1輪の花のうしろに、たくさんの花がかくれています

1つの品種に5年から8年

わたしが担当しているのは新しい花の開発です。具体的には、交配をしてタネを採り、そのタネをまいたらどんな花が咲くかを見ます。最初の結果がでるまでに2年くらいかかります。何千という株を育て、その中から、おもしろい形や美しく鮮やかな色の花のものを選抜し、育てやすさ、病気への耐性、ちゃんと商品として増やすことができるのか、全てチェックするのに、だいたい5年から8年くらいかかります。
店頭で「新発売」とうたわれている品種は少なくとも5年前、ものによっては10年前から手がけてきたものが、やっと世に出ているわけです。それを毎年、日本で10品種ほど、海外にも10数品種を新たに送り出しています。
「新品種」といっても、同じブランドに花色や花びらのかたちなどのバリエーションを加えるだけのこともあれば、まったく新しいブランドを立ち上げることもあります。新ブランドとなると開発のハードルはより高くなります。

サプライズのある花を

  • 開発の流れをおおまかにご説明しましょう。
    まず「こんな花をつくろう」というアイデアがあり、それを達成するための素材になる花の交配組み合わせを検討します。そして、ときにはバイオ技術の助けを借りながら交配をおこないます。当然、思うようにはいかないので、いくつもいくつもやってみます。ここがいちばん時間のかかるところです。トライアンドエラーを繰り返し、その中でいいものができたとなればそれを押し進める。花が綺麗でも病気に弱ければ使えません。すぐに草姿を乱すような花もダメ。さし木で増やすのが難しいものはあきらめます。もちろん、サントリーが大切にしている「育てやすさ」も決め手のひとつです。
    こうしてやっと新商品の候補が絞り込まれます。それを組織培養で増やし、商品化していくのが次の手順です。1品種の花が商品になる陰には、あきらめて捨てられた何千もの花がかくれているのです。もちろん「これはいける!」と思っていても、ヒットしないこともあります。それだけに、花を見て「驚いた」「やっぱりサントリーだね」「どうやってつくったの?」という声をいただくと嬉しいですね。

ワインのつもりが花の世界に

  • もともとわたしは大学では果樹の栽培を学んでいました。サントリーには、ワインの原料であるブドウをやるつもりで入社したのですが、花の事業がはじまって以来ずっと花にたずさわることになり、結局ワインは飲むだけになりました。
    考えてみれば、ブドウは花に比べると育つのに時間がかかります。例えば新しいブドウで新しいワインをつくろうと思ったら、新品種をつくってから実をつけて醸造して、ねかして、それから結果が出るわけです。それに比べたら時間がかかるといっても、花のほうがまだ開発時間は短くてすみますね。

わたしの花語り【はながたり】…プリンセチア※1

普通のポインセチアには見られない美しい色で、室内を飾る鉢物として世界的にも評価をいただいています。特に日本の家庭では、家の中に鉢花を飾る機会は限られているかもしれません。これまでと違った花の楽しみ方で、生活に彩りが広がるといいなと思います。

  • ※1・・・プリンセチアの商品ページはこちら
  • ■取材日:2015年11月12日

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