2023.04.26

世界中で愛される缶チューハイを夢見て──「-196℃」に込めた熱い思い

世界中で愛される缶チューハイを夢見て──「-196℃」に込めた熱い思い

さまざまなフィールドで活躍するサントリーの社員=サントリアンにスポットを当て、「挑戦」をテーマにインタビューしていく特集企画。第2回目は、マーケッターとして缶チューハイ「-196℃」のグローバル展開を成功させたサントリーホールディングス株式会社 RTDカンパニー グローバル経営戦略部の高野 裕子さんが登場。いずれ世界で缶チューハイのトップを、と夢を追いかける高野さんが仕事にかける想いとは──。

ブランドの核をコントロール

サントリーのスピリッツ商品(ビールやワイン以外のお酒)の海外展開を担う高野さん。現在、担当ブランドに「-196℃」を、担当国にアメリカを任され、まさにグローバルで活躍する日々を過ごしています。前職は国内の商品開発のマーケティングを担当していた高野さんですが、国内と海外展開では、その役割が違ってくると話します。

高野さん:私は2018年にグローバル事業部へ配属される前、国内向けに商品開発のマーケティングを6年担当していました。商品開発では、ブランドのコンセプト作りから始まり、お客様のニーズを探る市場調査、広告やデザインでブランドの世界観を作り上げていきます。

映画でいうと「監督」のような立ち位置で、その道のいろいろなプロと協力することで、商品を完成させるイメージですね。

高野さん:一方で、同じマーケティングでも、海外展開の場合は商品の世界観を作る現場監督は、現地のメンバーが担当します。私は現地とコミュニケーションを取りながら、「グローバルブランドとしてどうあるべきか」という核となる部分をコントロールするのが主な役割です。

その国の嗜好に合わせたブランド展開

高野さんが海外と組んで初めて手掛けたのが「-196℃」のオーストラリアでの販売です。これは同時にサントリーにとっても初めての海外への「ローカライゼーション」でした。

高野さん:海外展開といっても、大きく2つのタイプがあります。ひとつは世界中のどこでも同じ商品を水平展開して販売するかたち。もうひとつが、ブランドのコアとなる部分は同じでも、細かいところはその土地のお客様の嗜好に合わせてアジャストしていく、「ローカライゼーション」です。

特にチューハイは、アルコール度数や味など多様性が幅広く、国によって味の好みも、どんなシーンでどのように飲むかなど、かなり違いがあるお酒といわれています。

高野さん:例えば、「-196℃」は、オーストラリアでは果実感が強いことが人気の理由です。

ローカライゼーションと、グローバルブランドとして芯がぶれないこと。高野さんはその両立こそが重要になってくると語ります。

高野さん:現地のことは、現地の人が一番よくわかっています。一方で、ブランドとして外せない部分をどう守っていくかは、丁寧に説明してやり取りを重ねていかなくてはなりません。

私が異動する前の話ですが、オーストラリアで「-196℃」の展開を検討し始めたころ、パッケージデザインの案として現地から上がってきたのは、富士山のイラストでした。それではブランドの世界観とはまったく違う、と......(笑)。

では、「-196℃」にとってブランドのアイデンティティ、ぶれない芯とはどこにあるのでしょう。それはオリジナルの「-196℃製法」にあると語る高野さんの表情には、商品への絶大な信頼と自信が伺えます。

高野さん:「-196℃製法」では、果実をまるごと-196℃で瞬間凍結して粉砕。皮や種に含まれる旨味や複雑味まで余すことなく引き出します。この製法だからできる、果実感あふれる味わいこそがブランドの核です。

海外との細かな感覚の違いを何度もすり合わせていくことで、現地の人に愛されるグローバルブランドとしての「-196℃」が生まれました。

「信頼して委ねる」ことが成功に

チャレンジが実を結び、高野さんを含むオーストラリアの「-196℃」商品開発チームは、社内で「有言実行やってみなはれ大賞」に表彰されました。チームメンバーにも恵まれ、クオリティの高い仕事をしてきたという自負がある一方で、海外メンバーとのやりとりで壁を感じることもあったと言います。

高野さん:グローバルで商品を開発する難しさは、言葉の壁、そして現地の文化や暮らし、考え方を100%理解するのは難しいという点ですね。

言葉の壁ということでいうと、私は大学で英語を専攻、アメリカにも1年留学するなど、もともと英語は好きなほうですが、それでもやはり難しさを感じることが多いです。

ビジネス現場での英語のコミュニケーションは、単純にTOEICの点数が高ければクリアできるというものではありません。日常的にビジネス英語を駆使している高野さんは、そんなふうに言葉の難しさを感じています。

