ニュースリリース

このページを印刷

ニュースリリース

No.sma0009   (2015.2.26)

サントリー美術館
「着想のマエストロ 乾山見参!」展 開催
会期:2015年5月27日(水)〜7月20日(月・祝)

サントリー美術館「着想のマエストロ 乾山見参!」展 開催 会期:2015年5月27日(水)〜7月20日(月・祝) 重要文化財 白泥染付金彩芒文蓋物 重要文化財 白泥染付金彩芒文蓋物
尾形乾山 江戸時代 18世紀
サントリー美術館

 サントリー美術館(東京・六本木/館長 鳥井信吾)は、2015年5月27日(水)から7月20日(月・祝)まで、「着想のマエストロ 乾山見参!」展を開催します。

 尾形乾山(おがたけんざん)〔深省(しんせい)〕は寛文3年(1663)に京都の裕福な呉服商、雁金屋(かりがねや)の三男として生を受けました。5歳上の兄はいわずと知れた琳派の大成者・尾形光琳(こうりん)です。
 早くから隠棲の志が強かった乾山は、20代後半には仁和寺(にんなじ)門前に隠居し、文人隠士としての生活を始めます。その過程で近隣に窯を構えていた野々村仁清(ののむらにんせい)に作陶を学び、元禄12年(1699)、京都の北西・鳴滝泉谷(なるたきいずみだに)に窯を築いて、本格的に陶工としての活動を始めます。窯の名は、京の乾(いぬい)の方角にあたることから「乾山」としました。
 乾山焼は陶磁の系譜としては京焼の伝統に連なるものの、乾山自身の美意識の根底には、生まれついて身を置くこととなった町衆文化、そして若くして隠棲の生活へと導いた文人思想があり、それらはそれまでの陶磁には見られなかった世界をもち込むこととなりました。なかでも和・漢の文学的な世界観は、乾山焼を貫く大きな柱となっています。さらには当時流行した琳派風の模様や、中国からヨーロッパにいたる海外産の陶磁器意匠に基づく異国趣味など、幅広い要素を独自の語法に置き換えることに成功し、後の世代にも強い影響力を与えました。
 こうした文芸・絵画・工芸といったジャンルや、時には国境までをも超えてさまざまな要素を結び付けた着想の世界は、現代においても新しさを失いません。陶磁で絵画を目指した角皿や、うつわではなく文様が形を決める向付(むこうづけ)、和・漢や内・外といったコントラスト、そしてうつわの全体にひとつの意匠が駆け巡り、立体と平面の交叉する反鉢など、自由で想像力豊かな着想のマエストロ乾山の奏でる美の世界をご堪能ください。さらに本展では、酒井抱一(さかいほういつ)による琳派顕彰活動を経て、江戸で継承された知られざる「乾山」の姿もご紹介します。

《 展示構成 》

第1章 乾山への道 ― 京焼の源流と17世紀の京都
 尾形乾山は寛文3年(1663)、京都の裕福な呉服商、雁金屋に生まれました。この雁金屋は徳川家や後水尾院(ごみずのおいん)の中宮・東福門院(とうふくもんいん)の御用を務めた豪商で、有力町衆として代々芸術的な活動も行なってきました。また尾形家は本阿弥光悦(ほんあみこうえつ)や樂(らく)家とも血縁関係があり、この恵まれた文化的環境が乾山自身の美意識に大きな影響を与えたと言われます。
 桃山時代から江戸初期にかけて、さまざまな産地のうつわが京都をにぎわせていましたが、京都でも焼物の生産が始まります。近年そうした京焼の技術的な系譜が明らかになるにつれて、乾山窯もそれまでの押小路焼(おしこうじやき)や仁清といった京焼の伝統を踏まえた窯のひとつだったことが分かりました。
 焼物としての「乾山」は、こうした町衆の美意識と京焼の伝統が直に結び付いたところに誕生するのです。この章では、乾山を育んだ17世紀の京都と、京焼の源流についてご紹介します。

