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勝手にトレンドウォッチャー 次は絶対、コレが来る!専門家が次のトレンドを大予想!?

飲食店プロデューサー、フードコーディネーター、マスコミ業界人など、食に関わる専門家が「次なるトレンド」というテーマで私論を展開します。当たるも八卦、当たらぬも八卦。さて、今月の専門家は何を予想しますやら…。

3月のゲスト 山本由花 フリーライター 私が気になるもの 黒豚バークシャー

3月はフリーライターの山本由花さんが担当してくれます。神戸新聞社を経て、フリーランスのライターになり、グルメ記事や人物インタビューを沢山こなして来た彼女が、昨秋、長年住みなれた神戸を離れ、東京へと移住。東西の文化の違いを実感している最中とか。カルチャーショックから思いついた食材をこのコーナーで紹介してくれます。ポーク文化の首都圏で奈良の豚肉は流行るのでしょうか。

関東の豚肉文化にカルチャーショック。

 神戸から東京に引っ越してきて、数ヶ月。まだまだ知らないことだらけで、見るもの、出会うもの、全てが新鮮な日々です。いまだ何処か旅人気分が続いているようなもの。
 その一方では、カルチャーショックなる事柄も幾つか経験しました。いわゆる関東と関西の比較論。たとえば関東では油揚げ入りのうどん、そばの両方ともに「きつねうどん」などと、「きつね」を冠しますが、実は関西ではそばの方は「たぬき」と呼ぶんです。だし汁の濃さ加減にしても、やはり慣れ親しんだ関西のとは異なる気がしますね。
 そんな中、愕然とさせられた関東の食文化体験は、自宅近くのカレー屋さんに行った日のことでした。メニューはただ1つ、「カレー」。そして運ばれて来たのは、豚の三枚肉の大きなブロックがドンと、2つ入ったルーと白飯。関西では基本は牛肉、知らされずに豚肉が出て来ることなんてまず有り得ない!とはいえ、その豚肉は角煮の如く、トロトロと舌の上で消えゆく旨味たっぷりの代物で、それはもうたまらなく美味。それでも長年の食習慣が邪魔をし、私にとっては豚肉入りはカレーじゃない!と、かなりの違和感を抱え込んだのです。
 その後、カレー事情偵察にと、老舗有名カレー店に数軒、足を運んでみたところ、最初に食べた迫力ほどの塊肉ではなかったものの、やはりメニューには最初の1行目にポークとあり、ビーフは1番下の段に書かれていて、お店の人のオーダーを通す声も「カレー」と言えばポーク、ほかは「チキン」「エビ」と。
 さらに東京在住の人に尋ねると、肉じゃがもすき焼きも豚肉でしか食べたことがないと言うじゃありませんか!そして言い得てるのが、関西でいう「豚まん」がこちらでは「肉まん」。こうなればもう明らかに、肉=豚の図式になっているんです。肉と言えば牛という関西での常識は通用しないよう。関東の豚肉の勢力に圧倒される日々です。
 実際、私の地元神戸は牛肉入手には恵まれた環境だったのだと今さらながら感じています。スーパーでも当たり前に「神戸牛」と記されたパック入りも、もちろんグレードはあるものの奉仕日にはそこそこの安値となり、日常使い。それもきっと関東で購入するとなると何倍かの値になってしまうのでしょうか。そう考えると、美味しさとお値打ち感のバランスの良さから関東では豚肉に軍配が上がり、様々なお料理へと浸透していったのかもしれませんね。  

山本由花さん写真

作り手の顔が見える、安心、安全。そして旨さ。

 そこで、それほどに関東の方には最も親しみのあるお肉だからこそ、そして関西の方には豚肉の美味しさをもっと知って欲しいという願いから、「安全安心 な」豚肉の生産、加工を手掛ける「ばあくの会」による豚肉をトレンドとして紹介したいと思ったのです。
 出合いは2年前。「作り手の顔が見える」をテーマとする取材で行ったのがきっかけでした。「ばあく」という屋号は黒豚品種バークシャーをかけ合わせて育てられたことにちなんで名付けられたもの。ほかにランドレース、大ヨークシャーもかけ合わせて、生産者オリジナルの自家飼料を配合し、「ばあく」だけの豚を育てあげています。
 その豚舎は奈良県の金剛山中腹の小高い丘にあって、太陽が燦々と降り注ぎ、風が心地良く通り抜ける最高の環境。さぞかしここで伸びやかに育つ豚たちは気立て良しであろうと思いました。

