Yoshito Ishihara
石原 嘉人

サントリーホールディングス株式会社
財経本部 グループ財務部

石原 嘉人
石原 嘉人

入社以来、一貫して財務・経理の仕事に携わり、資金調達や余資運用を始めとして、投資評価、グループ会社の与信審査、グループ連結および事業別財務諸表の作成など、さまざまな財務業務を担当する。入社8年目、米国サントリーインターナショナルに派遣され、米国持株会社の財務・経理業務の統括や資金調達に携わる。3年半のニューヨーク生活を経て、グループ財務部に。M&A案件や子会社上場案件、グローバル資金調達などを担当している。

グローバルプレーヤーとして
世界で戦うための財務体制の強化へ。

これまで当社では、グローバルプレーヤーとして「世界の巨人たち」と戦うために、さまざまな財務体制づくりを進めてきました。今回、私が携わったサントリー食品インターナショナル(SBF)のIPO(新規株式公開)案件とビーム社買収案件も、グローバル戦略の一環として位置づけられたものです。SBFの東証1部上場では、グローバルプレーヤーとして世界と戦っていくための財務体質の強化を目的に、市場からの資金調達に踏み切りました。一方のビーム社の買収は、海外のスピリッツ市場への進出に向けた基盤づくりを目的としたものです。
私はニューヨークから帰国後の2012年4月頃から、本格的にこの二つの案件に参画。サントリーにとって初めてとなる上場でしたので、その責任の重さを感じながらも、新たなことに挑むワクワク感もありました。一方で、買収案件も同時並行的に進めなければなりませんでしたので、かなりのスピード感をもって進める必要もありました。

グループ全体を統括する財務の観点から、最適な値を導き出す。

市場から資金調達をするためには、投資家にとって魅力ある企業でなければなりません。まずは投資家にアピールするための戦略づくりがスタート。どれだけの資金を調達し、その資金で何をするのか、事業の成長性・収益性などをアピールするためのストーリーづくりが行われました。こうしたストーリーづくりは、SBFの専門チームが中心となって進められました。私の役割はサントリーホールディングス(SHD)の財務担当者として、グループ全体の財務を統括する観点からさまざまな判断材料を提示し、上場に向けたサポートをすることでした。とりわけ私が深く関わったのが、SHDが保有するSBF株の一部売り出し。

売り出し比率の検討においては、SBFの成長の為の資金獲得という上場本来の主旨に留意しつつ、SBFとSHD双方が財務体質の改善・投資余力の獲得を実現するためのバランスを考え、さまざまなシミュレーションを繰り返しながら、最適な値を導き出していきました。私がこの案件に関わってから約1年後の2013年7月、SBFは無事上場を果たし、現在も上場時の公開・売出価格を大きく上回る水準で株価が推移しています。

海外市場から調達を目指した、
新たなスキームづくりに挑戦

SBFのIPO案件とほぼ同時期に検討が行われたビーム社の買収案件は、SBFのIPO案件とは異なり、私たちSHDが中心となって進められたプロジェクトでした。財経本部からも部長以下3名が参加し、SHD内に編成された専門プロジェクトチームと協同しながら、買収に向けた検討を行いました。私は主に買収資金の調達を担当しました。世界的なブランド「ジム・ビーム(Jim Beam)」で知られるビーム社の買収は、サントリーとして最大の案件。買収のために必要となる多額の資金を、最善のストラクチャーで調達すること。これが私に与えられたミッションでした。ブリッジローンの組成スキーム・ブリッジローンからパーマネントファイナンスへの置き換え戦略を検討するとともに、買収を行った場合にサントリーグループの財務体質が中長期的にどのように推移するかを繰り返し分析し、最適なスキームづくりを目指しました。

さまざまな資金調達オプションについてメリット・デメリットを整理するうえでは、銀行・フィナンシャルアドバイザー(証券会社)や弁護士など社外専門家との議論を重ね、金利上昇リスク・為替変動リスク・流動性リスクといった観点から分析。リスクの最小化を実現できる調達ミックスを検討し、外貨建て劣後ローンや海外市場での社債発行など、今までに経験のなかった資金調達にチャレンジしました。特に海外市場での社債発行においては、米国をはじめとした社債投資家とダイレクトにコミュニケーションし、まとまった金額の米ドル資金を成功裏に調達できたことが深く印象に残っています。SBF上場も、ビーム社買収も、サントリーにとって過去に前例のない案件でしたので、多くの苦労も、難しさもありましたが、これまでにない経験が得られました。グローバルプレーヤーとしての企業価値を高めるために、財務部門として何ができるのか。今回の経験を糧に、グローバルを舞台にした財務のスペシャリストとして、活躍していきたいと思っています。

* 内容・社員の所属は取材当時のものです。