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ニュースリリース
  • No.sfa0010(2016/3/15)

第15回(2015年度)佐治敬三賞は「トム・ジョンソン《4音オペラ》」および
「DUOうたほぎリサイタル2015-春夏秋冬-」に決定

©Higashi Akitoshi

「トム・ジョンソン《4音オペラ》」

「DUOうたほぎリサイタル2015-春夏秋冬-」

 公益財団法人サントリー芸術財団(代表理事・堤 剛、鳥井信吾)は、わが国で実施された音楽を主体とする公演の中から、チャレンジ精神に満ちた企画でかつ公演成果の水準の高いすぐれた公演に贈る「佐治敬三賞」の第15回(2015年度)受賞公演を「トム・ジョンソン《4音オペラ》」および「DUOうたほぎリサイタル2015-春夏秋冬-」の2公演に決定しました。

●選考経過
応募のあった2015年実施公演について2016年2月15日(月)ホテルニューオータニ東京において、選考委員7名により選考会を開催、慎重な審議の結果、第15回(2015年度)佐治敬三賞に「トム・ジョンソン《4音オペラ》」および「DUOうたほぎリサイタル2015-春夏秋冬-」の2公演が選定され、3月14日(月)理事会において正式に決定された。

●賞金は200万円。今回は同時受賞につき各100万円が贈られる。

●選考委員は下記の7氏。
礒山 雅・伊藤制子・岡田暁生・沼野雄司・広瀬大介・水野みか子・宮澤淳一(敬称略・50音順)

(ご参考)佐治敬三賞についてはこちら

●「トム・ジョンソン《4音オペラ》」

<贈賞理由>
 アメリカの作曲家トム・ジョンソンの実験的な作品「4音オペラ」を中心においた本公演は、主に以下の二つの点で注目すべき成果を挙げた。
 第一に、きわめて興味深い作品を初めて日本に紹介したこと。4人の歌手(ただし、途中で一か所だけ5人目が乱入するシーンがある)と1人のピアニストという極小の編成ながら、全体は合唱、アリア、レシタティーヴォ、二重唱などが続く28場からなり、「オペラ」としてのフォーマルな形式を保っている点がまずは面白い。そしてさらに重要なのは自己言及的なテクストのあり方で、歌手の声によってオペラの進行が逐一言語化されてゆく様子は、アイロニーとユーモアに満ちており秀逸だった。また、たった4つの音から長2度、短3度、完全4度、完全5度等を様々な形で導き、幅広い旋律と伴奏のヴァリエーションを達成したのも驚くべきアイディアといえる。
 そして第二に、恵川智美によるすぐれた演出。恵川は狭い舞台を巧みに使い、4人の歌手のキャラクターを際立たせる過程において非凡な手腕を見せた。とりわけラストで4人が動きを封じられてゆくシーンの完成度は忘れがたい。この演出だからこそ、歌唱陣の演技力と歌唱力が十分に生かされることになったものと思われる。さらには福永綾子の訳詞もきわめて分かりやすく、作品の理解を助けた。
 選考会では、導入部という意図は分かるもののプログラム前半がやや精彩を欠いた点、歌唱の一部における技術的な不調などについて指摘があったものの、その実験精神を鑑みた時に、本公演はまさに佐治敬三賞にふさわしいすぐれた成果であるという点で意見の一致をみた。

<公演概要>

名称:トム・ジョンソン《4音オペラ》日本語版世界初演
○東京公演
日時:2015年3月25日(水)19:00
会場:杉並公会堂 小ホール
○愛知公演
日時:2015年3月28日(土)14:00
会場:愛知県芸術劇場 小ホール

