ニュースリリース

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ニュースリリース

No.12432   (2015.7.30)

お酒がまろやかになるメカニズムの解明
宇宙空間で実験開始
― JAXAの協力のもと
国際宇宙ステーション「きぼう」実験棟での実験 ―


 サントリーグローバルイノベーションセンター(株)は、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(以下、JAXA)の協力のもと、国際宇宙ステーション・「きぼう」日本実験棟において「微小重力環境を利用したお酒のまろやかさの形成」に関する研究を開始します。
 JAXA種子島宇宙センターで8月16日(日)に打ち上げが予定されている宇宙ステーション補給機「こうのとり」5号機(HTV5)に、当社で製造した酒類を搭載し、国際宇宙ステーション「きぼう」日本実験棟に運んだ上で、第1グループとして約1年間、第2グループとして2年以上の複数年(未定)にわたって「まろやかさの形成」に関する実験を行うものです。

 ビールなどの一部のお酒を除いて、多くのお酒は長期熟成によって、まろやかな香味を形成することが広く知られています。そのメカニズムについては、さまざまな科学的アプローチが行われているものの、その全容は解明されていないのが現状です。
 そうした中当社では、「水とエタノールおよびその他酒類中の成分による高次分子構造の形成がお酒のまろやかさに寄与する」という仮説を持ち、国立大学法人東北大学流体科学研究所・圓山重直教授の研究グループ、国立大学法人東京大学物性研究所・柴山充弘教授の研究グループ、公益財団法人高輝度光科学研究センター、公益財団法人サントリー生命科学財団と共同研究を進めてきました。この共同研究により、液体の対流を抑制した環境では、お酒の分子構造の高次化が促進され、まろやかさが形成される可能性が示唆されました。
 この結果をもとに、微小重力環境によってもたらされる無対流状態のお酒のまろやかさへの効果を検証するために、今回の宇宙空間における実験を行うものです。

 サントリーグループでは、この実験により「お酒がまろやかになるメカニズム」を科学的に解明する一助にしたいと考えています。

― 記 ―

▼研究名称  お酒のまろやかさが形成されるメカニズムの解明

▼実験の実施期間

  第1グループ:2015年8月16日(日)(予定)〜2016年9月(予定)
第2グループ:2015年8月16日(日)(予定)〜2年以上の複数年(予定)

▼実験内容

  国際宇宙ステーション「きぼう」日本実験棟において、お酒が無対流状態で保管されたサンプルと、同じサンプルで同期間日本国内に保管されたものを以下の方法で解析し、両者を比較します。
  東北大学流体科学研究所の協力による、位相シフト干渉計※1を用いた物質拡散係数の測定。
高輝度光科学研究センターおよび東京大学物性研究所の協力による、SPring−8を利用した小角X線散乱法※2による高次構造の検出。
サントリー生命科学財団の協力による、NMR法※3を用いた物質拡散係数の測定。
  ※1 光(可視光)の波の性質を利用して、目で見ることのできない温度や濃度の分布などを可視化し、お酒の中のわずかな成分の違いやそれらがどのように分布しているかを知ることができる。
※2 対象物質にX線を照射し、散乱したX線の数度以下の角度領域を観測することで、ナノスケール(1mの100万分の1の大きさ)の構造情報を得ることができる。
※3 核磁気共鳴(NMR)現象を利用して測定対象である有機化合物から情報を取り出し、その分子の構造や動的な性質に関する情報を得ることができる。

▼サンプル

  40%アルコールと熟成期間の異なる5種類の蒸溜酒 計6サンプル


以上

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