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勝手にトレンドウォッチャー 次は絶対、コレが来る!専門家が次のトレンドを大予想!?

飲食店プロデューサー、フードコーディネーター、マスコミ業界人など、食に関わる専門家が「次なるトレンド」というテーマで私論を展開します。当たるも八卦、当たらぬも八卦。さて、今月の専門家は何を予想しますやら…。

4月のゲスト 宮本 進 料理写真家 私が気になるもの ワンプレート・フード

4月のゲストは料理写真家の宮本進さん。日ごろ数多くのプロの料理に接し、色んな食の企画を提案してきた立場から考えると、食にも流行りすたりが顕著になっているとか。毎年冬にはフランスに赴き、現地の食に触れている宮本さんが見つけたのはワンプレートフード。さて、その答えはいかなるものやら。

一年に一度はフランスでリフレッシュ

 毎年2月ごろに冬休みと、仕事を離れた写真を撮るためにパリに行くんだけど、暖冬は日本だけじゃなく、向こうも暖かかったね。パリでは、普段の料理写真と全く違うモノクロームの写真を撮るんだ。街角の風景や人々の営み、人間がふと見せる表情など、被写体には事欠かない。自分の撮りたいものを、撮りたいように撮る。そんな時でも食べること、飲むことだけは手を抜けない。そんな性格のせいか鼻が利くって言うのかな、パッと入った店でも外れはなかったよ。
 今回行ってみて気が付いたんだけれど、フランスでもイタリア料理は完全に根付いたみたいだね。パスタ一皿が10ユーロぐらいするのに、若い子やカップル、ファミリーまでがいっぱい入っていて、まるで大阪のオシャレなイタリアンレストランのようだった。唯一違う点はファミリーがいたことかな。
 それは、ジーンズをはいていても入れるクラスの店が多いということも関係してるとは思う。パスタの茹で加減が、前に行った時は茹で過ぎな感じだったけど、今はきちんとアルデンテに仕上がっていて、ちょっと驚いたよ。

パリの写真

パリのランチはちょっとお高め?!

 パリのランチ事情は、社食のある日本と違って、会社が近くのカフェと契約をして、ランチの食券を出してくれるらしい。現地の友人の言うには、それを持って行って、ランチを食べるのが多いらしいね。その時に食べるのはだいたいワンプレート・ランチで、食券で食べる人は8〜9ユーロぐらいのもの。そうでない人は10〜15ユーロといったところかな。勿論、もっとお金をかけてる人もいるだろうし、抑えている人もいると思うけど、平均するとそれぐらいらしい。1ユーロが150円ぐらいとして、1200〜2250円。日本のランチより高いかなと言う気がするけれど、物価も考えるとそんなものなのか。それともやはり食に意欲を燃やすフランス人の血のなせる業なのかな。
 ワンプレート・ランチの代表的なメニューは、サラダ、鶏や牛、豚の煮込み、冬になればそれにポトフが加わる。大きな一皿にたっぷりとやってきて、パンが別に添えられている。

ワンプレート・ランチの写真

 向こうの人はそれにワインをつけて、ゆっくりと、時間をかけて話をしながらランチを楽しむ。勿論、食後のデザートとコーヒーも欠かせない。ワイン・デザート・コーヒーは別料金だ。それだけ食べることを大切にしている彼らに付き合うと、あっという間に時間が経ってしまうので、午後からの予定があるときは要注意。
 僕は煮込みなどを食べると胃にもたれるから、もっぱら食べるのはサラダ。サラダといっても上にたっぷりと蒸したターキーやグリルした鶏、スモークのタンなどの肉類や、肉気のないニース風サラダでもゆで卵がたっぷり載っていて、ボリューム十分。それにワインやシャンパン、コーヒーをつけると、デザートなんか入る余地はないよ。 僕の鼻が利くせいだけではないと思うんだけど、パリで入る店では外れがまずないのが驚くね。そして、どの店もすごく混んでる。
 日本でもワンプレート・ランチは普通になったんだけど、やはり出されるものがかなり違うと思う。基本的な食材が、フランスのものは味が濃くて固めだということもある。ちょっと固めだから、ポトフにしても野菜が煮崩れにくいんだろうけど。大きな違いは、料理より、横に添えられるものがライスということもあるかもしれない。白いライスをペタッと盛ったものが添えられていると、どうしてもオシャレなランチというより、昼の定食になっちゃう。そんな中で、頑張っている日本のカフェはいい線行ってると思うよ。雑穀米をおにぎりにして添えたり、玄米をドライカレーにしたり、ペッタリというのから脱却しようとしているのがよく分かる。

