メーカーとしての花づくり、その難しさにワクワクします!

※サントリーフラワーズ 国内事業部生産SCMグループ 筒井を交えてのインタビューとなります。

脱サラからナンバーワンの生産農家へ

  • 【筒井】
    2005年に入社したころ、わたしは山梨県の白州にある自社農場に勤務していました。商品の生産を委託している中山園芸さんに通いながら、いろいろ教えてもらったものです。全国の生産者を結ぶ仕事をしながら、今でも中山さんのところには月1回はうかがっています。

    【中山】
    わたしは農学部出身で、3年ほど温室のメーカーでサラリーマンをやっていました。全国の農家を回っているうちに花をつくりたいという思いがつのり、会社を辞めて地元に戻ってきました。38年くらい昔のことだったでしょうか。実はわたしの子どものころの夢は、海外青年協力隊だったんですよ。外国で活躍するのに手っ取り早いのは農業。世界の人々の食糧難を解決したいと思っていたんですけど、あいにく英語のほうに才能がなかったので日本で仕事をすることにしました。脱サラして200坪からスタートした農場の敷地は、現在9000坪に拡大しました。サントリーの苗は20ブランド、100種類くらい扱っていて、年間100万ポットの生産をしています。


    【筒井】
    規模でも中山園芸さんは全国ナンバーワンですね。

    【中山】
    スタッフの数は約30人。例えば鉢ごとに乾き具合が違うので、1株ずつチェックしながら水を与えています。水やりというのは乾いたら与えるもので、機械的に毎日与える必要はありません。水やりがうまくないと、その日は大丈夫でも1週間くらい経つと寂しい株姿になってきます。

規格品」を支えるコミュニケーション

【筒井】
サントリーの花は組織培養によるクリーンなクローン苗なので、性質は基本的に均質です。それでも育つ環境によって成長の度合が違ってくるため、微妙な調整が必要になります。全国どこにいっても、大きさや状態がバラバラなものを同じ名前で店頭に置くということはあってはいけないんです。

【中山】
「規格品」ですから、生産者の立場でも誰もがメーカーとしての意識を持っています。全国の苗の品質を揃えるようお互いに心がけていますが、そのとき筒井さんのような方がいないと調整ができないですね。北海道から九州まで全国の生産現場を筒井さんは見ています。環境も人も、栽培の考え方も違います。そこからいろんな知識をもたらしてくれるので、非常に参考になりますね。


【筒井】
植物の育て方って、正解はひとつではないですよね。いろいろな正解があるから、メーカーのやり方をガチガチに押しつけることはできない。一人一人がかけがえのない知識と技術をもっています。それをどう融合させるかが、わたしの仕事だと思っています。そういう意味でも、わたしにとっては中山さんから教えられることのほうが圧倒的に多くあるといえます。
新商品の生産をお任せしたり、将来的な商品候補の品種を試験的に育ててもらったり。中山さんから得られる栽培の情報や特性はとても重要です。開発段階で数鉢から数十鉢レベルで見ていたものも、生産という段階に入って量が増えるとまったく違います。具体的には屋外できれいに花がつくのに、屋内では日照不足から花が落ちてしまうとか。そうしたトラブルの対応策を一緒に考えていくこともあります。

【中山】
例えばサフィニアは、現在14品種あるのですが、花色によっても生育のスピードが違います。それらの納期をぴったり揃えるために、さし木する時期をずらすといった調整をしています。しかも、3月の1週目、2週目、4月……と納期に合わせていくつもの工程を同時進行します。出荷期の後半は温度が上がってくるなど、成長スピードが急に早くなることもあるので、温室の温度を下げるなどの対策をとります。1週間の天気も当然頭に入れて、翌日に雨が降ると分かっていれば、水を控えて調整。だから一日に三回くらい天気予報をチェックするのがクセになっています。


【筒井】
そういう苦労をいろんな品種でおこなうのは大変なことです。通常、生産者さんには多くても3品目くらいしかお願いしないのですが、水管理も納期も工程も違う、いろいろな品種を何十種類もお任せできるのは中山さんのところだけです。すべての品種の管理を把握しながら、この規模で同時に管理していくのは凄いことです。

【中山】
わたしのところでは、サントリーさんの商品以外にも、冬はオリジナルのシクラメンを生産しています。オリジナルの商品は、環境や気候に合わせて育てられますし、できた段階で出荷すればよいので楽といえば楽。一方で規格商品はコントロールが必要です。むしろ技術的にハイレベルだからおもしろいですね。大変だけど凄くワクワクします。思うようにできたときは、非常に嬉しいですよ。

わたしの花語り【はながたり】

【中山】…サフィニア ※1
サフィニアは、最初におこなった仕事ですから格別です。パープルのイメージが圧倒的な印象として残っています。26年ほど昔、岐阜県が「花の都」を提唱したとき、東濃地方の生産者に「サントリーの花を育ててみないか」と声がかかりました。十数軒のなかで、たまたまうちがサフィニアを受けもったのが縁でした。思い出深いですね。


【筒井】…サンパラソル ※2
思い入れがあるのはサンパラソルです。いろいろなトラブルがあって、温度が必要で、さし木にもコツがいる。未だに苦労しているけどそこが楽しい。だからいつも気になっています。実はもう一つ挙げたい花がありまして、わたしは高校から農業高校で園芸を学びました。卒業するとき恩師から株分けしてもらったのが、それまで培養を学んだ素材のフウラン。だから特別な花といえばフウランです。

  • ※1・・・サフィニアの商品ページはこちら
  • ※2・・・サンパラソルの商品ページはこちら
  • ■取材日:2015年11月27日

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