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勝手にトレンドウォッチャー 次は絶対、コレが来る!専門家が次のトレンドを大予想!?

飲食店プロデューサー、フードコーディネーター、マスコミ業界人など、食に関わる専門家が「次なるトレンド」というテーマで私論を展開します。当たるも八卦、当たらぬも八卦。さて、今月の専門家は何を予想しますやら…。

9月のゲスト 株式会社アサヒファミリーニュース社 編集部 部長職 近藤 敏和 私が気になるもの 「無農薬・有機栽培の雑穀」

9月のゲストは朝日新聞系の「アサヒファミリー」の編集に長く携わり、食への造詣が深い近藤敏和さん。彼があげたのは美山町ブランド。中でも「無農薬・有機栽培の雑穀」が流行ればと話す。確かに体によさそうだけど、一体どうして美山の雑穀がいいの?そもそも美山ってどこ?そのあたりからトレンド候補としてる挙げる理由を聞いていきましょう。

あまりの素晴らしさに交流する会を立ち上げた。

 美山町は京都府のほぼ真ん中あたりに位置し、福井県に接しています。その名の示す通り、京都大学の演習林でもある芦生の原生林が町内のほとんどを占める、美しい山の町です。町の歴史は古く、日本海の小浜から京都へと海産物、主に鯖を運んだ「鯖街道」と称される輸送路の一本が通っていたので、交易路として栄えていたんですね。
 そんな美山町の人口は現在約5000人。ところがそこを訪れる観光客は年間70万人にもなります。実はその人々は、約200戸が残る茅葺屋根の民家のある、古き良き日本の山村風景と豊かな自然を求めて訪れているんです。

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 私が美山町を訪れたのは20年以上前のこと。アサヒファミリー主催の夏休み子どもキャンプでした。そして、町を囲む美しい山々、数多く残る茅葺民家、人々の温かさにすっかり惚れこんでしまいました。でも、美山町を訪れるたびに数を減らしていく茅葺屋根の家々を残念に思い、その維持にかなりの費用が掛かること、茅自身を手に入れることが年々困難になっていること、また茅を葺く職人も減りつつあることなどを知るにつけ、何か自分にできることはないだろうかと考えるようになったんですよ。そして、'93年に俳人の稲畑汀子さんを会長として、当時、朝日放送編成局次長だった須田博文さんと共に「かやぶきの里美山と交流する会」を立ち上げることにしました。
 この会は、都会に住む人間が、美山に対して、こうするといいのではないかといった提言をしたり、経済的なサポートを(金銭のサポートだけでなく)するものとして、京阪神に住む人たちから同志を募ったんです。30〜40人も集まればと、思っていたところ、200人以上もの人々が賛同してくれました。その人々をざっと見渡すと、弁護士、料理人、マスコミ関係など多岐に渡ります。有名人では、桂南光さん、涼風真世さん、柳生博さんなども名前を連ねています。

田舎は売るシステムを持っていない

 私たちの会は、かやぶき屋根保存のための基金を拠出したり、地元の名産品、名水などを売り出すサポートをしたりしていたのです。しばらくは、会のほうからの働き掛けが多かったんですが、阪神淡路大震災の時は、会員のほとんどが被災地域に居住していたので、美山町の人々から、米や水、その他を何度も支援してもらい、一方通行の交流ではなかったんだ、と意を強くしましたね。
 私たちから見て、美山ではいい物を作っても、それを売りさばくシステムを持ってないんです。そこで、街に住む私たち会員が支援することで、美山の産品を街で売りさばくことができ、町にお金を落とすことができます。我々が買うだけでなく、都会に住む人たちに美山をもっと良く知ってもらい、そこの品物を買いたいと思ってもらえるようにすることができたわけです。こういうことが経済的サポートになるんです。その一方で、都会に住む我々は、美山の手つかずの自然を楽しみ、癒されるというわけです。
 そして、我々のポリシーとして、美山ではバーベキューをしない、というのがあるんです。都会の人間は、美山の美しい河原に来てバーベキューをしますが、材料も、飲み物も全て、一切を物価の安い都会から運んできて楽しみ、ゴミだけを残して帰っていく。地元には何の恩恵ももたらさないどころか、みんなが帰った後に打ち捨てられたゴミを集め、処理するのはそこに住んでいる人たちです。そういうのは交流とはいえないですよね。

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数ある名物の中でも雑穀がイチオシ

 そんな美山からのイチオシは、色々ありすぎて一つに絞れないんですよ。空弁で有名になったけど、『鯖寿司』が実は美味しいんですよ。この地には福井の小浜に上がった鯖を京都まで運ぶ街道の一つが通っていましたからね。だから鯖寿司が各家庭に伝承されているんですよ。中でも山口さんの鯖寿司が私は好きです。そうそう、元阪神タイガースの掛布選手がTVで絶賛したために品薄になってしまった美山の地卵も美味しいですね。この卵は平飼いといって、放し飼いにして十分運動させて健康に育てた鶏が産んだものです。鶏と言えば軍鶏(しゃも)にいくつかの鶏を掛け合わせて作った京地鶏も美味しいですし、町認定の無農薬・有機野菜も味がしっかりしていて美味しいですね。結局、ポイントは自然のもの。

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つまり、ごちゃごちゃと手を掛けていないものが美味しいということです。その中で一つだけに絞って薦めるとしたら、白米以外の雑穀かな。今、ブームなのか、さまざまな雑穀が市場に出回っていますが、雑穀は美味しくない、食べにくい、といった評価が多いですよね。でも、ここ美山で作っている雑穀は実に美味しいんですよ。勿論、有機栽培です。もち麦などはぜひ一度試してもらいたいですね。これを食べると他の麦なんて食べられませんよ。

 美山町は、街道筋とはいえ主な消費地の京阪神からは、やはりどうしても距離があるでしょう。そうすると日持ちのするもので勝負するしかない。もしくは一加工して鮮度だけで勝負するものでない方がいいことになるんです。そこに、今のマクロビオティックや自然食ブーム、雑穀食ブームを合わせて考えると、穀物を売り出す路線が一番ですね。単なる雑穀だけでは面白くないので、これに色々と合わせ技を加えて――。
 人は今、田舎に飢えているのかもしれません。だから、田舎のにおいのする美山さんがうけるのでしょうね。京阪神からだけじゃなく、東京の人も多く訪れ、リピーターになっていると聞きます。私たちの会もどうすれば再訪してもらえるかを考えていくべきでしょうね。
 勿論、これらの美山の美味は美山町内の飲食店で食せますので、一度足を運んでみてはいかがですか。食べるとやみつきになり、美山が恋しくなる。そうしていくことで美山ブランドができあがっていくのではと楽しみにしています。
プロフィール

近藤敏和(こんどうとしかず)

株式会社アサヒファミリーニュース社 編集部 部長職
18年前、京都府美山町に家を買って以来、ほとんどの週末を美山で過ごす。2週間も行かないとイライラしてくるというほど美山を愛している。
93年に「かやぶきの里美山と交流する会」を立ち上げ、かやぶき屋根の家屋を残すことの大切さを説き、そのための経済的サポートなども平行して行っている。都会の人間が美山に期待するものを判りやすく伝え、そのためにはどうすればいいのか、などを一緒に考え、提言している。その活動が実り、美山町は日本で36番目に「伝統的建造物保存地域」に指定され、また、「観光に成功した町」の第1位に輝いた。これから益々、美山に時間を割いていけるのでは、と楽しみにしているそうだ。

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