豚肉写真

 ここの謳い文句は「無添加で安全性の高い、自然な美味しさの豚肉」。消費者とつながる思いの強い生産者です。養豚家のご主人と息子さんが豚を飼育し、それを加工商品にして販売するまでを、奥さんとその思いに賛同した近所の主婦たちが手伝っています。また、隣接する農家レストランでは娘さんがその自家生産した豚肉料理でもてなしているんですよ。家族が一丸となって思いをひとつにする、そんな真心までもが味わいとなっているように思えます。
 「ばあく」の肉質はきめ細かく、コクのある味わいを目指して仕上げられますが、飼料の配合も如実に味に現われるとあって肝心。一般にはトウモロコシが主体に使われるところを、肉の締まりの出る大麦や甘みを増して、ふくよかにする小麦を季節や発育などに応じて、細かに調整していくのだそう。そして普通ならば半年で出荷するところを1ヶ月半ほど延長することで肉に十分旨味を蓄え、甘みや香ばしさも加えることで、現在の「ばあく」の肉質を創り上げてきたのです。かなりコストのかけられた豚肉ですが、それでも肩ロースで500g1155円なので、一般の豚肉とも変わらないのでは…。直接取引ゆえの強みなのでしょうね。

美味しさを食べ尽くして、健康になる。

 俗に「豚は鳴き声以外は捨てるところがない」といわれます。
 「ばあく」では全てを食べ切る意味から、薄切りの肩ロース、モモ、バラをセットにした商品があり、我が家ではその商品をよく取り寄せます。届いた包みを開封するたび、しっとりと美しい色艶の豚肉に惚れ惚れ。さらに作り手を知っている「安心」は美味しさをさらに深めてくれることも知り、それを広めたくて、進物にもたびたび使っているんですよ。
 肩ロースは霜降りになっていてコクがあり、モモは脂肪分が少なく柔らかくてダイエットにもオススメ。バラは風味に優れた部位で旨味たっぷり。そんな薄切り肉は鍋もの、キムチ炒め、野菜巻きなど様々なお料理に使い勝手もよく、いつも多めに取り寄せては冷凍室に保存して、大切に使っています。
 写真は我が家の夕飯の1コマ。ごまダレやポン酢の冷しゃぶに飽きたら、時にはイタリアン風冷しゃぶに。湯通しして冷やした肩ロースに水菜や菜の花、スプラウト、イタリアンパセリなど季節の野菜を混ぜ込み、オリーブとピンクペッパーで味にアクセント。ドレッシングは香り立ちがいいので作り立てを。爽やかな一品になります。
 また、一方の鉢に入っているのは、白菜のミルフィーユ鍋。白菜の間にバラ肉をはさみ込み交互にし、適当な大きさに切ったものをお鍋の切り口を上にしてぎっしり敷き詰め、日本酒と水を同量にして煮上げたもの。白菜と豚肉の甘さの相乗効果でとろりと甘く、いくらでも食べられます。
 また、本場ドイツの伝統的な手法で作る骨付きソーセージは山桜の木で薫製にしたもので、絶品。仲間同士のバーベキューなどの集まりにこれを携えていくと一躍人気者になれるはずです。
 ハムも2週間塩漬けにして野菜汁に漬け置き、添加物なしでも粘りが出せて旨味もプラス。そんな手法で作られます。もうどれをとってもオススメの商品ばかりですね。  美味しく食べて健康になる。まさにそれを地でいく「ばあくの会」。お味もさることながら、懸ける思いというのに感動を覚えます。そんなことに思い馳せていると、次なるトレンドは「ばあく」の黒豚バークシャーって思い浮かんだ次第。“旨いモノ”が流行るなら、コレが流行らないわけはないと思うんですが…。

豚肉料理写真

プロフィール

山本由花(やまもとゆか)

神戸新聞社勤務を経て、フリーランスのライターに。広い目線と深い洞察力で企画から編集までを手がける。長年暮らしてきた神戸の街角は隅々まで、目をつぶっていても思い描けるほど。そして昨秋、三軒茶屋に引っ越してきて、今度は世田谷の地元エリアを拡大中。そのお蔭ですっかり日々数時間のお散歩が日課となり、あちらの古本屋さん、こちらのおでん種屋さんへと、発見や出会いを楽しんでいる。自分の居場所探し中、とも言える。著書に「ありがとうシンシア」(講談社)、「介助犬シンシア」(文溪堂)などがある。共同通信社「暮らしのコラム」連載中。

山本由花さん写真

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