【おもな出品作品】

 三彩宝相華文五耳壺(さんさいほうそうげもんごじこ)  中国・明時代  16〜17世紀 愛知県陶磁美術館
 黒樂四方茶碗 銘山里(くろらくよほうぢゃわん めいやまざと) 樂道入(らくどうにゅう)
江戸時代  17世紀 サントリー美術館
 鹿下絵新古今集和歌巻断簡(しかしたえしんこきんしゅうわかかんだんかん)
本阿弥光悦筆・俵屋宗達(たわらやそうたつ)画   江戸時代  17世紀 サントリー美術館
 蓮下絵百人一首和歌巻断簡(はすしたえひゃくにんいっしゅわかかんだんかん)
本阿弥光悦筆・俵屋宗達画   江戸時代  17世紀 サントリー美術館
 色絵獅子鈕鞠形香炉(いろえししつまみまりがたこうろ) 野々村仁清   江戸時代  17世紀 サントリー美術館
 色絵七宝繋文茶碗(いろえしっぽうつなぎもんちゃわん) 野々村仁清   江戸時代  17世紀 サントリー美術館

第2章 乾山颯爽登場 ― 和・漢ふたつの柱と大平面時代

色絵定家詠十二ヶ月和歌花鳥図角皿 色絵桔梗文盃台
色絵定家詠十二ヶ月和歌花鳥図角皿
尾形乾山 元禄15年(1702)
MOA美術館
色絵桔梗文盃台
尾形乾山 江戸時代 18世紀
MIHO MUSEUM

 若くして隠棲の志の強かった乾山は、元禄2年(1689)に仁和寺門前に移り、文人隠士としての生活を始めます。近隣には野々村仁清の御室窯(おむろがま)があり、そこで作陶を学んだようです。そして元禄12年(1699)、京都の北西、鳴滝泉谷に窯を築き、満を持して陶工としての活動を始めます。窯の名前は「乾山」。京都の乾の方角にあることに由来します。
 この鳴滝窯で生まれた特徴的なうつわのひとつが一幅の絵画のような角皿類です。絵画でうつわを飾るのではなく、絵画をそのままうつわとする。まさに着想の転換です。また、これによって和歌に基づく大和絵的な色絵と、漢詩に基づく水墨画的な銹絵(さびえ)という、文学的・絵画的なイメージによって、それまでの京焼にはなかった「和」と「漢」ふたつの世界を鮮やかなコントラストで描き出すことにも成功しました。

【おもな出品作品】

 色絵定家詠十二ヶ月和歌花鳥図角皿(いろえていかえいじゅうにかげつわかかちょうずかくざら)
  尾形乾山   元禄15年(1702) MOA美術館
 色絵能絵皿(いろえのうえざら) 尾形乾山   江戸時代  18世紀 出光美術館
 色絵桔梗文盃台(いろえききょうもんはいだい) 尾形乾山   江戸時代  18世紀 MIHO MUSEUM
 色絵菊文透盃台(いろえきくもんすかしはいだい) 尾形乾山   江戸時代  18世紀 サントリー美術館
 銹絵山水図四方鉢(さびえさんすいずよほうばち) 尾形乾山   宝永2年(1705) 個人蔵
 銹絵山水文四方火入(さびえさんすいもんよほうひいれ)
  尾形乾山作・尾形光琳画   江戸時代  18世紀 大和文華館
 銹絵獅子香炉(さびえししこうろ) 尾形乾山   江戸時代 18世紀 出光美術館

第3章 「写し」 ― 乾山を支えた異国趣味

重要文化財 色絵阿蘭陀写花卉文八角向付 色絵阿蘭陀写花卉文八角向付
尾形乾山 江戸時代 18世紀
出光美術館

 銹絵による独自の唐様を生み出した乾山は、一方で海外陶磁の「写し」にも早くから挑戦していました。それは中国・東南アジア・ヨーロッパなどの舶来品を珍重する文化人向けの「焼物商売」。何より乾山自身がそうした受容者側の出身です。彼らの好みは手に取るように分かったことでしょう。そもそも京焼には「写し物」の伝統があり、こうした一群は乾山窯を経済的に支えた主力商品のひとつだったとみられています。
 あくまでオリジナルは着想の原点としてその持ち味を生かしつつ、さまざまな要素と組み合わせて新たな意匠にまとめ上げるのが腕の見せ所でした。

【おもな出品作品】

 流釉花枝文平鉢(ながしゆうはなえだもんひらばち) 野々村仁清  江戸時代  17世紀   サントリー美術館
 色絵阿蘭陀写花卉文八角向付(いろえおらんだうつしかきもんはっかくむこうづけ)
  尾形乾山   江戸時代  18世紀   出光美術館
 色絵花唐草文水注(いろえはなからくさもんすいちゅう) 尾形乾山   江戸時代  18世紀   妙法寺
 銹絵染付花鳥文茶碗(さびえそめつけかちょうもんちゃわん)(鳴滝窯跡出土)
  尾形乾山   江戸時代  18世紀   法蔵禅寺

