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勝手にトレンドウォッチャー 次は絶対、コレが来る!専門家が次のトレンドを大予想!?

飲食店プロデューサー、フードコーディネーター、マスコミ業界人など、食に関わる専門家が「次なるトレンド」というテーマで私論を展開します。当たるも八卦、当たらぬも八卦。さて、今月の専門家は何を予想しますやら…。

7月のゲスト 佐藤優子[チーズプロフェッショナル協会専務理事] 私が気になるもの 「マンチェゴ」(スペインチーズ)

7月のゲストはチーズ研究家としても有名な佐藤優子さん。「ナチュラルチーズというとフランスやイタリアのチーズに目移りしがちですが、佐藤さんが注目するのは少しマイナーな感のあるスペインのチーズ。ドンキホーテの故郷、ラマンチャ地方で作られる「マンチェゴ」はスペインではポピュラーだと言うのですが、日本では今イチ。さて、そのチーズが日本でも流行するのでしょうか。トレンド候補となる要因を聞いてみましょう。

スペインでは最も生産量の多いチーズ

 チーズプロフェッショナル協会理事で、ゆうこ・チーズ・ネットでチーズのことを書いている立場から、これからのトレンドを「マンチェゴ」にしました。「マンチェゴ」はスペインのチーズです。チーズというと、誰しもフランスやイタリアのものを思い浮かべるようですが、スペインのチーズもなかなかいけるんですよ。
 スペインのチーズの特徴は、羊のミルクを使用しているものが多いこと。羊のそれは、牛乳に較べてタンパク質、脂肪といった固形成分が多く、どちらかというと、芳醇な味わいです。洗練されたフランスのチーズに対し、粗野な感じすらします。悪く言えば泥くさい、良く言えば素朴とでも表現したらいいんでしょうか。とにかく味が濃く、美味しいんですよ。
 そんなスペインのチーズの中から、今後注目をすべきなのが「マンチェゴ」です。チーズをよく知る人は「マンチェゴが流行る」と言えば、そんな一般的なものをと言うかもしれません。
 実は私が好きなのは山羊のミルクから作った「ムルシア・アルビノ」なんです。赤ワインでみがいたドライタイプで、ムルシア地方のものなんですが、味が濃く、コクがあり、私のイチ押しです。しかし、この「ムルシア・アルビノ」はマイナーで、扱っている店も少ない。そんなものをトレンドとして挙げるより、手に入りやすい「マンチェゴ」の方がいいのでは…と思った次第です。
 「マンチェゴ」は80年代から日本にも入ってきており、専門店にはよく置いてあるチーズです。スペインでも一番生産量が多く、向こうでは最もポピュラーなものなんです。イタリアと言えばモッツアレラが挙がるように、スペインと言えばまず「マンチェゴ」が挙がるくらいです。

バルの風景によくマッチする

 昨年、スペインに行ったのですが、バルでチーズと注文すると、これが出るんです。タパスで「マンチェゴ」を頼み、ピックで刺してお酒といっしょにやる。つまみの代表的な存在と言ってもいいでしょうね。バルで70才ぐらいのおじいちゃんがコレをあてにビールを飲んで帰って行きました。そのおじいちゃんが立ち呑みで、気軽に話をし、「マンチェゴ」をつまんでいる風景を見たんですが、まさにスペインのバルの光景で、とても印象的でした。
 こんな風景を体験できる店を東京でも見つけました。神谷町にある「バル・カマロン」がそれ。10坪ぐらいの小ぶりな店で、シェフとサービス担当がラテン系のおじさんがやっていて、バルの雰囲気を盛り上げています。
 この店では「ラマンチャのチーズの皿」と言うのがあり、それを注文すると「マンチェゴ」が切られて出てくるんです。よく、日本で本当のバルを再現するのは難しいと言われますが、「バル・カマロン」はとてもスペインらしいお店ですよ。
 ワインとチーズが合うのは当然ですが、私はこのチーズはシェリー酒に合うと思っているんです。これからの暑い日は、冷えたシェリー酒でチーズを食す。これがとてもいいですね。私も自宅でシェリー酒と「マンチェゴ」の組み合わせをよく楽しんでいるんですよ。

スペインはチーズの輸出が遅れた国

 では、なぜそんなポピュラーなチーズが日本で認知されていないのかというと、スペインという国の特性に理由があります。チーズの発達した欧州の国では、日本のように他国からチーズを輸入して楽しむなんていうことは少ないんです。フランスやイタリアは日本やアメリカ向けに早くからチーズを輸出するという事業を行っていましたが、スペインではその体制づくりが遅れており、近年になってやっとワインの輸出に着手。次にチーズの輸出をと、考え出した頃なんです。もともとスペイン人はチーズを輸出するなんて考え持ってなかったんですね。
 日本ではプロセスチーズが発達しており、ナチュラルチーズより売れています。でも、ナチュラルチーズを食べ出すと、その美味しさが理解できるはず。水割りにもワインにも日本酒にも合うのでぜひ試してみて下さい。「パルミジャーノレジャーノ」なんて粉チーズで有名ですが、固まりで食べるとまた別の旨さが味わえ、やみつきになります。
 最後に私が「マンチェゴ」を推す理由をまとめておくと、まず、スペインチーズにしては手に入りやすいこと。そして、羊のミルクで作っているので、味が濃厚で美味。素朴でまとまった味ですね。柔らかいカマンベールはシェリー酒には合わないのですが、ドライで堅いチーズはよく合います。最近、私は「白ワインにチーズを合わせましょ」って推進しているんですが、ぜひ「マンチェゴ」と一緒に飲ってみて下さい。「マンチェゴ」は市販のもので、200g1500円と言うのが目安。モノによって値の高い安いはあるようですが…。
 スペインのチーズはイタリアのように料理素材として使うのではなく、それだけ食べるのが特徴。生ハムやオリーブのように、ワインのあてとして食してみて下さい。
プロフィール

佐藤優子(さとうゆうこ)

'95年にチーズの世界にめざめ、以後、チーズに関して研究を続ける。きっかけは近くのスーパーにチーズコーナーがあり、その品揃えが素晴らしかったこと。同時期に購入した文藝春秋刊の「チーズ図鑑」の影響も受け、チーズの世界へ導かれた。自身のホームページでもある「yuko-cheese.net」ではあらゆるチーズの紹介や情報が満載。'99年にフランスチーズ鑑評騎士を取得、2000年からはチーズプロフェッショナル協会(C.P.A)理事に。東京・横浜・埼玉のNHK文化センターで講師を行っており、チーズの楽しさについての講演も行っている。

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