Uncle Torys.私は、アンクル・トリス。

1958年の誕生以来サントリーの挑戦を見続けて、もう50年以上になる。サントリーのことなら現役社員の誰よりも詳しいんだナ。

アンクル・トリス

アンクル・トリスとは?

1950年代、日本が戦後の経済復興で活況づく中、サラリーマンの一日の疲れを癒すオアシスとしてトリスバー・サントリーバーといった大衆バーが雨後のタケノコのように日本全国に出現しました。バーの止まり木で一杯のウイスキーを楽しむ人々の心情を、等身大で語る存在として産まれたのが「アンクル・トリス」であり、当時寿屋に在籍していた柳原良平氏の筆によって誕生しました。若い頃からお酒と言えばウイスキー、「とりあえずハイボール」が口癖。小心者だが時々思いきったこともする。
どこか憎めない多くの人から愛されるキャラクターとして、1958年の登場以来トリスブランドの象徴としてTVCMや広告でサラリーマンの気分を代弁してきました。現在は、バーテンダー姿に装いを代えるものの、親しみやすいキャラクターはそのままに、吉高由里子さんと共に、トリスハイボールの魅力を伝える存在としてTVCM・広告に登場しています。

ザ・プレミアム・モルツのブランド戦略より

ザ・プレミアム・モルツ

サントリーのビールといえば「ザ・プレミアム・モルツ」。自ら開拓したプレミアムビール市場でシェアは6割。圧倒的な強さを誇るサントリーのフラッグシップブランドなんだナ。

しかし、昨今は「プレミアムビール No.1ブランドだからこその課題」が発生しているゾ。それをチャンスと捉えて「メーカーならではのデジタル・イノベーション」に真正面から取り組むことにしたんだナ。

そして、購買者が多く、そのビッグデータを入手できるビッグブランドだからこそ、デジタルマーケティングが有効なんだゾ。現在進行中の戦略を、惜しげもなく公開するゾ。

ザ・プレミアム・モルツ
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ブランド戦略を導く
データアナリティクス

今、デジタルテクノロジーの進化が、世の中を大きく塗り替えているゾ。

とりわけ to C、消費者向けのビジネスの変化はすさまじい。 背景には、消費者によるITやデータ利用コストの劇的な低下があり、消費者は「いつでも、どこでも」インターネットで繋がって情報を入手し、買い物をし、評価やクチコミを発信・共有しているゾ。

そして、消費者のそうした行動のプラットフォームを提供する企業は、消費者の購買データを提供するサービスを開始。これにより、ビッグデータ分析のインフラが整い、今まで知り得なかった消費者の姿や行動を掴めるようになり、マーケティングの常識は様変わりしたんだナ。

ちなみに、意思決定を支えるデータ分析のプロであるデータアナリスト、データサイエンティストは世界的にニーズが高く、引く手あまた。一流のアスリートのような尊敬を受ける存在なんだナ。

消費者の購買データがつながり、集まるプラットフォーム

ビッグデータの分析が明らかにするのは「ブランドのコンディション」。ブランドが今、どんな状態に置かれているのかが、あらゆる角度からつまびらかになるんだナ。サントリーでも、ビッグデータ分析によってプレモルの抱える課題が定量的に特定され、ブランドの中期戦略に結びつく示唆を出しているゾ。

製品イメージを分析した「プレミアムを象徴するイメージ軸がプレモル固有のものでなくなっている」という結果は、「プレミアムの価値を復権させる」という目指すべきゴールを。 顧客タイプと購買をクロス分析した「売上の伸びを支えるのはロイヤルユーザー(の増加)」という結果は「ロイヤルユーザー回帰」という戦略ターゲットを。 ユーザー行動を分析した「店頭での購買(売上)と飲食店での飲料体験(売上)は相関する」という結果は「家業一体」という新しいマーケティングスキームを、それぞれ導き出したんだナ。

黒字化を達成した2008年の売上高・利益の構成
POINT!!
「顧客接点を大切にしてきた」歴史が、

テクノロジーの進化とリンクして花開く

もともと顧客志向の強かったサントリーは、マスマーケティングの時代から顧客の琴線に触れるアプローチを設計する力には定評がある。ビッグデータ分析によって、アプローチすべきターゲット(課題や顧客行動)が特定されれば、アプローチ(戦略)の効果は高まる。相乗効果でのパワーアップが狙えるんだナ。

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「メーカーならではの購買データ」
を活かした戦略を!

これまで消費者の購買データは、基本的には購買という消費者との接点がある小売業だけが持っていたが、逆に言えば、メーカーは誰が買ってくれているのかを直接知ることができなかったんだナ。メーカーはマスメディアを使って消費者に広くイメージを伝える接点を作り、売上という結果から、マーケティングの効果や消費者の姿・嗜好を推測するしかなかったんだナ。しかし、テクノロジーの進化をベースとしたビッグデータ分析、デジタルマーケティングの進展で、その状況に風穴があくゾ。

「どんなお客様が、いつ、何を見て、どこから、何を買うのか」というリアルな購買行動が 掴めるようになり、消費者の行動をターゲットにマーケティングが行われるようになった。「多くの人(マス)にイメージ伝えれば、おそらく何割かが買ってくれるだろう」 という確率論のマスマーケティングから、「どんなお客様に、最終的にどう行動してほしいかを定めて、そのために最適なメディアとメッセージを使って、ピンポイントでアプローチする」マーケティングへと変わったんだ。

