2025.09.22
世界の原料が、サントリーの一杯に変わるまで-グローバルに活躍する、原料調達部の裏側-

サントリーの商品は、厳選された原料から生まれます。
原料調達部は、グローバルな視点で高品質な原料を安定的に確保し、コストや納期を最適化することで、サントリー商品の高いクオリティを支えています。今回は、酒類商品の原料を国内外(主に欧州や北米)から調達している石井楓さんに、仕事のやりがいや魅力、サントリーならではの挑戦について伺いました。
原料あっての商品。商品は、原料なしでは創れない。
「安心安全で高品質な商品づくりを支える原料を、安定的に調達することが、私たち原料調達部のミッションです」と語る石井さん。
石井さん:私は酒類商品の原料調達担当として、ウイスキー製造に欠かせない樽・樽材や、リキュール・RTD(※)・ブランデーなどの酒類に使用される原料を調達しています。業務の軸はQCDE(品質・コスト・納期・環境)の観点から、原料を安定的に確保することです。さらに、より良い品質やコストを実現するための改善・提案も重要な役割の一つです。
※RTD:Ready to Drinkの略。ふたを開けてすぐにそのまま飲める缶やペットボトル入り飲料などの総称
サントリーホールディングス株式会社 サプライチェーン本部 調達本部 原料調達部の石井楓さん
担当地域に足を運び、現場の状況把握やパートナーとコミュニケーションをとるのも、私たちの大切な役割です、と石井さんは語ります。
石井さん:日々、国内外のパートナー(※)やブレンダー室(※)、工場、生産部門など多くの関係者とコミュニケーションを取りながら業務を進めています。私は欧州および米国地域のサプライチェーンを担当しており、生産現場の確認や商談のために、年に数回は現地のパートナーを訪問しています。
パンデミックで現地に行けなかった時期があったからこそ、「現地を訪れることで初めて物の流れや品質への理解が深まる」ということを痛感しました。パートナーとは本音ベースのコミュニケーションを心がけており、関係強化にも努めています。
※パートナー:サントリーグループのサプライヤー等、共に人権の尊重や環境保全を目指し、同じ倫理的価値観を持つお取引先を指す
※ブレンダー室:原酒の個性を見極め、理想の味わいを設計・調整する役割を担う専門部門
樽の担当となってすぐスペインへ出張に行った石井さん。
石井さん:昨今は原料調達を取り巻く環境が大きく変化しており、供給の不安定化やコスト高騰といったリスクも増しています。リスク解消の手段として、これまで海外から調達していた原料を日本国内で安定して調達できるようにする取り組みや、将来調達が難しくなりそうな原料の代替品を探索するのも私の仕事のひとつです。
骨の折れる業務ではありますが、世界中のパートナーと協業しながら、サントリーの品質にこだわった商品づくりに貢献できることは大きなやりがいになっています。
また自社の商品を、社員はもちろん協業する世界中のパートナーたちも愛してくれている――。そんな環境で働けていることは、メーカーならではの大きな魅力だと感じています。
視察のため、スコットランド ローランド地方のオーヘントッシャン蒸溜所へ出張。国内の蒸溜所との違いを現地社員から直接レクチャーしてもらい、学びが多かったそう。
世界の動向にアンテナを張り、安定供給の実現へ
原料の安定調達のためには、国際社会の状況や市場動向を把握することも非常に重要です。部署全体でも独自の取り組みが行われています。
石井さん:新聞やニュース、公的機関が発行する情報に加え、各国のパートナーから直接情報を入手しています。また、原料調達部では市場動向、地政学情勢、天候などの情報をもとに原料に関わるリスクや機会を議論し、プロアクティブな活動につなげるための会議(通称インテリジェンス会議)を定期的に実施しています。
会議では日本、アジア、北米など8つの地域別チームから報告を行いますが、私は欧州チームのリーダーを務めています。
社内の風通しがよく、コミュニケーションを取りやすい環境にあるため、日々上司や部内外メンバーと打合せや相談をしながら業務を進めることができている、と石井さん。
まっすぐなコミュニケーションが信頼を築く
パートナーの意思を丁寧に拾い、自分の意見をまっすぐに伝えることで信頼関係が成り立ちます。
