

モデルケースを通して、全国174拠点へ健康施策を展開
輸送、ロジスティクス、そして関連するサービスを提供する総合物流商社の西濃運輸株式会社。同社は2022年から3年連続で健康経営優良法人に認定されており、サントリープラスの導入も2022年から始まりました。今回サントリープラスを導入したのは、西濃運輸全体で実践できるような健康施策を検討していたからです。
サントリープラスを導入してから、「未導入事業所と導入事業所での健康診断2次検診対象者率に差が表れた」と担当者は言います。陸運業ならではの健康課題と併せ、健康診断の結果に効果が表れた要因についてお伺いしました。
取材日:2024年9月25日

飯田 琢朗
さん
西濃運輸株式会社
人事部厚生課 課長

林 佑美さん
セイノーホールディングス
株式会社
経営企画室サステナビリティ
推進課 課長

宮川 康昭
さん
株式会社
セイノー商事
商品営業本部 第一部
マネージャー
ダウンロード率90%を達成。地道な声かけとチラシが実を結ぶ
― サントリープラスを導入したきっかけを教えてください。
飯田さん:
きっかけは、西濃運輸全体で実践できる、アプリを活用した健康施策を検討していたことです。歩数を測定し、ウォーキングイベントも実施できるサービスを探していたところ、サントリープラスを見つけました。導入費用が無料であること、さらにサントリーが運営しているという信頼感から、導入を決めました。

― 導入はどのように進めて行きましたか?
林さん:
最初は、西濃運輸の大垣支店に設置した1台の自動販売機からスタートしました。アプリのダウンロードに向け、積極的な声かけとサポートを実施。導入促進のために食堂に特別ブースを設置したり、サントリーの営業担当者に朝礼・昼礼・夕礼などの定例ミーティングにて説明していただきました。
その中でも、特に効果を発揮したのはチラシ作戦です。サントリープラス活用サポートデスクから提供されたクリアファイルに、アプリ案内のチラシを入れて大垣支店の社員にひと声かけて直接手渡ししたところ、大垣支店では90%を超えるダウンロード率を達成しました。
はじめの登録さえ完了すれば、どの世代の社員にも使い易いアプリとして、徐々に浸透していきました。また、電子マネーが使える点も好評でした。
飯田さん:
大垣支店の実績をモデルケースに、全国展開に向けた一歩として、中日本地区への導入に動き出しました。その過程で連携をお願いしたのが、セイノーグループ セイノー商事の宮川さんです。
宮川さん:
セイノー商事は、約30年にわたりセイノーグループ各社の自動販売機に関する窓口となっていることもあり、本プロジェクトに欠かすことのできないサントリー社の自動販売機の設置に携わりました。設置の過程で事業所に、そもそもサントリー社の自動販売機が置かれていなかったり、自動販売機の入れ替えや設置場所の変更など、他のメーカーさんへの説明で苦労する場面もありました。
ただ今回は、セイノーグループの健康経営をスムーズに進めるという重要な役割を担っていたため、皆さんの健康に貢献できるよう関係者に説明し、サントリー社の自動販売機の設置を進めました。

― どのような効果が得られましたか?
林さん:
サントリープラスの導入が進むにつれ、「健康に対する意識が変わった」という声がサントリープラスNaviに届くようになりました。年2回実施している歩こうフェスでは、社員同士でコミュニケーションが取れていたのも効果を実感した点です。
飯田さん:
サントリープラスを導入してから、大垣支店における健康診断の2次検診対象者率(要検査・要治療)の割合が前年と比較し5.89%減少しました。また、今回サントリープラスを導入した中日本地区の事業所では、導入していない事業所に比べ、健康診断の2次検診対象者率が前年対比で4.65%低いという結果も出ています。

社員の健康に対する意識が変化したからこその結果ではありますが、その変化の一助にサントリープラスが寄与してくれたと感じています。アプリに表示された「日常タスク」をタップするだけという使い易さが、社員の「やってみようという気持ち」を後押ししてくれました。
林さん:
中日本地区全体のダウンロード率は58.3%です。サントリープラスNaviを月2~3回は定期的に確認することで、ダウンロード率とアクティブユーザー率の動きから施策が効果を発揮しているのかなどを判断しています。
例えば本社で実施した、「らくらくスターターパック」を利用したアプリダウンロードの促進イベントは好評でした。健康飲料をアプリを通じて手軽に試せる点が受け入れられたと思います。実際に大垣本社での健康飲料販売本数は、約5倍に増えましたし、私も社員が健康飲料を買っているのをよく目にするようになりました。
10月から全国展開に向けてスタートしますが、「らくらくスターターパック」を活用したり、ダウンロード数を見ながら大垣支店と同様に、アプリ案内のチラシやクリアファイルを配布するなど、数字を踏まえて施策を実施する予定です。目標は全国展開した時点で70%のダウンロード率です。さまざまなイベントを開催し、ダウンロード率もアクティブユーザー率も着実に増やしていけたらと思います。