第4章 蓋物の宇宙 ― うつわの中の異世界

重要文化財 銹絵染付金銀白彩松波文蓋物 重要文化財 銹絵染付金銀白彩松波文蓋物
尾形乾山 江戸時代 18世紀
出光美術館

 鳴滝の窯では角皿類や写し物をはじめ、多種多様のうつわが作られていましたが、その中でも特に個性的なのが「蓋物」です。丸みを帯びた柔らかな造形は、籠や漆器に着想を得たと言われています。
 この蓋物に共通して表されるのが、外側の装飾的な世界と対照をなす内側のモノトーン空間です。それはさながら蓋を開けて初めて明らかとなる「異世界」。この世ならざる世界の扉を開けてしまうこのうつわは、未知の体験へ誘う一大イベントを演出したことでしょう。そう、乾山はこの蓋物でひとつの「宇宙」を作り出してしまったのです。

【おもな出品作品】

 重要文化財 白泥染付金彩芒文蓋物(はくでいそめつけきんさいすすきもんふたもの)
  尾形乾山   江戸時代  18世紀   サントリー美術館
 重要文化財 銹絵染付金銀白彩松波文蓋物(さびえそめつけきんぎんはくさいまつなみもんふたもの)
  尾形乾山   江戸時代  18世紀   出光美術館
 銹絵染付梅波文蓋物(さびえそめつけうめなみもんふたもの) 尾形乾山   江戸時代  18世紀   MIHO MUSEUM
 銹絵染付白彩梅花文蓋物(さびえそめつけはくさいばいかもんふたもの)
  尾形乾山   江戸時代  18世紀   MOA美術館

第5章 彩りの懐石具 ― 「うつわ」からの解放

色絵竜田川図向付 色絵竜田川図向付
尾形乾山 江戸時代 18世紀
MIHO MUSEUM

 乾山窯は正徳2年(1712)、鳴滝から京都市中の二条丁字屋町(ちょうじやちょう)に移転し、懐石具を多く手掛けるようになります。懐石具自体は鳴滝時代から作られていましたが、時はまさに京焼全体が飲食器の量産に向かっていた時代。乾山も競合ひしめくこの分野で、果敢に勝負に出たのでした。
 ここでも乾山最大の武器となったのは、文学意匠に基づく斬新なデザインです。文様の輪郭に縁取られた向付や、内側・外側の境界を超えて、水流が駆け巡る一瞬を取り出したかのような反鉢など、立体と平面の交叉するその着想は、現代の私たちから見ても遊び心にあふれ、新しく見えるものばかりです。
 こうして乾山は「うつわ」の枠にとらわれない彩り豊かな懐石具で成功を収めたのです。

【おもな出品作品】

 銹絵百合形向付(さびえゆりがたむこうづけ) 尾形乾山   江戸時代  18世紀   MIHO MUSEUM
 色絵竜田川図向付(いろえたつたがわずむこうづけ) 尾形乾山   江戸時代  18世紀   MIHO MUSEUM
 色絵竜田川文透彫反鉢(いろえたつたがわもんすかしぼりそりばち)
  尾形乾山   江戸時代  18世紀   出光美術館
 色絵菊図向付(いろえきくずむこうづけ) 尾形乾山   江戸時代  18世紀   五島美術館
 色絵春草文汁次(いろえはるくさもんしるつぎ) 尾形乾山   江戸時代  18世紀   サントリー美術館

第6章 受け継がれる「乾山」 ― その晩年と知られざる江戸の系譜

重要文化財 武蔵野隅田川図乱箱 重要文化財 武蔵野隅田川図乱箱
尾形乾山 寛保3年(1743)
大和文華館

 乾山は晩年の享保16年(1731)頃、江戸に下り、京都の窯を養子の猪八(いはち)に託しました。猪八も精力的に活動を続けたようですが、その後の窯の消息は不明で、京都での乾山の系譜は途絶えてしまいます。
 しかし、乾山の没後約半世紀を経て、江戸で「乾山」が復活する出来事がありました。それが酒井抱一(さかいほういつ)の光琳顕彰活動です。彼によって江戸で人知れず継承されていた乾山の系譜が発見され、乾山は「緒方流」のひとりとして琳派の中に位置付けられます。そしてこの抱一から三浦乾也(みうらけんや)をはじめとする近代の陶工にまで「乾山」が受け継がれていくことになります。
 彼らが「乾山」をどう受け止めたかは各者さまざまです。こうして「乾山」は、今度はそれぞれの継承者の「着想」となって生き続けることとなったのでした。

