ニュースリリース

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ニュースリリース

No.sma0003   (2014.3.20)

サントリー美術館
「徒然草―美術で楽しむ古典文学」展 開催
会期:2014年6月11日(水)〜7月21日(月・祝)

サントリー美術館「徒然草―美術で楽しむ古典文学」展 開催 会期:2014年6月11日(水)〜7月21日(月・祝) 徒然草絵巻 海北友雪筆
二十巻のうち巻一(部分)
江戸時代 17世紀後半
サントリー美術館

 サントリー美術館(東京・六本木/館長 鳥井信吾)は、2014年6月11日(水)から7月21日(月・祝)まで、「徒然草―美術で楽しむ古典文学」展を開催します。

 鎌倉時代後期、兼好(けんこう)法師(生没年未詳)によって書かれたとされる『徒然草』は、名文の誉れ高く、『枕草子』・『方丈記』とともに日本三大随筆に数えられます。「つれづれなるままに」の序段で始まる『徒然草』は、今や古典文学のなかでも最も親しまれた作品の一つといえるでしょう。
 しかし『徒然草』は、成立後100年あまりもその鑑賞の歴史をたどることができません。『徒然草』の本格的な享受は慶長年間(1596〜1615)に始まると考えられ、江戸時代になると、『徒然草』は研究、鑑賞、そして創作への応用など、さまざまな分野で多様な展開を示すようになりました。そうした『徒然草』流布の過程で、〈徒然絵〉とも呼ぶべき絵画作品が登場するようになります。近年館蔵品に加わった海北友雪(かいほうゆうせつ)筆「徒然草絵巻」二十巻もその一つです。そこで本展では、この新収絵巻を初公開するとともに、屏風や絵本などの美術作例を通して、一度は読みたい、今こそ知りたい『徒然草』の名場面をたどります。
 17世紀半ば以降、『徒然草』は244の章段に区切ることが常識化し、各段は独立して鑑賞されることが多くなりました。しかし、『徒然草』の生成過程を想起しながら、章段の連続性に注意を向けることで、兼好がどのような内面性に根ざして『徒然草』を執筆したのか、その思いにどのような変化・深化が生じたのかが見えてくるのです。
 『徒然草』といえば無常観の文学といわれますが、兼好は、「無常」という時代の既成概念に挑み、現世にあっていかに生きるべきか、いかに楽しむべきかを探究した現実主義の人でした。本展では、兼好の心うつりゆく世界を美術作品とともにぜひお楽しみください。

《 展示構成 》

第1章 兼好と徒然草

サントリー美術館「徒然草―美術で楽しむ古典文学」展 開催 会期:2014年6月11日(水)〜7月21日(月・祝) 兼好法師像 伝海北友雪筆
一幅
江戸時代 17世紀
個人蔵
サントリー美術館「徒然草―美術で楽しむ古典文学」展 開催 会期:2014年6月11日(水)〜7月21日(月・祝) 兼好法師図 尾形乾山筆
一幅
江戸時代 17世紀後半〜18世紀前半
個人蔵

 兼好は、神官である卜部兼顕(うらべかねあき)の子として、弘安6年(1283)頃に生まれ、二十代の前半には六位の蔵人(くろうど)として後二条天皇(1285〜1308)に仕えました。三十歳以前にはすでに出家し、少なくとも七十歳過ぎまで生きたと考えられていますが、兼好の経歴については歴史資料が乏しく、あまり詳しいことはわかっていません。
 兼好は生前、二条為世(にじょうためよ)(1250〜1338)に師事する歌人として世に知られていました。しかし、兼好が『徒然草』の著者であるという記録は、当時の文献には記されておらず、しばらくは鑑賞の形跡をたどることができません。『徒然草』の成立時期や成立過程もいまだ明確ではないのです。
 『徒然草』は、鎌倉時代末期頃に成立した後、約100年経った室町時代になってから、次第に歌人や連歌師たちによって、共感をもって迎えられるようになりました。そして江戸時代になると、江戸幕府の学問奨励や印刷技術の発達を背景に、一気に幅広い読者層を獲得しました。
 本章では、兼好の人物像に迫るとともに、「古典」の代表作に上り詰めるまでの、『徒然草』享受の歴史をたどります。