高野さん:使うフレーズが違ったり、微妙なニュアンスがわからなかったりということは、今でもよくあります。

「おいしい」というひと言が、どういう文脈から使われているのか──。日本語であればスッとわかることが、一つひとつ言語化しながら相手とコミュニケーションをしていかなくてはならないのは、正直ハードだなと思います。

ただ、結局は場数を増やすしかないと思うので、ものおじせずコミュニケーションを重ねていくことに尽きますね。

ニュアンスを理解する──。それをさらに難しくしたのがコロナ禍です。商品を開発する段階はコロナ禍で渡航が不可能だったため、現地オーストラリアへの訪問は叶いませんでした。

高野さん:私がオーストラリアでの商品開発に関わるようになったのが2018年。発売されたのが2021年なので、ほとんどの期間、オンラインでのやりとりが中心となりました。現地からサンプルを送ってもらって、お互いがパソコンの前で一緒に味見をしながら、意見交換したりすることもありましたね(笑)。

現地へ実際に行かなければわからない空気感があると思いますが、それは資料を見ながら想像を巡らすしかありませんでした。

そんな紆余曲折を経ながら、ようやくオーストラリアで発売した「―196℃」は予想を超える大ヒットを記録します。

高野さん:オーストラリアでの展開が大成功したのは、なによりも現地のチームとの信頼関係のおかげだと思っています。相手を信じて委ねること。特に今の私のように多様な国籍、文化を背景に持つ人たちと一緒に仕事をしていくうえでは、とても重要だなと感じています。

商品が完成する喜びがモチベーションに

高野さんは国内、海外含め、商品開発のマーケティングに関わって10年のキャリアを重ねてきました。マーケターとして、商品が完成したときの喜びこそがやりがいであり、それがあるから次のプロジェクトも頑張ろうと思えると言います。

高野さん:商品が完成してお店の棚に並んでいるのを見ると、本当にうれしい気持ちでいっぱいになります。私のスマートフォンには、店頭に陳列されている商品の写真がずらりと並んでいて、自分でも笑ってしまうほど(笑)。

それくらいできあがった商品がかわいいし、多くの人に飲んでいただきたいと思っています。海外でも、スーパーで「-196℃」を見つけると、思わず「やった!」と心の中でガッツポーズをしています(笑)。

世の中が大きく動き出し、高野さんも海外との行き来をする日々を過ごしています。現地との距離が近づくほどに、その視線はグローバルでのさらなる成長に向けられています。

高野さん:ここ1年は2ヵ月に一度のペースで海外に出張しています。リアルにその国の様子を体験しながら現地メンバーと直接会話をすることで、意欲が刺激される日々です。

もっともっと多くの人に「-196℃」を飲んでもらい、世界中で愛される缶チューハイとして、グローバルNo.1の商品に育てていきたいですね。

人が魅力。それがサントリーという会社

ところで、今回の取材で「これまでの失敗経験」を尋ねたところ、「どうしても思い浮かばなかったんです」と高野さんは笑います。

高野さん:もちろん、これまで数え切れないくらい、たくさんの失敗をしてきているはずなんです。でも、それが自分の中では「単なる失敗」として残っていなくて、思い出せないんでしょうね。

失敗を否定するのではなく、次にどう生かすか考える──。そんなサントリーの企業カルチャーが、自分にも周りの人たちにも根づいているおかげだと思います。

挑戦を後押しする企業カルチャーを支える「人」こそが、サントリーの魅力。そうかみしめるように語る高野さんの脳裏には、ともに笑顔で挑戦し、励まし合ってきたたくさんのサントリアンの顔が浮かんでいます。

高野さん:私がサントリーに入社を決めたのは、OBOG訪問で「人が楽しそうに働いている会社」だと感じたからです。入社して15年、そのときの印象は今も変わりませんし、周りを見渡しても楽しそうに働いている人ばかりです。

誰もが楽しく働けているのは、まかせて、チャレンジさせてくれる風土があるから。自由闊達で明るくて、ポジティブ、困っているときはスッと助けてくれる。そんな人たちに囲まれて仕事ができるのは、とても幸せなことだと思います。だから、サントリーの社員は、みんなサントリーが大好きなんでしょうね。

※内容・社員の所属は取材当時のものです。

高野 裕子

高野 裕子Yuko Takano

サントリーホールディングス株式会社
RTDカンパニー グローバル経営戦略部

2008年にサントリー株式会社に入社。ロジスティックス推進部に配属の後、RTD事業部にて「-196℃」「カロリ。」「のんある気分」などのチューハイブランドを担当。2018年より現部署の前進である事業開発部に配属となり、「-196℃」のグローバル担当として、オーストラリアや中国へ各国オリジナルの「-196℃」を世に送り出し、真のグローバル化に向けてさらなる挑戦を続けている。

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