【おもな出品作品】

 重要文化財 武蔵野隅田川図乱箱(むさしのすみだがわずみだればこ)
  尾形乾山   寛保3年(1743) 大和文華館
 陶術秘法書(とうじゅつひほうしょ)「陶工必用(とうこうひつよう)」
  尾形乾山   元文2年(1737) 大和文華館
 色絵阿蘭陀写花唐草文銚子(いろえおらんだうつしはなからくさもんちょうし)
  二代乾山(猪八)   江戸時代 18世紀 個人蔵
 重要文化財 緒方流陶術秘法書(おがたりゅうとうじゅつひほうしょ)
  井伊直弼(いいなおすけ)筆   嘉永元年(1848) 彦根城博物館
 藍絵龍文小皿(あいえりゅうもんこざら)
  乾斎(けんさい)(井田吉六(いだきちろく))   江戸時代  19世紀 個人蔵
 絵替葉形向付(えがわりはがたむこうづけ)
三浦乾也   江戸〜明治時代  19世紀   仙台市博物館(新井田コレクション)
 桐木地松秋草紋埋物入盆(きりきじまつあきくさもんうめものいりぼん)
三浦乾也・柴田是真(しばたぜしん)   江戸〜明治時代  19世紀   仙台市博物館(新井田コレクション)

【本展におけるエデュケーション・プログラム】

<展覧会関連プログラム>
◎記念講演会

講師  :  竹内 順一 氏(永青文庫館長)
日時  :  6月14日(日)14時〜15時30分
会場  :  6階ホール  定員:100名  対象:一般
聴講料  :  700円(別途要入館料)  応募締切:5月24日(日)

「着想のマエストロ 乾山見参!」展 開催

▼会期  :  2015年5月27日(水)〜7月20日(月・祝)
※作品保護のため、会期中展示替を行ないます
▼主催  :  サントリー美術館、読売新聞社
▼協賛  :  三井不動産、三井住友海上火災保険、シャープ、サントリーホールディングス
▼会場  :  サントリー美術館
港区赤坂9−7−4 東京ミッドタウン ガレリア3階
 <最寄り駅>  都営地下鉄大江戸線六本木駅出口8より直結
 東京メトロ日比谷線六本木駅より地下通路にて直結
 東京メトロ千代田線乃木坂駅出口3より徒歩約3分

【基本情報】

  ▼開館時間:10時〜18時
  ※金・土、および7月19日(日)は20時まで開館
  ※いずれも入館は閉館の30分前まで
  ※shop×cafeは会期中無休
▼休館日:火曜日
▼入館料:一般1,300円、大学・高校生1,000円、中学生以下無料
  ※20名様以上の団体は100円割引
▼前売: 一般1,100円、大学・高校生800円
サントリー美術館、チケットぴあ、ローソンチケット、セブンチケット、イープラスにて取扱
  ※前売券の販売は2015年3月18日(水)から5月26日(火)まで
  ※サントリー美術館受付での販売は3月18日(水)から5月10日(日)まで
▼割引:
  ■きもの割:きものでのご来館で100円割引
  ■HP割:ホームページ限定割引券提示で100円割引
  ■携帯割:携帯サイトの割引券画面提示で100円割引
  ■あとろ割:国立新美術館、森美術館の企画展チケット提示で100円割引
  ※割引の併用はできません
  ▼点茶席(薄茶と季節のお菓子)
  各日限定50名 1,000円(別途要入館料) 6階茶室「玄鳥庵」にて
  日時: 6月4日(木)、18日(木)、7月2日(木)、16日(木)
11時30分〜17時30分(受付は17時まで)
13時、14時、15時には点前があります。
  ※定員を超えた時点で終了となる場合があります。何卒ご了承ください。
▼一般お問い合わせ:03−3479−8600
▼ホームページ: http://suntory.jp/SMA/

▽次回展覧会
  「藤田美術館の至宝 国宝 曜変天目茶碗と日本の美」(仮称)
     2015年8月5日(水)〜9月27日(日)

▽プレスからのお問い合わせ:〔学芸〕柴橋、〔広報〕羽鳥
  TEL:03−3479−8604  FAX:03−3479−8644
  メールでのお問い合わせ、及びプレス用画像ダウンロードのお申し込み:2月26日(木)から
  https://www.suntory.co.jp/sma/press_info/



以上

ニュースリリーストップページへ

このページを印刷