石井さん:海外のパートナーと強固な信頼関係を築くには、ストレートでわかりやすいコミュニケーションが欠かせません。配属当初、パートナーに日本特有の遠回しな表現が伝わりづらく苦労しましたが、先輩たちが築いてきた信頼関係のおかげで、今では本音で話し合える関係を築けています。
例えば、課題や要望を率直に伝えることで、認識のズレを防ぎ、品質や納期の課題を迅速に解決できます。こうした「まっすぐなコミュニケーション」が、原料調達業務における信頼構築の鍵となります。
配属当初に直面したコミュニケーションの壁は、上司や先輩のフォローで乗り越えられたそう。
語学力以上に大切な「伝える力」と「熱意」
石井さん:部署のメンバーは、大学時代にグローバルな活動や留学経験がある方ばかりではありません。海外のパートナーと円滑にコミュニケーションをとるために、社会人になってから英語の勉強を始めている方もいます。
サントリーは語学力を伸ばすための機会が充実しており、「サントリー大学」という人材育成プラットフォームで英語を学べたり、TOEICの受験のための会社支援もあるため、活用している方も多いと思います。
しかし、言語はあくまでツールに過ぎません。海外のパートナーとのコミュニケーションで重要なのは、「伝える力」と「熱意」です。部署のメンバーは、必要に応じて語学力を磨きつつ、パートナーに対して商品や原料への深い情熱を伝えることに全力を注いでいます。サントリーが大切にする価値観や商品の品質を、正確に心から伝えることで、信頼関係を築いています。
調達の未来を「やってみなはれ」で切り拓く
原料調達部が直面したリスクに対しても、社内に根付く「やってみなはれ」の精神が背中を押してくれました。
石井さん:海外から調達している原料の一つが、コロナ禍における物流混乱により、調達が危ぶまれる事態に直面したことがありました。こうした経緯を踏まえ、従来の海外調達ルートでは安定供給が難しいと判断し、調達スキームを海外から国内へ移行するプロジェクトが立ち上がっています。
私もプロジェクトメンバーの一人として、部内外あわせて10~20名ほどの関係者と日々相談を重ねながら、早期完了を目指して取り組んでいます。
この規模のプロジェクトをリードすることは私にとって未知の挑戦ですが、サントリーに根付く「やってみなはれ」の精神があるからこそ、困難な課題にもチーム一丸となって前向きに取り組めていると感じています。
石井さんは、入社を決めた際もサントリーのカルチャーが決め手となったそう。
石井さん:入社の決め手は、「やってみなはれ」という企業理念どおりの挑戦的な企業文化や、年齢、性別を問わずグローバルに活躍できるサントリーならではの環境でした。選考中、社員の方とお話しする機会がありましたが、どなたも職種やキャリアはさまざまながら、共通して皆いきいきと働いている姿が印象的でした。
また、面接の場でも肩の力を抜いて自分らしく話せたことも、入社の意思決定を後押ししました。社員となった今でも、サントリーは挑戦を応援してくれる会社だと実感しています。
グローバルに活躍されている石井さんですが、将来的にはこれまでの経験を活かし、「サントリーブランドの認知度向上に貢献する仕事にも挑戦したい」と展望を語ります。
石井さん:海外で仕事をする際に感じるのが、「サントリーシングルモルトウイスキー 山崎」など商品名は世界中で認知されていますが、「サントリー」の認知度はまだまだ広げる余地があるということです。
将来新しい分野で仕事をするなら、原料調達で培ったコミュニケーション能力や知識を生かして、世界中にサントリーの魅力や商品の作り手の情熱をより広く伝えられるような仕事にも挑戦してみたいです。
現業での学びを活かして、サントリーブランドを世界に届けたいと語る石井さん
※社員の所属・役職、内容は取材当時のものです。
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石井 楓 Kaede Ishii
サントリーホールディングス株式会社
サプライチェーン本部 調達本部 原料調達部
2020年に新卒としてサントリーホールディングス株式会社に入社。物流部で麦芽をはじめとする酒類商品の原料の物流業務を担当。2021年4月に組織変更により原料調達部へ異動し、酒類商品の原料の調達および物流業務を担う。2025年3月以降は、樽・樽材も新たに担当し、国内外から酒類商品の原料を調達している。