
INTERVIEW.08
AIKO
NAKAGAWA
PROFILE
中川 愛子
サントリーシステムテクノロジー株式会社
先端技術部
2017年入社
理学研究科生物科学専攻出身
CAREER
2017年入社。研究プロジェクトにデータサイエンティストとして参画し、「AIなどの新技術を研究に適用する」「ビックデータ解析を通して生命現象を解明する」ことに取り組む。クライアントが研究者であるため、週に2日ほどはサントリーワールドリサーチセンターに勤務し日々研究者にITの技術による研究効率化や新しい技術を紹介し、より高い研究生産性を実現するのがミッション。専攻のバイオの知識を活かし、研究向けのソリューションを発想・探索している。
CHAPTER.01
ITの専門家として、サントリーグループの研究の推進を担う
研究プロジェクトにデータサイエンティストとして参画し、「AIなどの新技術を研究に適用する」「ビックデータ解析を通して生命現象を解明する」ことに取り組んでいます。
研究者がクライアントになるため、週に2日ほどはサントリーワールドリサーチセンターに勤務しています。同施設は、世界中のサントリーグループから研究者が集い、基盤となる研究開発活動を行う拠点。とても刺激があります。
研究者の方と日々対話をしながら、ITの技術を用いることで研究を効率化したり、これまで見えなかった(わからなかった)ものを見えるよう(わかるよう)にしたりして、より高い研究生産性を実現するのが、ITの専門家である私たちのミッションです。
私は専攻であるバイオの知識を起点として(研究向けの)ソリューションを発想・探索するスタイルですが、先端技術部が扱う解決の対象とスタイルはさまざまです。営業・マーケティングなどの課題に対し、AIなどのIT技術的スペシャリティを起点にして切り込んでいくメンバーもいます。
「バラの青さ」を測るプログラム、初めてのゲノム解析。
実践で基礎力を積み上げる
配属後、初めて取り組んだのは園芸品種の色を定量的に判定するITツールの開発です。2004年にサントリーは世界で初めて青いバラの開発に成功、より青いバラを作るために品種改良を続けています。研究者は花とRHSカラーチャート(※)を定量的に比較し、どのくらい青くなったかを客観的に判断するのですが、そのために必要なデータベースや照合システムを、自社開発することになりました。
システムの要件を定義するための研究者とのミーティングに始まり、プログラミングまで担当。初歩のプログラミングの修行ができたと思います。
次に取り組んだのが、とある作物の遺伝子情報解析です。「おいしい種Aとおいしくない種Bを比較してのどんな遺伝子が美味しさに関わっているか」というテーマはオーダーされたものの、ゲノム解析はこれが初めて。解析の糸口を探すために論文を読んだり、新しい分析ツールについて調べたり、やり方を勉強しつつの取り組み。そもそも、調べ方から分からない!(笑)。苦労はしましたが、これまたツールを使ってのデータ解析の基本を学べたと思います。
(※)植物の品種登録の際に使われるのが、RHSカラーチャート。花、果実、葉などの色を正確に特定する基準となっています。
先端技術を学ぶことで、新しい発想が生まれてくる
研究者からのオーダーに応えて開発を行うだけでなく、コンサルタントとして「サントリーの事業にイノベーションを起こす新技術」を提案することも求められます。
メンバーは、大学の講座や外部セミナーを受講したり、情報科学や生物学の学会に参加して、最新技術や技術を現場に適用するアイディアを日常的にリサーチしています。
私も、配属早々、京都工芸繊維大学の「機械学習基本技能習得プログラム」に参加することに。4ヶ月にわたり、業務が終わった後、週2回・3時間の受講はハードでしたが、機械学習の理論から実装方法まで身につけることができました。
そして9月、その知識を携えて訪れた日本植物学会。あるチームの「顕微鏡の画像認識を人手ではなく機械学習で行う」という提案について詳細な情報を持ち帰ったところ、「これってサントリーでも使えるよね」という話になり。技術への理解を深めていくリサーチの中で、新しい発想のヒントを届けることができました。
まさか!自分の提案をきっかけにプロジェクトが始動。同期と共に挑戦へ。
酒類・飲料を扱うサントリーグループ。研究開発部門では、酒類ではさまざまな微生物などを、製品の味の決め手になる重要な研究テーマとして扱っています。
私が行った「機械学習を用いた顕微鏡の画像認識」の報告は、研究者が「これを応用すれば、より効率的に微生物の状態を計測できるのはないか」という適用をひらめいて、最終的には実装のための新規プロジェクトに繋がりました。
そして、機械学習を専門にしている同期と私の二人もメインのメンバーとして参加することに。プロジェクト開始から約3ヶ月後には、研究者が使える認識機能を探索・提示する設定です。
とはいえ、始めてみるとまだまだ経験不足で、想定していなかった困難が次々と発生するのですが、目の前に迫った納期を目指し、必死で開発しています。大変だけど、挑戦したからこそ、感じられる痛み。成長痛みたいなものかもなと前向きに取り組んでいます。
CHAPTER.02
「あなただからこそ」と言ってもらえる強みを持った専門家になっていきたい
若手ではあっても「ITのプロ」として、研究者の信用を得ながらプロジェクトに参加しなければならないのですが、まだまだオーダーに応えるので精一杯。尊敬する先輩方のように、研究者のパートナーとして(取り組みの)方向性自体を考えたり、自分で案件を作れるようになっていきたいです。
欲張りかもしれませんが、ゆくゆくは「あなただからこそ」と言われるような強みを持った専門家になりたいと思っています。
「ゲノム解析の手法を完全に理解するには統計の知識が欠かせない」ため、今は統計学の勉強をしています。こういった積み上げを、「ITのプロとしての強み」を活かしたサポートの力に繋げていきたいです。
サントリーグループには、クライアントと受発注関係を超えて共創できる環境があります。その環境を使い倒して自分を成長させ、いい仕事したなぁと誇れるようになりたいです。