2025.05.26
友寄 翔太│「自分の挑戦が、チームの底上げにつながる」。「BOSS」の味わいを追求する製造現場のこだわりとは?

サントリーのものづくりの現場へ訪れて、つくり手たちのこだわりを紹介するシリーズ企画「ものづくりの現場から」。第6回目は、コーヒー、お茶、炭酸飲料、フレーバーウォーターなどの缶・ペットボトル飲料を製造するサントリープロダクツ 木曽川工場(以下、木P)。素材/調合グループで製造管理を担う友寄 翔太さんに話を聞きました。
※この記事は、サントリーグループの社内報『まど』2025年4月号から転載しています。記事内の所属および役職等は取材時のものを使用しています。
Q. 友寄さんの業務への「こだわり」について教えてください。
木Pでは、中京エリアの需給状況に応じて、さまざまな製品を少量多品種で製造しており、急な製造計画の変更にも柔軟に対応しなければなりません。また、製品ごとに設備の設定や、原材料の投入量が異なるため、慎重な管理が必要ですが、どんな状況でも焦らずに、正確な対応を心掛けています。さらに、製造後の中味検査の分析値が基準の範囲内であっても、基準の中央値から乖離が見られた場合は、その原因を探るなど、「胸を張って完璧な品質と言えるか」を常に意識し業務に取り組んでいます。
Q. 今後の目標は?
2012年の入社以来、コーヒーなどの「調合工程」に従事してきましたが、21年からは、その前工程である、コーヒーのコクや香りのもととなる素材を製造する「素材工程」も担当するようになりました。学ぶべきことも増えていますが、1つ1つの業務を確実に身に付けて、幅広い知識を持つ人財として成長したいと思っています。若手の頃に先輩方の挑戦する姿に触発されてモチベーションが高まった経験があるため、新たなことを学び、挑戦し続ける姿勢は周囲にも良い影響を与えると信じています。チーム全体の成長も見据え、今後も貪欲に新しいことに挑戦していきたいです。
BOSSの素材・調合工程
1:アロマ・エキスの抽出
高温の蒸気を使用するSCC(スピニング コーン カラム)と呼ばれる製法で、コーヒー豆から、香り成分であるアロマと、中味にコクを与えるエキスを抽出します。サントリープロダクツでSCC製法が可能な装置を保有しているのは、木Pと多P※ のみ。木Pで製造したアロマやエキスは、全国各地の工場にも出荷されています。
※多摩川工場
SCC製法の装置
2:コーヒー液の抽出
コーヒー豆を粉砕し、そこへ熱湯を注ぎ浸漬させることで、コーヒー液を抽出します。農作物であるコーヒー豆は、同じ品種であっても生育環境によってサイズや糖度が異なるため、必要な熱湯の量や浸漬させる時間が変わってきます。豆の状態を見極めて臨機応変に対応することが、狙った味わいの仕上がりを可能にし、私たちの腕の見せどころでもあります。
抽出釜の中の様子を確認
現場オペレーターと意見を交わしながら、抽出の設定値を調整
3:調合
抽出したアロマ、エキス、コーヒー液に、牛乳や液糖などを加えてタンクで調合します。新製品導入の際には、製造レシピに基づき、狙い通りの中味を実現するために必要な装置や条件を洗い出し、現場で使用するチェックシートの作成なども行います。
調合タンク
4:品質分析
分析機器を用いた糖度やpH値の測定に加え、人の嗅覚や味覚による官能検査を実施し、異味・異臭の有無や中味の仕上がりを確認しています。分析値が基準の範囲内であっても、官能検査で違和感があった場合は、徹底的にその原因を究明します。これらの分析はタンクごとに行い、その結果に基づいて、設備の設定値を調整しています。
嗅覚や味覚を研ぎ澄まし、調合後の中味品質を確認
※内容・社員の所属は取材当時のものです。