社長のおごり自販機事例
理事長のおごり自販機でつながる、
職員と患者の“こころの距離”
「社長のおごり自販機」を
導入した結果
課題
効果
コロナ禍が深刻化し“会話を控える”空気が強まり、横の連携が取りづらくなった
会社の垣根を越えた交流が定着し、さりげない会話が生まれやすくなった


医療法人起生会林内科胃腸科病院
理事長 花田さま
業種病院
ご利用規模約180名
導入目的職場コミュニケーションの活性化
コロナ禍で分断された職場コミュニケーションをどう再接続するか。多職種が協働する医療現場にとっては重要なテーマです。今回ご紹介するのは、九州の医療法人で「社長のおごり自販機」を導入し、院内の横断連携に加えて、グループの介護事業所との越境交流まで生み出した事例を花田理事長に伺いました。
導入のきっかけを教えてください
日頃から職場を良くするアイデアを探しており、その中で「社長のおごり自販機」を知ってサントリーさんに直接問い合わせました。その後、コロナ禍が深刻化し、病院では“会話を控える”空気が強まり、横の連携が取りづらくなりました。2人で“ピッ”と一緒に飲み物を受け取る仕掛けなら、自然に声をかけあうきっかけになるそう考え、導入を決めました。
運用を工夫された点を教えてください
人が集まる共有スペースに設置し、あえて「毎日、違う人と“ピッ”してください」と周知しました。さらに当院はグループ内に介護会社があり、会議の前に“まず一緒に1本”を合言葉に、会社の垣根を越えた交流が定着。小児リハビリでは夏休みのスタンプラリーと連動し、最後のご褒美としてスタッフと一緒に“ピッ”。リンゴジュースを受け取る小さな成功体験が、療育のモチベーションにもつながっています。兄弟姉妹が一緒のときは皆で楽しめるようにするなど、現場提案を柔軟に採り入れています。
現場の反応は、いかがでしたか?
「今週もきっちりもらいました、ありがとうございます」といった日常の感謝の声がまず増えました。普段は待遇面などに厳しい意見をくれる看護師さんが、「導入の話を聞いた瞬間、めっちゃテンション上がりました」と言ってくれたのも印象的でした。金額では届かない“嬉しさ”が確かにあるのだと実感しましたね。看護部長からも「職場に方針が浸透しやすくなった」という評価が出ており、同じ職場の中でも職種が違う看護師と看護補助者の間で、さりげない会話が生まれやすくなったと感じます。理事長と中途入職者が気軽に立ち話できる雰囲気も醸成され、駐車場の不便さなど日常の困りごとが早めに共有・改善されるようになりました。
見えてきた効果と組織への波及について
取り組み全体の結果ではありますが、離職率は低下傾向です。何より、“病院と介護”というプロフェッショナル集団同士の心理的距離が縮まり、連携の質が向上しました。会議に入る前の数分で、同じ飲み物を手にするだけで空気が和らぎ、情報共有が速くなる。スローガンや方針といった“上からのメッセージ”も現場に浸透しやすくなったと感じます。コミュニケーションは目に見えにくい資産ですが、日々の小さな対話が積み重なると、確実に組織運営の基盤を強くしていると感じています。
今、医療機関が導入を検討する意義を教えてください
初任給や人件費の上昇が続く中、民間の中小病院は給与だけでは競争しづらい現実があります。だからこそ、働きやすさやエンゲージメントで差別化する必要がある。「社長のおごり自販機」は、ユニークで分かりやすく、しかも“誰もが使える”福利厚生の象徴になり得ます。多職種・他部門・グループ会社という壁をやわらげ、組織に前向きな対話を生み出す。その波及効果まで見据えれば、投資対効果は十分に見込めるはずです。
未導入の病院へのメッセージ
病院は資格も役割も異なる専門家の集合体です。つなぐ仕掛けがあるかどうかで、連携の質は大きく変わります。まずは人が集まる場所に置く、違う相手と“ピッ”するルールを軽やかに伝える、現場発のアイデア(小児リハのご褒美など)を歓迎する——この三点を押さえれば、自然と会話が生まれます。コストに迷うより、組織にどんな“前向きな会話”を増やしたいかを起点に導入先が増えていってくれると嬉しいなと感じます。