2026.06.08
探求心を持ち、 スペシャリストとして貢献したい。「伊右衛門」の味わいと品質を支える製造現場のこだわりとは?│板永 祐典

サントリーのものづくりの現場へ訪れて、つくり手たちのこだわりを紹介するシリーズ企画「ものづくりの現場から」。第10回目は、首都圏の主力工場として伊右衛門やサントリー烏龍茶、やさしい麦茶など、主にお茶のペット飲料を製造するサントリープロダクツ 神奈川綾瀬工場(以下、綾瀬P)。調合部門で液処理工程のスタッフ業務を担う板永祐典さんに話を聞きました。
※この記事は、サントリーグループの社内報『まど』2026年4月号から転載しています。記事内の所属および役職等は取材時のものを使用しています。
Q. 板永さんの業務への「こだわり」について教えてください。
2018年の入社以来、充填前の中味液を殺菌する液処理工程でオペレーション業務を担当してきました。24年からは同工程のプロジェクト推進や設備増強などのスタッフ業務に従事しています。現在注力しているのは、製造ラインにおける製品の切替時間を短縮するプロジェクト。近年、物流問題による輸送力の低下を背景に、エリア内需給率を高めるため小ロットでの製造が増えていますが、ラインの切替回数が増加し、この時間の短縮が課題となっていました。そこで、切替のたびに薬剤や蒸気を使用して設備を洗浄・殺菌し、再度無菌状態にして生産していた従来の方法を変え、無菌状態を維持したまま水ですすぐことで、切替時間を大幅に短縮する新たな手法に挑戦しました。世界的に見てもお茶の飲料工場では前例がほとんどない取り組みで手探りの連続でしたが、疑問を1つも残さないというこだわりを貫きました。部署の垣根を越えて多くの方の協力もいただいて、最適な設備・制御設計を実現しました。
Q. 今後の目標は?
これまで経験した中味殺菌に加え、今後は無菌充填工程についても学びたいです。この両方を理解することで、工場のより効率的な稼働やロスの削減につなげられると考えています。目指しているのは、殺菌分野のスペシャリスト。殺菌の現場と設備を知り尽くし、サントリーのより良いものづくりに貢献していきます。
今回取材で訪れたのはサントリープロダクツ 神奈川綾瀬工場
お茶の調合工程
1:抽出
茶葉をお湯で煮出した後、分離タンクに投入し、急須のようにメッシュを通して茶葉と抽出液を分けます。続いて抽出液を遠心分離機にかけ、さらに細かい茶葉を除去してから冷却。抽出時間や温度が少しでも変わると、風味・香味に大きな影響が出るため、茶葉の種類によって抽出条件を厳密に管理しています。
茶葉をお湯で煮出す
分離タンクに投入し、茶葉と抽出液を分ける
2:調合
抹茶などの粉末原料を溶解タンクで均質に溶かした後、抽出工程でつくった抽出液と共に調合タンクで混ぜ合わせます。ここで完成した中味液は、機器による糖度や濁度などの数値測定に加え、官能検査で香味を確認することで品質をチェックします。
伊右衛門に使用する抹茶粉末
左の三角形の設備「パウブレンダー」から粉末原料を投入し、右の溶解タンクで溶解後、調合タンクへ送る
3:液処理(殺菌)
酸化による劣化を防ぐため、脱気タンクで中味液に溶けている酸素量を低下させた後、製品滅菌機で約140℃まで加熱し、殺菌します。風味を損なわず、かつ確実に殺菌できるよう、製品ごとに配管の長さや流量を調整し、処理時間と温度を管理しています。
管内で中味液を加熱し殺菌する製品滅菌機
省水を実現する再生装置
綾瀬Pでは、工場設計時から徹底した省水を目指し、サントリープロダクツの工場で唯一となる、洗浄水の再生装置を導入しています。容器の洗浄に使用した水を純水レベルまで浄化した後、滅菌機で無菌化し、再び容器の洗浄水として使用します。この設備の管理も、調合部門が担当しています。
複数の処理設備を通し、容器洗浄に使用した水を浄化・無菌化する
殺菌した水は再度容器洗浄に使用される
※内容・社員の所属は取材当時のものです。