マス型ターゲティングから行動ターゲティング(デジタルマーケティング)へ マス型ターゲティングから行動ターゲティング(デジタルマーケティング)へ

サントリーはこうしたビジネス環境の変化を好機と捉え、ユーザーを識別する手法を独自に開発することにしたんだナ。市販の消費者データは、ユーザー個人がひも付かない。「どんな人が」買っているかま では分かっても、「誰が」買っているかまでは分からない。そういう意味では、行動によって細分化されてはいるものの、結局はマスマーケティングの延長線上にあるんだナ。

そして、サントリーは独自のメソッドによって、店頭での購買行動と個別ユーザーをひもづけることを可能にした。ユーザーの「店頭での購買」と「飲食店での飲用体験」をひもづけることにも成功し、その結果、「飲食店で飲用したユーザーにデジタルなプロモーションを展開して、購買トライアルを促進する」新しいマーケティングスキームの開発に結実させたんだ。

デジタルマーケティング戦略をデジタルの世界だけに閉じることなく、「飲用体験 →デジタルプロモーション→店頭購買→検証」というように、リアルを巻き込んだビジネスに活かし始めているのがサントリーの強みだゾ。

デジタルマーケティングのリアルビジネスへの組み込み デジタルマーケティングのリアルビジネスへの組み込み
テクノロジー起点のマーケティングイノベーション テクノロジー起点のマーケティングイノベーション

とはいえ、購買データの分析とは、基本的には「お客様が実際に購買を行った結果」 からの過去・現状分析であって、直接的に未来へ展開する手法ではないのが現状なんだナ。今後はテクノロジーがリードする形で「購買チャネルのデザイン」に踏み込んでいくことも考えられるゾ。

AIやIoTなどICTの技術は、これから消費者の購買行動やライフスタイル自体を変えていく。その変化を待つだけでなく、サントリー自身が変化を起こしていく主役になることだってあるかもしれない。「新しい売り方・買い方を見据えた商品とその楽しみ方」そのものを、テクノロジーベースで考えていく取り組みも、グループ会社と協力して行っているんだゾ。

取り組みを俯瞰してみると、テクノロジーやそれによるビジネス環境の変化はあっても、やはりサントリーは一貫して「生活文化の創造」の旗手であることを目指しているんだナ。

POINT!!

行動ベースで「分析する」ことに留まらず、

行動デザインに踏み込む
=生活文化の創造

お話を伺った人

室元 隆志さん
デジタルマーケティング本部 部長

次代の競争力である「現場のデジタル化」を推進

室元 隆志さん

変化はマーケティングの領域に留まらない。消費者がインターネットで繋がる社会は、自前の商品やサービスを持たずともto Cビジネスに参入することを容易にしました。

中でも、自社商品を持たずに、世界的な流通革命を起こしたアマゾンはその第一人者と言えます。2014年に4月にアマゾンが日本での酒類免許を取得し、本格的に日本での酒類の販売に踏み切りましたが、サントリーはいち早くその取り組みにコミット。最初の半年は苦労しましたが、試行錯誤の上、酒類販売の上位シェアを獲得するに至りました。
このアマゾンでの取り組みにより、グローバルレベルで見てもメーカーとしては高いECのメソッドを獲得しました。

実店舗のマーケットでのシェア逆転は、大変なことです。しかし、デジタルの世界では 一気に逆転することもできる。この経験は、「デジタルが次代の競争力である」ことを強く実感させられる出来事でもありました。

そうした認識を踏まえ、サントリーグループでも、現場のデジタル化を強力に進めています。

まずは、国内で各事業の主要なブランドの担当者と営業部のプロモーション設計者を対象に、基本的な考え方をインストールしています。

最終的には、社内のあらゆる部門でデジタルの力を底上げする必要があると思いますが、次の取り組みとしては各グローバル拠点について、EC分野を中心に「売りに近いところ」のデジタル化を進めていく予定です。グローバルサントリーを俯瞰した時、アマゾンとの取り組みを通して、現時点では日本のECメソッドが最も進んでいるので、それを世界に展開していきます。

デジタルマーケターに求める姿とは

デジタルマーケティングといっても、単にデジタルメディアを使うことではありません。今は、作って終わり、売って終わりという時代じゃない。目指すべきは、デジタルの継続的接点を作って「欲しいと思ってくださるお客様や購入して欲しいお客様に繋がれるようにして、行動を掴み、結果を検証可能にする」こと。本来的な意味でのマーケティングのデジタル化が、デジタルマーケティングだと思っています。
そこで活躍するデジタルマーケターに求められるスタンスは、「最終的に誰に何をしてほしいのか」という目的を絞り、そこから逆算して「どこで接触するか」「どんなメッセージをどのように伝えるか」といった施策を考えていくスタンス。「ユーザーに何をしてもらうか」をゴールに置く、つまり、常に ユーザーから考える癖を徹底することです。
求められるのは、「全てのタッチポイントを視野に入れて、そこにデジタルでリーチして購買データを入手し、分析して検証する」という PDCAを高速で回すこと。日次でデータを見て、週次で改善する。デジタルマーケティングの時代では、プロジェクト自体が3ヵ月で完結するスピード感で動いています。

逆に、短期間で成長できる環境だとも言えるので、そのようなスピードの中に身を置いてマーケターとして成長したいという学生さんに、どんどんこの仕事を目指していただきたいですね。