【おもな出品作品】

 兼好図 松花堂昭乗画・沢庵賛 一幅    江戸時代 17世紀 個人蔵
 兼好法師像 伝海北友雪 一幅    江戸時代 17世紀 個人蔵
 兼好法師図 尾形乾山 一幅    江戸時代 17世紀後半〜18世紀前半 個人蔵
 国宝 宝積経要品 一帖    南北朝時代 14世紀 前田育徳会
 重要文化財 兼好家集稿本 一帖    南北朝時代 14世紀 前田育徳会

第2章 〈徒然絵〉の諸相

サントリー美術館「徒然草―美術で楽しむ古典文学」展 開催 会期:2014年6月11日(水)〜7月21日(月・祝) 徒然草図屏風 伝住吉如慶筆
六曲一双のうち右隻
江戸時代 17世紀
熱田神宮
サントリー美術館「徒然草―美術で楽しむ古典文学」展 開催 会期:2014年6月11日(水)〜7月21日(月・祝) 徒然草・御室法師図 英一蝶筆
一幅
江戸時代 17世紀後半
個人蔵
サントリー美術館「徒然草―美術で楽しむ古典文学」展 開催 会期:2014年6月11日(水)〜7月21日(月・祝) 奈良絵本 徒然草
五冊のうち第一冊(部分)
江戸時代 17世紀
富美文庫

 『徒然草』の本格的な享受は慶長年間(1596〜1615)に始まると考えられ、江戸時代になると、『徒然草』は研究、鑑賞、そして創作への応用など、さまざまな分野で多様な展開を示すようになりました。そうした流布の過程で、『徒然草』も絵画化されるようになります。『源氏物語』を描いた〈源氏絵〉、また『伊勢物語』を描いた〈伊勢絵〉に倣い、〈徒然絵(つれづれえ)〉とも呼ぶべき絵画作品の登場です。
 本章では、絵巻や屏風、画帖といった多様な形態、そして狩野派や土佐派、住吉派などあらゆる流派によって描かれた〈徒然絵〉の諸相をご紹介します。

【おもな出品作品】

 徒然草絵巻(模本) 原本住吉如慶 三巻 明和8年(1771)写 神奈川県立金沢文庫
 つれづれ草画巻物(模本) 原本狩野派 一巻 天保6年(1835)写 西尾市岩瀬文庫
 徒然草絵巻 土佐光起 一巻 江戸時代  17世紀 個人蔵
 徒然草図屏風 六曲一双 江戸時代  17世紀 米沢市上杉博物館
 徒然草図屏風 伝住吉如慶 六曲一双 江戸時代  17世紀 熱田神宮
 徒然草屏風 (くわがたけいさい) 六曲一双 江戸時代  19世紀前半 神奈川県立金沢文庫
 奈良絵本 徒然草 五冊 江戸時代  17世紀 富美文庫
 奈良絵本『徒然草』貼交屏風 六曲一隻 江戸時代  18世紀 大阪青山歴史文学博物館
 徒然草・御室法師図 英一蝶 一幅 江戸時代  17世紀後半 個人蔵

第3章 徒然草を読む
 当館では近年、海北友雪筆「徒然草絵巻」二十巻が館蔵品に加わりました。〈徒然絵〉といえば、『徒然草』のなかでも人気のある章段を選択し、数場面を描くことが一般的ですが、本絵巻は、『徒然草』のほぼ全段を絵画化している点でたいへん貴重な作品です。
 17世紀半ば以降、『徒然草』は244の章段に区切ることが常識化し、各段は独立して鑑賞されることが多くなりました。しかし、『徒然草』の生成過程を想起しながら章段の連続性に注意を向けることで、一見散漫な雑纂形式のなかにも、兼好がどのような内面性に根ざして『徒然草』を執筆したのか、その思いにどのような変化・深化が生じたのか、連想の糸が見えてくるのです。
 本章では、海北友雪筆「徒然草絵巻」を通して、一度は読みたい、今こそ知りたい『徒然草』の名場面をたどります。

【おもな出品作品】

 徒然草絵巻 海北友雪 二十巻 江戸時代 17世紀後半 サントリー美術館

第4章 海北友雪の画業における「徒然草絵巻」

サントリー美術館「徒然草―美術で楽しむ古典文学」展 開催 会期:2014年6月11日(水)〜7月21日(月・祝) 一の谷合戦図屏風 海北友雪筆
六曲一双のうち右隻
江戸時代 17世紀
埼玉県立歴史と民俗の博物館

