ニュースリリース

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ニュースリリース

No.11369   (2012.3.22)

第11回(2011年度)佐治敬三賞
第43回(2011年度)サントリー音楽賞
の決定について


   公益財団法人サントリー芸術財団(代表理事・堤剛、鳥井信吾)は、わが国で実施された音楽を主体とする公演の中から、チャレンジ精神に満ちた企画でかつ公演成果の水準の高いすぐれた公演に贈る「佐治敬三賞」の第11回(2011年度)受賞公演を「林千恵子メゾソプラノ・リサイタル『アペルギス&グロボカール』」と「児玉桃ピアノ・ファンタジーvol.1」に決定しました。
   なお、わが国の洋楽の発展にもっとも顕著な業績をあげた個人または団体に贈る「第43回(2011年度)サントリー音楽賞」は該当者なしです。

(ご参考) 佐治敬三賞についてはこちら

●選考経過

1. 2012年1月9日(月・祝)東京・丸の内の東京會舘において、選考委員8名により第一次選考を行い、候補公演を選定した。
2. 引き続き3月19日(月)東京・赤坂のANAインターコンチネンタルホテル東京において最終選考を行い、慎重な審議の結果、選定され、3月21日(水)理事会において正式に決定された。
●賞金 佐治敬三賞 200万円   ※今回は同時受賞につき各100万円
サントリー音楽賞 700万円

●選考委員は下記の8氏。

  礒山 雅・伊東 信宏・岡田 暁生・岡部 真一郎・白石 美雪・楢崎 洋子・沼野 雄司・三宅 幸夫

(敬称略・50音順)

「佐治敬三賞」の第11回(2011年度)受賞公演

●林千恵子メゾソプラノ・リサイタル『アペルギス&グロボカール』

<贈賞理由>
   種々の特殊な発声や身体表現を織り交ぜ、高度な演劇的パフォーマンスを醸成する現代声楽作品、アペルギスの《レシタシオン》とグロボカールの《安全の向こう側》および《セカンド・ソーツ》による、無伴奏のリサイタル。パリを本拠として活動する林千恵子氏が、3つの難曲を並べたプログラムによって前衛声楽の最先端に立つ至芸を披露し、聴衆の驚嘆を誘った。中でもアペルギス作品における、人声の可能性を極限まで駆使する多彩な表現力は圧巻。グロボカール作品ではオブジェ化された声の扱いが徹底したコントロールにより、音楽的にも精緻に再現された。どちらの曲においても、超絶的な唱法から繰り出される声音が無機的な情報に解体されることなく、表現の美しいまとまりを保つとともに、生身の人間の熱のこもった感情表現と結びついて訴えかけたことがすばらしい。アペルギス(ギリシャ)、グロボカール(スロヴェニア)という2人の作曲家の独創性が十分に引き出されていたことも、成果のひとつである。最後、アンコールとして《レシタシオン》第9番が日本語で歌われ、聴衆とのつながりはいっそう深められた。以上の観点から日本の声楽界、作曲界に一石を投じる画期的なコンサートであったと評価し、佐治敬三賞を贈呈する。

<公演概要>

名称 林千恵子メゾソプラノ・リサイタル『アペルギス&グロボカール』
日時 2011年7月27日(水)19:00開演
会場 門仲天井ホール
曲目 ヴィンコ・グロボカール:セカンド・ソーツ
ヴィンコ・グロボカール:安全の向こう側
ジョルジュ・アペルギス:レシタシオン全曲
出演 林千恵子(メゾソプラノ)
企画協力 足立智美
制作・主催 ナヤ・コレクティブ

●児玉桃ピアノ・ファンタジーvol.1

<贈賞理由>
   児玉桃氏の9月に行われたリサイタルは、企画性、そして演奏の質の高さの両面において、佐治敬三賞にまさに相応しい充実した内容を持ったものだった。
   ショパンとドビュッシーをメインに据えた演奏会、と聞いて誰もがすぐに思い浮かべるであろう月並みのプログラムとは明らかに一線を画していた。しかし、シューマンの小品で幕を開け、ドビュッシーとショパンのチェロソナタを組み合わせるアイディアは、何ら奇を衒ったものではない。これは、優れてフランス的なチェロを奏するサルクを招いたからこそのものでもあるが、ショパンとドビュッシーという2人の作曲家と深く結びついた街、パリを拠点とする児玉のアーチストとしてのバックグラウンドの極めて自然で、個性的な反映でもある。
   さらに、同じくパリと関わりの深い作曲家、権代敦彦による委嘱新作の初演が組み込まれていたことも、見逃されてはならない。新作の委嘱そのものが、様々な意味で一つの「チャレンジ」であることについては改めて言うまでもあるまいが、それがプログラムのコンテクストに見事に収まり、ショパンやドビュッシーの古典と有機的に結びついて、リサイタルの「鍵」とも言うべき位置を占めていたことは、特筆に値する。児玉桃氏の力の籠った演奏も忘れ難い。
   そして、このような極めて密度の高いリサイタルが、900円という廉価なチケットにより、幅広い層に親しめるシリーズとして長年に渡って続けられてきた点も、評価されてしかるべきであろう。休日の午後のリサイタルを「入門編」のお題目の下、水で薄めたり、甘い味付けを施したりといった小手先の策を労するのではなく、むしろ、アーチストと真正面から向き合い、正攻法で「本物」を届けんとする志も、佐治敬三賞に正に相応しいものと考えられる。

<公演概要>

名称 児玉桃ピアノ・ファンタジーvol.1
日時と会場 2011年9月17日(土)14:30開演
      京都府立府民ホール“アルティ”
2011年9月19日(月・祝)14:00開演
      東京文化会館 小ホール
曲目 R.シューマン:民謡風の5つの小品 op.102
権代敦彦:カイロス ピアノのための op.128 ― その時
C.ドビュッシー チェロとピアノのためのソナタ
   I.Prologue:Lent−sostenuto e molto risoluto
   II.Sérénade:Modérément animé
   III.Final:Animé,léger et nerveux−Lento
C.ドビュッシー 前奏曲より
   「音と香りは夕暮れの大気に漂う」
   「枯葉」
   「オンディーヌ」
F.ショパン チェロとピアノのためのソナタ ト長調 op.65
   I.Allegro moderato
   II.Scherzo:Allegro con brio
   III.Largo
   IV.Final:Allegro
出演 児玉桃(ピアノ)、フランソワ・サルク(チェロ)
主催・企画制作 22世紀クラブ


以上

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