これからは、ワンプレートをオシャレに演出

 今の日本では、男だけだった世界への女性の進出が目立つように、これも飲食の世界でも同じこと。すでに、親父の砦だった立ち呑みにも、女性が入りやすいように作られたお店も増えている。でも、今の段階ではまだ昔の立ち呑みのイメージから完全には脱却できていないと思う。立ち呑みで出てくる食べ物というと、事前に小鉢に盛られたものとか、小皿で一品ずつ出てくるスタイルが主流。そこにパリ風、ワンプレートを取り入れて、注文を受けた3〜4品をドド〜ンと大きなお皿に“お洒落に”盛り付けて出す。串カツでも、大きなお皿に揚げあがったものを置いていくとかね。皿の形も丸や四角にこだわらず、楕円形でも、いびつでも、アーティスティックなものがいいだろうね。量はあくまでも品よく。運動部の連中が行くわけじゃないんだから、山盛りはありえない。
 立ち呑みで、焼酎も飲めるけどシャンパンも飲める。料理は特にこだわりなく、無国籍料理を大皿に、見目麗しく、食欲をそそるよう、絵を描くよう空間を大切にして盛る。味が美味しいのは当然だけれど、払った値段の倍の価値があるような料理が出てくる、そういったお店があったら僕は喜んで毎日でも通うよ。
 さっき日本のカフェは頑張ってるって言ったけど、写真家としての僕の目からすると、まだまだプレゼンテーションに改善の余地ありだ。例えば、今は無国籍料理風が多いけれど、チャイニーズ、普通に中華って言ってもいいけど、でもワンプレートは十分にできるよ。点心(飲茶)を何品か、大きな皿に盛り合わせればいいんだ。でも、一つの皿に点々とそれぞれを盛るだけでは絶対オシャレじゃない。
 オシャレじゃなきゃ一番のお客様の女性に受けない。そこでどうするか。それがプレゼンテーション。ちょっと葉物を添える。色の取り合わせに気を遣う。蓮華を使った演出をしてみる。ソースの散らし方一つでもその一皿の印象はガラッと変わるからね。そういうところまで手を抜かないできっちりとした仕事をすると、客はちゃんと見てるよ。
 立ち呑みだって同じこと。どうすればお洒落に見えるかな、きれいなものって何だろうと、日常の中でアンテナを伸ばしておくといい。客の立場からしても、美味しく、なおかつ見た目のいい料理が出てくると、「お!いいな」ってなるからね。
 あと、強いていうならば、サービスの質だね。客にさりげなく、気持ちよい時間を過ごせるような空間を提供してくれる。知りたいことに答えてくれる。パリではそんなプロのサービスが街角の小さなカフェでも見られるんだけど、日本ではまだ少ない。そこも考えて欲しいね。
 最後にまとめると、ワンプレートをオシャレに出してくれる、気の利いた店。そして、過剰でないサービスをしてくれる店がこれから流行ると、僕は思うよ。

ワンプレート・ランチの写真

プロフィール

宮本 進(みやもと すすむ)

料理写真と言えばこの人といわれるくらい、料理写真の第一人者。グルメ雑誌、豪華料理本から、食品会社の商品パッケージ用写真、パンフレット用写真や素材まで、広く食べ物を撮っている。「カメラを向けると料理でも野菜でも向こうから『早く撮って』と言ってくるのが伝わってくる」とは本人の弁。その写真は研ぎ澄まされた日本刀のようでもある。 その一方で、年に一度の渡仏では、モノクロで人物、街角などを写す。この3月に大阪の名物料理人・上野修三さんとのコラボで「なにわ野菜 割烹指南」を上梓。

宮本進さん写真

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