 海北友雪(1598〜1677)は、桃山時代を代表する画家の一人・海北友松(ゆうしょう)(1533〜1615)の子です。友雪は十八歳の年に父を亡くし、その後の苦境の間は、絵屋(または小谷)忠左衛門と自称し、絵屋を営んでいました。やがて、三代将軍・徳川家光の乳母として仕えた春日局が友松からの旧恩に報いようととりなし、友雪は御用絵師を務めるようになりました。
 友雪の画域が、漢画や大和絵、仏画や縁起絵など幅広いのは、需要に応じて制作していた絵屋時代の経験が生かされています。本章では、多岐にわたる画風・主題の作例を通して、「徒然草絵巻」二十巻を描いた友雪がどのような絵師であったのか、その画業を概観します。

【おもな出品作品】

 重要文化財 海北友松夫妻像 海北友雪 一幅 江戸時代 17世紀 個人蔵
 重要文化財 誓願寺縁起絵 海北友雪(第三幅) 三幅 江戸時代 17世紀 京都・誓願寺
 一の谷合戦図屏風 海北友雪 六曲一双 江戸時代 17世紀
  埼玉県立歴史と民俗の博物館
 太平記絵巻 第六・七巻 伝海北友雪 江戸時代 17世紀
  埼玉県立歴史と民俗の博物館
 総持寺縁起絵巻 海北友雪 一巻 江戸時代 17世紀
  大阪・西国二十二番札所 総持寺
 五行之図 海北友雪 一巻 江戸時代 17世紀 個人蔵
 南都八景 海北友雪 一巻 江戸時代 17世紀 サントリー美術館

【本展におけるエデュケーション・プログラム】
<展覧会関連プログラム>
記念講演会「絵巻で読み解く徒然草」

講師  :  島内裕子氏(放送大学教授)
日時  :  7月6日(日)14:00〜15:30
会場  :  6階ホール
定員  :  100名
対象  :  一般
聴講料  :  700円(別途要入館料)
応募締切  :  6月15日(日)

<日本文化の伝承プログラム>等、この他のエデュケーション・プログラムは、随時ホームページにてご案内します。

「徒然草―美術で楽しむ古典文学」展 開催

▼会期  :  2014年6月11日(水)〜7月21日(月・祝)
※作品保護のため、会期中展示替を行ないます
▼主催  :  サントリー美術館、朝日新聞社
▼協賛  :  三井不動産、三井住友海上火災保険、サントリーホールディングス
▼会場  :  サントリー美術館
 港区赤坂9−7−4 東京ミッドタウン ガレリア3階
  <最寄り駅> 都営地下鉄大江戸線六本木駅出口8より直結
東京メトロ日比谷線六本木駅より地下通路にて直結
東京メトロ千代田線乃木坂駅出口3より徒歩約3分

【基本情報】

  ▼開館時間:10時〜18時
  ※金・土、および7月20日(日)は20時まで開館
  ※いずれも入館は閉館の30分前まで
  ※shop×cafeは会期中無休
▼休館日:火曜日
▼入館料:一般1,300円、大学・高校生1,000円、中学生以下無料
  ※20名様以上の団体は100円割引
  ▼前売: 一般1,100円、大学・高校生800円
サントリー美術館、チケットぴあ、ローソンチケット、セブンイレブン、イープラスにて取扱
  ※前売券の販売は、3月29日(土)から6月10日(火)まで
  ※サントリー美術館受付での販売は、3月29日(土)から5月11日(日)まで
▼割引:
  ■HP割:ホームページ限定割引券提示で100円割引
  ■携帯割:携帯サイトの割引券画面提示で100円割引
  ■あとろ割:国立新美術館、森美術館の企画展チケット提示で100円割引
    ※割引の併用はできません
  ▼点茶席(薄茶と季節のお菓子)
  各日限定50名 1,000円(別途要入館料) 6階茶室「玄鳥庵」にて
  日時: 6月19日(木)、7月3日(木)、17日(木)
11時30分〜17時30分(受付は17時まで)
13時、14時、15時には点前がございます。
  ※定員を超えた時点で終了となる場合があります。何卒ご了承ください。
▼一般お問い合わせ:03−3479−8600
▼ホームページ: http://suntory.jp/SMA/

▽次回展覧会

  「耀きの静と動 ボヘミアン・グラス」(仮称)
    2014年8月2日(土)〜9月28日(日)

▽プレスからのお問い合わせ:〔学芸〕上野〔広報〕羽鳥

  TEL:03−3479−8604 FAX:03−3479−8644
メールでのお問い合わせ、及びプレス用画像ダウンロードのお申し込み:3月20日(木)から
    https://www.suntory.co.jp/sma/press_info/


以上

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