幸せの根幹は、心身ともにイキイキと働けること
― 健康経営に取り組み始めたきっかけを教えてください。
林さん:
2020年頃、社会全体で健康経営が話題になる中、社内でも健康経営優良法人の取得に向けた動きが始まりました。この取り組みを通じ、「自社の現状を客観的に把握し、来年度以降に活かそう」と社内で話したのを覚えています。なお、西濃運輸はセイノーホールディングスと連携し、健康経営優良法人の申請を行っています。
飯田さん:
健康経営優良法人の活動を進めるにあたり、健康経営に向けたプロジェクトチームを西濃運輸の全社員から公募しました。その結果、本社メンバーを中心に全国から手が挙がりました。メンバーは適宜入れ替わりながらも、常時5~10名がウォーキングイベントの企画や、健康に関するコラムの発信に携わることに。当時はイベント参加者が数百人規模に留まっていましたが、まずは行動することを重視しました。
― 健康経営において大事にされていることを教えてください。
飯田さん:
健康を土台に、従業員を幸せにすることが目標です。西濃運輸は、経営理念「会社を発展させ、社員を幸福にする」を掲げています。健康経営では「健康」をその土台としました。
この土台には、健康だけでなく経済的な報酬など、さまざまな要素が含まれていると考えていますが、私たちは「身体が丈夫で、精神的にもイキイキと働けることが幸せの根幹である」と捉えました。メンタル面でどれだけイキイキと働けているかは、世界中の企業でも注目されている点であり、私たちの考えの根拠としても十分だと判断しています。

― 具体的にどのような指標を設定し、施策に取り組んでいますか?
飯田さん:
社員を幸福にするという観点から、私たちがエンゲージメントを測るために設定している指標は、「経済問題」「誇り」「将来性」の3つです。経済問題は、経済的に満たされていること。誇りは、会社に誇りを持てること。そして将来性は、会社に将来の展望を期待できることを指します。
これらの3つの指標は、経営理念にも掲げられており、社内では「幸福の三本柱」と呼ばれています。全社員がこの三本柱を実感できるよう目指しています。
具体的な取り組みとしては、例えば健康診断において、健康診断の受診率を100%、二次検査の受診率を90%といったように、施策ごとに目標値を設定し、行動を促しています。特に、西濃運輸の社員はドライバーが多いため、健康起因事故を防ぐことが重要です。そのため健康診断の受診を促し、要精密検査だった場合、受診確認まで徹底しています。これらの情報はクラウドツールを活用して収集しています。
一方で健康増進や未病対策に向けた取り組みは、まだ始まったばかりです。睡眠に関するコラムを配信し、アンケートを通じて反応を確認しています。また講師を招いてセミナーを開催したり、イントラネットでピラティスの動画を視聴できるようにするなどの取組みも進めています。
陸運業に関わる人が健康的に働ける環境をつくりたい
― 今後、健康経営を進める上で課題に感じていることはありますか?
飯田さん:
特に力を入れたいのは、ドライバー向けの睡眠に関する取り組みです。その中でも睡眠時無呼吸症候群については、重点的に対策を進める予定です。日頃から十分な睡眠が取れているかなど、新たな指標の1つに加えたいと考えています。
また、睡眠中の無呼吸によって、運転中に眠気を感じることで事故のリスクが高まることを防ぐため、安全関連の部署とも連携し、リスクを可能な限りゼロに近づける取り組みを進めてまいります。

― その課題を達成するために、サントリープラスをどのように活用していきたいですか?
林さん:
サントリープラスの導入事業所数、ダウンロード者数も徐々に増えてきたことから、今後は「歩こうフェス」の継続的な開催などを通じて、アクティブユーザー率向上に向けた取り組みを進めたいと考えています。
飯田さん:
サントリープラスを、健康飲料の利用増加や行動変容がどの程度進んでいるかを指標として活用できればと考えています。
林さん:
輸送事業は労働集約型産業であり、健康が資本です。同時に、働く上では心の健康も重要です。アプリ形式のサントリープラスだからこそ、対話だけでは得られない情報をデータから得るきっかけになればと考えています。
― 最後にメッセージをお願いします。
飯田さん:
昨今、陸運業界では「2024年問題」によるドライバー不足が課題として注目されています。こうした状況の中で、ドライバーの健康を含め、社員を守るために、サプライチェーンで関わる皆様にも西濃運輸が取り組む健康経営への思いを少しでもお伝えできればと考えています。健康経営においては取り組みを始めてまだ4年目、現時点では偏差値も50未満かもしれませんが、将来的には他のサプライチェーン企業の健康経営を支援できる存在になれたらと思います。
※数値は全て取材時点での情報です。
サントリープラス開発チームより
地道な声かけとチラシ作戦が功を奏し、大垣支店では90%を超えるダウンロード率を達成した西濃運輸様。導入のモデルケースを社内に作ることで、全国展開に向けた社内説得や普及の足掛かりとされました。また、今回サントリープラスを導入した事業所は、導入していない事業所に比べ、健康診断の2次検診対象者率が前年対比で4.65%低いという結果も報告されています。
サントリープラスでは、西濃運輸様のように全国規模で実施できる施策をご検討の企業様、本社・子会社とホールディングス全体で統一した施策を実施されたい企業様などに対し、施策検討から普及まで並走した支援が可能です。ぜひ興味を持たれた企業様がお見えでしたら、一度お問合せよりご連絡いただけますと幸いです。