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勝手にトレンドウォッチャー 次は絶対、コレが来る!専門家が次のトレンドを大予想!?

飲食店プロデューサー、フードコーディネーター、マスコミ業界人など、食に関わる専門家が「次なるトレンド」というテーマで私論を展開します。当たるも八卦、当たらぬも八卦。さて、今月の専門家は何を予想しますやら…。

10月のゲスト 武井義明[ほぼ日刊イトイ新聞 企画開発者] 私が気になるもの 永田農法の野菜

10月のトレンドウォッチャーは、「ほぼ日刊イトイ新聞」企画・編集の武井義明さんの登場です。前職では旅行ガイドの編集として世界各地を飛び回り、風景は忘れても、その土地の味は忘れなかったという舌の持ち主、その武井さんが今注目しているのは「永田農法」の野菜です。無農薬やオーガニックという言葉は定着してきましたが、「永田農法」にこだわった野菜とは?その魅力を存分に語っていただきましょう。

芸術家にも似た、農業家の作る優れた野菜たち

 食べることが大好きで、友達と外食に出かけることもわりと多いのですが、作ることも元々好きで、上京してからずっと自炊を続けているんです。食にこだわる仕事でも、コンビニ食で済ましてしまうこともあるので、朝飯ぐらいは自分で作ろうと思って必ず1日1食は自炊をするようにしています。このテーマで頭に浮かんだのは、今、食に対する意識がすごく高くなってきていて、「美味しい野菜」が注目されていることです。私も自炊をするので、自分で使う野菜にはこだわりがありますね。
 そこで私は「永田農法」の野菜に注目します。「野菜への意識の高まり」なんて今更って思われるかもしれませんが、無農薬野菜、オーガニック野菜と言われるものとはちょっと違うんです。「永田農法」の野菜との出会いは、糸井重里さんが永田農法で作った「トマトジュース」を飲んであまりの美味しさにびっくりしたところから始まります。こんなにいいものを作る人をもっと知って欲しいという気持ちから「永田農法」を深く知っていくきっかけが生まれました。
 「永田農法」の創始者である農業家の永田照喜治先生と糸井が出会い、「永田農法」の生産地を何度も訪れ取材をする中で、それぞれの農業家の知識があって、その上に永田照喜治氏の技術が入り、こんなに素晴らしい野菜を作る人が日本中にたくさんいるんだということに驚きました。私たちはその野菜を生産されている方々を、「農家」ではなく「農業家」と呼んでいます。農業に関する知識と技術を集大成して「野菜」という作品を作っている芸術家みたいなものですから、そのニュアンスが「農業家」と呼ぶ方がよく伝わるからです。

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野菜の原産地と同じ環境を再現するスパルタ農法。

 美味しい野菜というとよく勘違いしてしまうのが、無農薬やオーガニックと呼ばれるものだと思われること。「永田農法」では化学肥料も使います。ただし化学肥料といっても、堆肥でも最終的に分解されていくとチッソ、リン酸、カリになるので、純化された肥料だといえますね。それは使い方によっては野菜にとって一番いい環境をつくることができるという理論です。その肥料の与え方が独特で「スパルタ農法」とも呼ばれています。

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 原産地に近い環境を再現することを基本的な考え方としていて、例えばトマトは、元々アンデス地方で育っていたものなので、岩を縫うようにして出来ていたような植物。ですからその環境を再現すればいいんですよ、といった具合いです。葉っぱが枯れるか、枯れないかというギリギリの水の与え方をして、精一杯生きようとしている力を利用するんです。これは植物と環境との戦いのようなもので、植物が生きようとする姿はすさまじいものがありますね。水が少ないと茎や身に毛がびっしり生えて、その毛を触ると、ねっとりとした感触の植物の液のような、うぶ毛が一生懸命捕まえた水が手について、ものすごくいい香りがします。香水と言っても過言ではないでしょうか。そういった形で、原産地での環境を再現し、野菜の生命力を上手に使って育てているんです。余分なものをあげると、ただ太ってしまうだけでダメですね。人間の肥満のようなものです。人間の肥満が体に悪いように、その余分なものは野菜では「アク」となります。いい時期のナスは梨のような味で、果物に例えることができるくらい、アクがなくてスッキリした甘さも感じるくらいなんですね。

おいしい野菜つくっちゃいました。

 ところで「永田農法」の野菜を手に入れるためにはどうしたらいいのか。紹介したいのは、買う方法と作る方法です。作る !?と驚かれるかもしれませんが、農業法を広めていく上で確立された方法がありますから、それを家庭菜園としても作ってしまおうということです。ほぼ日刊イトイ新聞では、糸井が、NHKエンタープライゼスと共同で企画・制作をつづけている「おいしい野菜つくっちゃいました」という番組とのコンテンツがあります。「永田農法」で野菜をつくり、その野菜を使った料理を食べようという番組なんですよ。誰にでも「永田農法」で美味しい野菜が作れる時代がきたら、すばらしいですよね。とはいえ農業家の方も苦労して育てておられるわけですから、簡単にとはいかないかもしれませんが…。もちろん買う方法もありますから安心してください。「りょくけん」というところで通販もしていますし、旬の野菜が何なのかは、「ほぼ日」でもお知らせしています。「りょくけん」は、銀座の松屋にも店を出しているので、私も毎週「永田農法」の野菜を買い出しに通ってるんですよ。  その野菜で作る料理の旨さといったら!野菜に塩とオリーブオイルを振って、ダッジオーブンで焼くだけなんですが、美味しいったらないんです。これだけ簡単に美味しいものができちゃうので、毎日料理をするのも楽しくて。「永田農法」の野菜は作り手の意志がはっきりと伝わってきますし、美味しさで人を感動させられるってすごいですよね。これからは「作った人の顔で野菜を選べる」、そんな時代が来るんじゃないでしょうか。

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プロフィール

武井義明(たけいよしあき)

静岡県の和菓子屋に生まれ、小さい時から父親が練りきりを作ったりする姿を横で見て、男が食べ物を作るということをごく自然に受け入れられる環境に育った。上京してからはずっと編集の仕事に携わり、料理番組雑誌、海外ガイドブックの取材編集など食に関する編集歴を積み重ね、ガイドブック編集ではフロリダ、カリブ、南米、インド、インドネシア、東ヨーロッパ全域等々、世界各地で美味しい物を食べ尽くしてきた。街の地図は忘れても、食べ物の味は忘れず、その舌がどんどん食の世界に自らを引き込んでいったと言う。「ほぼ日刊イトイ新聞」の編集者になってからは、「がんばれ自炊くん!」などの編集に携わり、ダイニング部シェフとしても腕を振るう。一日一膳の自炊生活が板についたペンと包丁が似合う食の達人である。

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