、自分がどこまで高い声や低い声を出すことができるのか、挑戦しました。次に、声の“響きの変化”を間近で感じる体験。歌手が単音をのばし、ノンビブラートの状態から徐々にビブラートを強くかけていきます。

音が細かくゆれ、響きが増していく声の変化を感じた子どもたち。歌手の「違いがわかったかな?」の問いかけに、「わかった!」「すごい!」と大興奮でした。そして、“声の重なり”による響きの変化を感じる体験。子どもたちも授業で歌った「もみじ」を、1番は女声の歌手が、2番は男声歌手が二重唱で歌い、その後さらに混声四部合唱でも歌いました。二重唱に比べて、混声四部合唱のほうが歌声に奥行きが生まれ、さらに豊かな響きが教室いっぱいに満ちました。
授業の後半、「1月12日にサントリーホールで、みなさんは、私たち大人の歌手と、オーケストラと一緒に歌います!」進行役の歌手の言葉に、子どもたちは目をきらきらと輝かせました。いよいよ「よろこびの歌」(ベートーヴェン「第九」第4楽章の旋律)のレクチャーがはじまります。
子どもたちが歌う部分を、歌手がお手本として披露し、ドイツ語の歌詞の発音指導に入ります。歌手が、単語ひとつひとつを丁寧に発音。子どもたちは手元の歌詞付き楽譜を見ながら、繰り返し発音し、ピアノ伴奏に合わせてゆっくり歌います。もともと「よろこびの歌」のメロディーは知っている子どもたちが多かったですが、ドイツ語で歌うのはおそらく初めての経験。それでも、最初に通して歌った段階で、とても上手に歌うことができていました。のみこみの早い子どもたち⋯⋯そのパワーに驚きを隠せませんでした。

「よろこびの歌」をさらに上手に歌うためのアドバイスも。「“Freude”は“嬉しい”とか“喜び”という意味だから、その意味を伝えるためにキラキラの笑顔で歌ってみよう!」「ドイツ語特有の“W”の発音は、おなかをしっかり使って、唇の圧力に負けないように出してみよう!」など、ドイツ語らしく聞こえるようにするためのポイントを歌手たちが解説しました。そのわかりやすさからは、入念に指導準備してきた様子が伺えます。アドバイス後の子どもたちの合唱は、見違えるようにブラッシュアップされていました。最後に本番と同じくらいのテンポで歌い、事前授業が終了しました。

1,400名の心がひとつに 感動の共演体験

1月12日、港区の小学校4年生約1,400名がサントリーホールに集結。この日、大野和士氏指揮のもと、東京都交響楽団と新国立劇場合唱団&サントリーホール オペラ・アカデミーによる演奏会が行われました。

最初のプログラムは“一人の声”から“二人の声”への変化を楽しむというもの。オープニングは、モーツァルトの歌劇『魔笛』より、パパゲーノのアリア「おいらは鳥刺しさ」(バリトン:吉川健一)が披露され、子どもたちはいきなりステージに釘付けになりました。
「今日はみなさんと共に、声の響きの美しさについて味わっていきたいと思います!」大野氏による司会進行のもと、同じく歌劇『魔笛』より夜の女王のアリア「復讐の炎は地獄のようにわが心に燃え」(ソプラノ:安井陽子)、4年生の教科書でも取り上げられているパパゲーノとパパゲーナの二重唱「パ・パ・パ」(ソプラノ:九嶋香奈枝・バリトン:吉川健一)を鑑賞しました。情熱的なソプラノのアリアからユーモラスな二重唱と、世界観のまったく異なる音楽表現に、子どもたちはすっかり魅了されている様子。
次に、“合唱の響き”を楽しむセクションへ。はじめに、安井陽子さんから良い声を出すためのアドバイスがありました。歌う時の姿勢や目線、からだのどの部分を意識するかなど、歌う時に気をつけるべきポイントを子どもたちへ解説。そして、合唱団のソプラノ・アルト・テノール・バスの各音域を、大野氏がパートごとに紹介しました。低いパートからド→ミ→ソ→ドと声を重ねていく、ハーモニーも披露。「今度は会場のみんなで、今舞台でやってくれた声を出してみましょう!」大野氏の指導のもと、子どもたちもハーモニー作りに挑戦! 席のブロックごとに子どもたちを4つのパートにわけ、ド→ミ→ソ→ドと声を重ねました。ホールに響き渡ったハーモニーは、まるで天使の歌声のような美しさで、思わず大野氏も「きれいですね。素晴らしい! この会場が響きで満たされましたね。」と感動した様子でした。
そして、合唱団による、パッヘルベルの「カノン」でおなじみの「遠い日の歌」、各パートのソロが楽しめる「流浪の民」を鑑賞。サントリーホールのシンボルであるオルガン伴奏で、ヴェルディの歌劇『アイーダ』より「凱旋行進曲」も楽しみました。

次に、“合唱の響き”を楽しむセクションへ。はじめに、安井陽子さんから良い声を出すためのアドバイスがありました。歌う時の姿勢や目線、からだのどの部分を意識するかなど、歌う時に気をつけるべきポイントを子どもたちへ解説。そして、合唱団のソプラノ・アルト・テノール・バスの各音域を、大野氏がパートごとに紹介しました。低いパートからド→ミ→ソ→ドと声を重ねていく、ハーモニーも披露。「今度は会場のみんなで、今舞台でやってくれた声を出してみましょう!」大野氏の指導のもと、子どもたちもハーモニー作りに挑戦! 席のブロックごとに子どもたちを4つのパートにわけ、ド→ミ→ソ→ドと声を重ねました。ホールに響き渡ったハーモニーは、まるで天使の歌声のような美しさで、思わず大野氏も「きれいですね。素晴らしい! この会場が響きで満たされましたね。」と感動した様子でした。
そして、合唱団による、パッヘルベルの「カノン」でおなじみの「遠い日の歌」、各パートのソロが楽しめる「流浪の民」を鑑賞。サントリーホールのシンボルであるオルガン伴奏で、ヴェルディの歌劇『アイーダ』より「凱旋行進曲」も楽しみました。

プログラムの最後は、いよいよ“みんなで歌う”セクションへ。「これから『よろこびの歌』をみんなと一緒に合唱します。舞台上のオーケストラがみなさんを伴奏します!」大野氏の言葉に、子どもたちの目が再び輝きました。はじめに、子どもたちだけで「よろこびの歌」を歌い、次にプロの合唱団の歌声を聴きます。最後に会場全体で“共演”。子どもたちと合唱団の歌声がホールいっぱいに響き渡り、この日まで学校で練習してきた子どもたちの「よろこびの歌」が、ついに完成しました。「とても素晴らしいエネルギーで、舞台の演奏者も感動しながら弾いて歌うことができました!」大野氏も約1,400名の子どもたちとの共演に感激。歌い終えた子どもたちの充実感に満ちた表情は、仲間とともに音楽を創りあげることの素晴らしさを教えてくれました。

サントリーホールという素晴らしい環境で、「よろこびの歌」をプロの合唱団、オーケストラと共演するという体験。事前授業で“声の響き”を楽しむための感度を磨いてきた子どもたちにとって、会場がひとつになったあの瞬間は、感動もひとしおだったのではないでしょうか。一生忘れられない思い出として、約1,400名の子どもたちひとりひとりの心に刻まれたことでしょう。

伊藤 優(ライター)

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