曲目&出演:
トム・ジョンソン/ドア(1978)日本初演/原語上演
 西本真子(ソプラノ)、加賀ひとみ(メゾ・ソプラノ)、藤田朗子(ピアノ)
トム・ジョンソン/七つまで数える~日本語(2012)日本初演
 布施雅也、大山大輔(声ほか)
足立智美/三音ぽんがく(2014)委嘱世界初演
 西本真子(ソプラノ)、加賀ひとみ(メゾ・ソプラノ)
 布施雅也(テノール)、大山大輔(バリトン)、藤田朗子(ピアノ)
トム・ジョンソン/4音オペラ(1972)日本語版世界初演
 西本真子(ソプラノ)、加賀ひとみ(コントラルト)、布施雅也(テノール)
 大山大輔(バリトン)、志村文彦(バス)、藤田朗子(ピアノ)
演出:恵川智美(ドア、4音オペラ)
翻訳(4音オペラ):福永綾子
プロデュース・制作:福永綾子(ナヤ・コレクティブ)、藤井明子(愛知県芸術劇場)
主催:ナヤ・コレクティブ(東京公演)
   愛知県芸術劇場(公益財団法人愛知県文化振興事業団)(愛知公演)
協力:Editions 75、一般社団法人もんてん

「DUOうたほぎリサイタル2015-春夏秋冬-」

贈賞理由
 吉川真澄と佐藤紀雄による「DUOうたほぎ」のリサイタル「春夏秋冬」は、対象と誠実に向かい合う姿勢がすみずみに至るまで感じられる、潤いに満たされたコンサートであった。軸になったのは、平野一郎の近作、女声独唱のための《春の歌》《夏の歌》《秋の歌》《冬の歌》で、このうち《冬の歌》が初演。これらの作品は、季節の自然に満ちる声音を特殊発声やボディ・ランゲージをも用いる無伴奏声楽曲としたものであるが、どの曲も原初への独創的な探究を踏まえており、太古の霊的な響きがいま呼び覚まされるような趣がある。吉川はその襞に深く入りこみ、巫女のようなひたむきさでその霊性を表現して、会場を一種宗教的な感動に包んだ。曲によってはよりたくましい解釈もありうるだろうが、全体が美しさをもってまとめられたのは特筆される。
 佐藤は武満、バスケス、ヘンツェ、間宮の作品を演奏し、1台のギターからアンサンブル顔負けの多彩な表現力を引き出して、貫禄を示した。4つの平野作品をギター曲、イタリア歌曲、ドイツ歌曲をはさんでつないでゆく流れはよく考えられており、最後をダウランドの《来たれ、深い眠りよ》で締めくくる効果も卓抜であった。歌とギターとのコラボレーションが入念に行われ、ピアノ伴奏では得られない世界が開かれていたことも高く評価したい。外国語がセンテンスとして伝えられるようには彫塑されておらず、平坦な「歌詞」のように聞こえたこと、それもあって歴史をさかのぼる歌曲に掘り下げが不足したことは今後の課題として指摘しておきたいが、佐治敬三賞にふさわしい、まれに見る秀逸なコンサートであった。

<公演概要>

名称:DUOうたほぎリサイタル2015-春夏秋冬-
○東京公演
日時:2015年12月17日(木)19:00
会場:東京オペラシティ 近江楽堂
○京都公演
日時:2015年12月23日(水・祝)16:00
会場:青山音楽記念館 バロックザール

曲目:
武満 徹/「ギターのための12の歌」より 早春賦
平野一郎/春の歌~女声独唱の為の~
フランチェスコ・パオロ・トスティ/四月
ステファノ・ドナウディ/どうか吹いておくれ
ジョアキーノ・ロッシーニ/フィレンツェの花売り娘
武満 徹/「ギターのための12の歌」より ロンドンデリーの歌
武満 徹/「ギターのための12の歌」より サマータイム
平野一郎/夏の歌~女声独唱の為の~
平野一郎/秋の歌~女声独唱の為の~
エベルト・バスケス/落葉の時間
ハンス・ヴェルナー・ヘンツェ/「ヘルダーリンの三つの断章」より 明るい青空に
ハンス・ヴェルナー・ヘンツェ/「三つのテントス」より トランクィラメンテ
フランツ・シューベルト/「ミニヨンの歌」より そのままの姿でいさせてください
間宮芳生/「三つの聖詞」より アレグレット・トランクィロ
平野一郎/冬の歌~女声独唱の為の~(初演)
ジョン・ダウランド/来たれ、深い眠りよ
主催・企画・構成・出演:DUOうたほぎ 吉川真澄(ソプラノ)、佐藤紀雄(ギター)
協力:平野一郎

 

以上

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