バイオ技術で培うスーパーエリート苗

バクテリアもウイルスもゼロの苗づくり

わたしの仕事場はグローバル ブリーディング&リソースセンターの中にあるラボです。
ここで植物の組織培養をおこなっています。グローバル ブリーディング&リソースセンターはサントリーフラワーズの育種開発の中心。新品種の商品化には組織培養による苗づくりが不可欠ですから、開発と培養のスタッフはいつも情報交換しています。年間で今、1000品種ほどの新しい候補が育種から選抜されてきます。その全てを培養するのもわたしたちの仕事。選抜前の試作段階からクリーンな苗にしておくことが、サントリーフラワーズの品質に対するこだわりだからです。植物の芽の先端や脇芽を顕微鏡で見ながら、0.2〜0.3mmの成長点を取り出しチューブやシャーレの中で培養します。こうすることで、バクテリアに侵されていないクリーンな苗を育てることができます。苗が10cmくらいになったら、バクテリアが入っていないか、再度検査します。次に温室に移して管理し、花や形態を確認。ここで、さらにウイルス病の検査をします。一連の検査に合格したものが「スーパーエリート苗」と呼ばれる培養苗として認められます。
世界標準であるオランダNaktinbowのスーパーエリート(SE)システムと同等の基準でサントリーフラワーズ品種の培養苗は管理されており、国内だけでなく、アメリカ、ヨーロッパにも輸出される高度なクリーン苗となっています。

培養技術は職人芸!

  • 例えば、メスで成長点を切除するときに、そこからバクテリアが入ってしまうこともあります。300℃の高温滅菌のあとアルコールに漬けて消毒したメスを何本も用意しておき、常に無菌のメスを使うようにするなど、作業には細心の注意を払います。
    通常はシャーレに植物を置いて、ピンセットで押さえて切りますが、わたしは顕微鏡をのぞきながら植物を手で持ち、もう一方の手でメスを持って、自在に角度を変えながら作業をします。こうすると、効率がよい上に、空中に保持しているのでバクテリアの汚染も防ぐことができます。とても細かい作業で「手が震えないんですか」とよく聞かれますが、そこは職人芸。もし外科医だったら、わたし、すごく腕のよいお医者さんになれたかもしれません。

顕微鏡が大好き

  • 中国山西省の出身で、バイオテクノロジーを学ぶため日本の大学に留学し、6年間培養の研究をしました。その後、サントリーの研究センターで植物の研究に携わり、グローバル ブリーディング&リソースセンターにきて12年になりました。
    もともと細かい作業が大好きで、顕微鏡なら何時間でものぞいていられます。どれだけ忙しい時期でも、いろいろな雑務を終えたあと、夕方になって顕微鏡の前に座るとホッとしますね。

わたしの花語り【はながたり】…サンパラソル※1

新品種の候補として、はじめてサンパラソルの赤い花を見せられたとき、これは素晴らしいと思いました。今でも、一番好きな花です。このシリーズに足りないのは黄色い花。サンパラソルの原種には1種類だけ黄色い花があり、いつかそれを利用して育種された黄色品種を商品化したいですね。サンパラソルの培養は非常に難しいですが、難しいことにチャレンジするのが好きですね。

  • ※1・・・サンパラソルの商品ページはこちら
  • ■取材日:2015年11月13日

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