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よほどのパン好きじゃないと、この名前は知らないでしょうね。ネットで検索しても4つぐらいしかヒットしませんし、出てきても「エイシーというパンがあるらしい」と曖昧な表現が。日本では全くマイナーなパンですが、中近東では日常的なもので、露店でもよく見かけるほど。まさしく隠れた商品と言えますねぇ。 そもそも私が「エイシー」を見つけたのも偶然のこと。7年前に「地中海手作りパンの旅」(竹野豊子著、講談社刊)という本をある人からもらい、読んでいくうちにこのパンに興味を持ったわけです。私のパン好きは業界でも有名で、フードコーディネーターを志していた頃は毎日家でパンを焼いていました。中学時代に菓子パンに目覚めてから、いかに食パンを美味しく焼くかを追求し、趣味が高じてこの仕事に就いたとも言えますね。 そんな私ですからこの本を手にすると、すぐに「エイシー」づくりに取りかかりました。 最初は竹野豊子さんのレシピ通りに。やがてそれを基に私なりにアレンジを加えて行きました。 |
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このパンの特徴は全粒粉を用いているところにあります。通常のパンは強力粉をメインに作りますが、「エイシー」は全粒粉と薄力粉、強力粉で作るんです。私は竹野さんのように実際、エジプトに行ったことがないので、本場のものは知りませんが、もしかしたら中近東では全粒粉ばかりで作っているのかもしれませんよ。 表面にも全粒粉が付いているから香ばしく、生地にしっかりした粉の味がついているなと実感できるパンなのです。一説によればエジプトってパンの発祥の地と言われるじゃないですか。だから「エイシー」にはパンの原型があるのかなって思っています。 |
では、ここで「エイシー」の作り方を紹介しましょう。 <材料>3枚分
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ドライイースト 4g強力粉 110g 全粒粉 40g 薄力粉 50g ぬるま湯(30℃くらい) 120cc レモン汁 少々 打ち粉用全粒粉 適量 |
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<作り方>
「エイシー」はまず日本のパン屋では手に入れることが無理かも。だから上記のレシピを参考にして家庭で作ってみてはどうでしょう。簡単なんで誰にでもできますよ。 |
では、なぜこれが次代のトレンドかと言うと、昨今のヘルシーブームにその因はあります。一時は白米主義だった日本人も、ヘルシー志向で玄米ごはんを食べるようになりました。これと同じで、イースト菌でふわふわしたパンもいいですが、パンをヘルシーという観点からつきつめて行くと、原点となる「エイシー」に辿り着くのでは、と私は考えます。 フォカッチャだって、ピタパンだってまだメジャーではないかもしれませんが、パン愛好家でなくてもその名前は知っているはず。ベーグルも今ではメジャー級ですが、数年前まではあまり知られていませんでした。ちなみにベーグルはニューヨークのパンと誤解している人も多いようですが、実はユダヤのパンなんですよ。日本人はフランス=パンのイメージが強いようですが、美味しいものは色んな所にあるんですね。 さて、私流に食べ方を伝授するなら、「エイシー」をシンプルにバターやクリームチーズをつけて、生ハムを載せて、ワインのおつまみにすると美味しく食せます。このパン自体に強烈な個性があるわけじゃないので、どんなチーズにも合いますし、オリーブオイルにつけて食べるのも、サンドイッチ感覚で食すのもいいんじゃないでしょうか。 |
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全粒粉が効いていて噛みごたえや食べごたえがあるこの「エイシー」を飲食店で出してトレンドを作ってもらえればというのが私の願いです。特に、これをご覧のカフェのオーナーには、メニューに最適だと私が太鼓判を押しますので、ぜひ用いてみてはいかがでしょう。こうして広めていくことで、今では自分で作るしか食べる道がなかった「エイシー」もそのうち飲食店で食べられる日が来るのではと、密かに考えています。
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