世界中の開発拠点をつなぎます

スタートは手づくりのビニールハウス

大学で野菜の育種を研究していたわたしは、1987年にサントリーに入社したとき、ワインのためのブドウの育種を目指していました。当時はアグリビジネスが注目され、サントリーもお酒のビジネスから視野を広げつつあった時代。サフィニアのアイデアをきっかけに花事業部が生まれ、わたしも花に方向転換をしたわけです。
当初、開発の拠点は大阪の水無瀬にありました。温室は手づくりのビニールハウスで、温度管理も植物がやっと枯れない程度の暖房設備のみ。それが、いまや広大な敷地に多くの温室が建ち並び、社員と派遣社員さん50名近くが管理しています。当時に比べ、規模も効率もスタッフの数も全然違いますね。

豊富なアイデアを交通整理

  • ここ近江のグローバル ブリーディング&リソースセンターで、わたしは新品種を生みだすための技術開発から、増殖、生産、海外市場の開拓など、さまざまな分野を統括しています。
    見る人が目を見張り、感動を覚えるような花をつくるのがわたしたちの目指すところ。とはいえ育種開発のブリーダーさんはアイデア豊富な人が多すぎて、本当に色々な植物が持ち込まれます。オーストラリアの開発チームからは、聞いたこともない名前の植物がドッと送られてくることも。
    どんなに未知の植物でも、まずは病気などに感染していないかを調べ、とりあえずは育ててみなければなりません。土や水やりの頻度、温度管理など、すべて白紙の状態から手さぐりでのスタートです。
    食虫植物のアイデアが出たこともあります。植物としておもしろくても、ビジネスとして大きく展開できるかどうか。そこを冷静に判断しなければなりません。

新たな研究拠点も誕生

  • 2015年5月、サントリーホールディングスは、大阪のけいはんな学研都市にワールドリサーチセンターを設立しました。グループ企業各社の研究機関を集約した研究開発拠点です。サントリーフラワーズの拠点も置かれています。ここで専門的に扱うのは、組織培養や病理研究など、バイオ分野での先端技術。グローバル ブリーディング&リソースセンターにもラボはありますが、より先進的な研究に特化した施設です。ここで開発した新品種の素材をグローバル ブリーディング&リソースセンターでの育種開発に取り入れていくことで、さらにユニークな品種が生まれていくことでしょう。

無駄なく時間をつかう工夫

国内外の開発拠点をつなぐ仕事柄、わたしはベトナムやオーストラリアへの出張、オランダやドイツの取引先など、毎月数回は海外へ出かけます。移動も多く、机の前に座ってじっくりものを考えるという時間はとれません。日本にいるときは、開発現場である温室にいることがほとんど。時間がもったいないので、例えば温室の掃除など、考えなくてもできる仕事をしながら頭を働かせるクセがついています。

わたしの花語り【はながたり】…サフィニア※1

サントリーで好きな花を挙げるなら、やっぱりサフィニア。ひとつひとつの花がきれいなのはもちろんですが、この花が大ヒットした25年ほど前、通勤電車の窓から見えるどのマンションのベランダからも、きれいな花がたくさん垂れ下がっていました。その印象は今でも忘れられません。ヨーロッパでもサフィニアがきれいに街並を飾っています。ひとつの花で、町の風景を変えることができる。「花の力」を一番最初に感じた花です。

■鈴木賢一 プロフィール
2002年、日本独自の技術を開発し、バーベナの品種改良に成功、「花手毬(はなてまり)コーラルピンク」※2として発売したことが高く評価され、実用化された顕著な研究成果に対して与えられる日本植物細胞分子生物学会で『技術賞』を受賞した。当時のニュースリリースはこちら

  • ※1・・・サフィニアの商品ページはこちら
  • ※2・・・花手毬の商品ページはこちら
  • ■取材日:2015年11月13日

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