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INTERVIEWS社員紹介

井谷 航Wataru Itani

  • サントリー
    株式会社
  • 商品開発研究部
  • 2009年入社
  • 国内/酒類

  • 商品開発

  • #商品開発

  • #6〜10年

#06
06

主力ブランドのリニューアルで、
RTD市場のリニューアルへ

入社後、京都ビール工場醸造部門に配属され、ビール醸造の要である仕込みの現場で醸造およびものづくりを体得。入社3年目にビール商品開発研究部に異動。4つのビールブランドの新商品開発に携わり、商品開発の基本を身につける。入社4年目に現在のサントリー株式会社商品開発研究部に異動し、-196℃ストロングゼロの商品開発を担当する。

PROJECT POINT

「-196℃ストロングゼロ」シリーズの
リニューアルに挑む。

現在、高アルコールチューハイ市場でトップシェアを誇る「-196℃ストロングゼロ」シリーズ。
「-196℃ストロングゼロ」シリーズは、-196℃での瞬間凍結という独自の製法で「アルコール度数高めの飲みごたえ」と「しっかりとした果実感」のバランスを実現し、2005年に高アルコールチューハイ市場へ参入。以来、2011年にフルーツフレーバーの「-196℃ストロングゼロ」を、2013年には食中酒としての「-196℃ストロングゼロ〈DRY〉」を発売し、RTD(Ready To Drink)ユーザーだけではなく、ビールユーザーなど幅広い層からの支持を獲得している。サントリー株式会社ではRTD市場が拡大するなかで、主力フレーバーである〈ダブルレモン〉と〈ダブルグレープフルーツ〉のリニューアルに着手、2014年12月に発売を開始した。その後も、〈桃ダブル〉や〈DRY〉など、多くの種類を展開をしている。

さらなる「飲みごたえ」と
「果実感」の追求へ。

今回の「-196℃ストロングゼロ」リニューアルでは、商品開発研究部のリーダーとして、〈ダブルレモン〉の開発にあたりました。私たちの役割は、新商品のコンセプトづくりを手がけるブランド戦略チームとともに、実際の中味を開発することにあります。例えば、どんな味わいを実現したいのか、ブランド戦略チームと一緒にディスカッションをしながら目標品質を決めていきます。そして、目標とする味わいを実現するために、私たち商品開発研究部が、何度も試作・試飲を繰り返しながら、完成に近づけていきます。今回のプロジェクトでは、すでにメインブランドとして市場で高い評価を受けている商品をどう変えていくか、非常に難しい課題でした。これまでの味を損なわずに、何をどう変えればさらにお客様に喜ばれるのか。私たちが出した結論は、「-196℃ストロングゼロ」の特徴である「飲みごたえ」と「果実感」を一層強化するということでした。

先輩たちをいかに超えるか。
美味の追求に終わりはない。

「-196℃ストロングゼロ」は最初の開発から10年近くの歴史があり、極めて完成度の高い商品です。「-196℃ストロングゼロ」は、居酒屋でレモンをそのまま絞ると香りがしっかり残ることにヒントを得、「果実丸ごと」をコンセプトに先輩たちの手によって開発されました。瞬間凍結技術という当社独自の製法により、凍らせた果実をパウダー状にすることで、果実成分を抽出。さらにその粉末をアルコール浸漬させることで、果汁の旨みと香りを持ち合わせたチューハイを実現させました。

そこからさらなる「果実感」をいかに引き出すか。原料酒の開発者とのトライ&エラーの日々が始まりました。先輩たちを超えるようなアイデアや技術を見出すことはできるのか。これ以上の「果実感」を引き出すのは無理ではないか。何度も実験を繰り返すなかでようやく、これまで以上においしい「果実丸ごと」感を達成した原料酒を開発することができました。もちろん、これで終わりではありません。

お客様を納得させるおいしさを求めての味の設計。

ここから私たち商品開発研究部のメイン業務となる味の設計に入ります。香りの成分の出やすい原料酒をどう配合し、目標となる味わいを実現していくか。当社には先輩たちが残した膨大な分析データがありますが、それだけでは理想とする味わいを実現することはできません。実際に試飲したり、香りを嗅いだりすることで、数字には現われないものに感応することが求められます。レモンフレーバーの場合、甘味、酸味、そして苦味の3つがキーとなります。それらをどう調整していくか。「飲みごたえ」のある味わいにするために、アルコール度を8%から9%に上げましたが、強すぎると一缶飲み切れないという声もあり、微妙な調整が必要でした。毎週1回、ブランド戦略チームとともに試飲し、お互いの意見を出し合い、問題点や課題を持ち帰っては、再度試作をし、また試飲するという繰り返し。

その基軸となるのは、お客様になりきること。お客様ならどう感じるか。実際、消費者の方に試飲していただく調査も行います。その際には、お客様が表現した言葉を味にどう落とし込んでいくか、変換能力のようなものが求められます。私たちの仕事はお客様を納得させるおいしさの頂点を探し求める仕事とも言えます。

10年後に向けた
新たなブランドの開発に挑みたい!

今回の開発期間は3ヶ月余りと納期も短く、「本当にできるのか」と日々焦りとの戦いでした。スピード感をもって開発ができたことも収穫の一つでした。開発当初は先輩と一緒に開発を進めていましたが、途中から「レモンはお前に任せる」と言われチームリーダーに。プレッシャーを感じるとともに、信頼に応えようと全力投球で開発に挑みました。何度も壁に突き当たるなかで、「味づくりは原料の足し算だけではなく、時には引き算も必要」という上司のアドバイスが印象に残っています。今回の商品開発は、すでに市場で高評価を受けている商品をリニューアルするということもあり、ある意味では「-196℃ストロングゼロ」を開発した先輩たちへの挑戦でもありました。それだけにプレッシャーもありましたが、挑戦しがいもありました。

ブランド戦略チームやさまざまな関連部署と一体となってやり切れたのも、「-196℃ストロングゼロ」というブランドへの愛着と先輩たちへの尊敬があったからかもしれません。今後は、「-196℃ストロングゼロ」のよう長く愛されるブランドを目指し、新たな商品開発に挑みたいですね。

* 内容・社員の所属は取材当時のものです。

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