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サントリー地域文化賞

活動詳細

東北

福島県 郡山市 2021年受賞

民俗芸能を継承するふくしまの会
東日本大震災で被害を受けた県内の民俗芸能団体の活動を支援

代表:懸田 弘訓 氏

2021年9月更新

写真
東日本大震災後10年の節目に行ったYouTubeライブ配信(請戸の田植踊、浪江町 請戸芸能保存会)

 福島県は「浜通り」「中通り」「会津」という気候風土の異なる3つの地方から成り立ち、個性豊かな神楽や獅子舞、田植踊などの民俗芸能が継承されてきた。2010年の調査では、県内に約800の民俗芸能の保護団体があり、浜通りにはそのうち430団体が存在した。

 しかし、2011年の東日本大震災と原子力発電所事故により、浜通りを中心に甚大な被害をうけ、約16万人が県内外への避難を余儀なくされた。生活の基盤が奪われ、地域の住民が守り続けてきた民俗芸能の継承も突如として危機に陥ったのである。

 震災後、宮城や岩手では県が民俗芸能の被害状況の調査や支援に乗り出したが、原発事故の対応に追われる福島では行政の手が回らなかった。そのため2011年9月、民間有志12人が「民俗芸能学会福島調査団」を組織し、独自に伝承者や指導者の被災状況、道具の被害についての調査を開始した。翌年から民俗芸能保護団体の活動再開にむけた支援にも着手。2015年には、調査団を法人化して「特定非営利活動法人民俗芸能を継承するふくしまの会」が誕生した。

 ふくしまの会では、福島県から「民俗芸能復興サポート事業」を受託し、毎年約50団体を訪ねて、人材育成支援やネットワーク形成、行政との意見交換等を行っている。また、県と協力して毎年開催する「ふるさとの祭り」は、民俗芸能披露の貴重な機会となっている。さらに継承に必要な衣装や諸道具の修繕・新調や記録撮影のため、主に文化庁の補助事業を活用し被災地の保護団体の支援をしている。これまでに交付された補助金は約1億6000万円にのぼり、被災地では70団体以上が活動を再開するに至った。

 しかし長引く避難や人口の減少などにより、現在も活動の継続が難しい団体は少なくない。そのような団体には、映像記録を残すように勧めている。撮影が継続への意欲を高めることもあり、演者が集まることで、休止していた活動を再開するきっかけになることもあるという。映像には演じる場面だけではなく、太鼓の打ち方や笛の指使い、着付けなども個別に記録する。後継者が映像を見て学べるだけでなく、活動が途絶えた場合にも、将来活動を復活させるための資料となる。その他にも、次世代の担い手育成のため、地域の学校と保護団体の連携を呼びかけるなど、様々な形で活動継続に向けた働きかけを行っている。

 祭りや芸能は、地域の人々の助け合いと協調の精神を育む核となってきた。とりわけ慣れ親しんだ土地を離れて暮らす人々にとっては、芸能は人々の心をつなぐ「ふるさと」そのものとなっている。地域の宝である芸能を未来に継承してゆくため、「民俗芸能を継承するふくしまの会」の活躍がより一層期待されている。

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