ゾーニング。50年後、100年後を見据えた森林整備の基本

ゾーニング

撮影地 京都府長岡京市奥海印寺他
撮影時期 2011年9月〜2013年5月

「サントリー天然水の森」で進める、
“水と生命(いのち)の未来を守る”森づくり。
その基本は、森をつぶさに見つめて、エリアごとに
最適な整備計画を立てる<ゾーニング>を
きちんと行うことです。

ゾーニング

50年後、100年後を見据えた森林整備の基本

ひとつの森にも、多様な姿。

日本各地17カ所に広がる「サントリー天然水の森」。
今、日本の森が同じように抱える問題点のいくつかが
共通して見られることはあっても、
どれひとつして、同じ森はありません。

そればかりか、ひとつの「天然水の森」をとっても、
ちょっとした場所の違いで、さまざまに異なる様子をしています。

標高、尾根筋・谷筋、斜面の向き、傾斜の度合い、
地質、森が歩んできた歴史などなど、
いろいろな要因が複雑に絡み合う条件の違いで、
場所ごとの植生(=生えている植物の種類や状態)が
大きく変わるからです。

適切な森林整備の基本、<ゾーニング>。

エリアごとに違う。そんな森を、一律に捉えて、一様に整備するのでは、水を育む力と生物多様性に満ちた、健全な森づくりは望めません。

そこで大切になってくるのが、
<ゾーニング>をしっかりと行うこと。
つまり、植生のありかたや森林のタイプごとに
きちんとしたエリア区分を行い、
エリアごとにどのような森を目指すべきか理想像を思い描き、
最適と思われる整備計画を立てることです。

<ゾーニング>は、
より適切な森林整備を行っていく上での
基本となります。

現在を調べる。過去を知る。未来を予測する。

適切な<ゾーニング>を行う上で
まず欠かせないのが、森の現状を知る“植生調査”を綿密に行うことです。
そして、仮に今後、何の整備も施さなかったとしたら、
そのエリアはどういう森になっていくのかを予測します。
より正確な予測のためには、そのエリアが、
どのような足取りをたどって、現在のような姿になっているのか、
森の来歴を知ることも欠かせません。

森林整備の基本となる<ゾーニング>。
それは、エリアごとに、森の現在と過去と未来とを
紡ぎ合わせる作業でもあります。

エリアごとに最適な整備計画。

さて。“植生調査”を行い、森の過去を知り、森の将来像を思い描いた時、
特に手を加えなくても森の多様性が保たれると予測できる区画もでてきます。
そうしたエリアでは、森の推移の様子を見守ることにします。
数年後、数十年後、何らかの理由で整備が必要な状態になったとすれば、
その時に有効な手だてをこうじる、という考え方です。

こうした判断を下すのも、<ゾーニング>の重要な側面です。
けれども、日本の森は、その多くが、一度は人の手が入った歴史を持って
いますから、ほとんどの場合、何らかの整備を必要としています。

例えばそこが、放置されたスギやヒノキの人工林であれば、
適正な間伐などの作業が欠かせません。
思い描く森の将来像によっては、すべてのスギ・ヒノキを伐採して、
新たに広葉樹などを植える計画を立てる場合もあります。

かつては、薪や炭、腐葉土などの供給源として利用されてきたのに、
ここ数十年、人の手が加えられなかった場所では、常緑の広葉樹がはびこり、
真っ暗な森になっているケースが多く見られます。
そうしたエリアでは、常緑の樹を伐って、森の中に光を取り戻すことで
多様な植物の再生をうながす場合もあります。

ひとつの森も、つぶさに見れば、実に多様な姿をしています。
その多様性にそくして、多様な整備方法を用意する。
“水と生命(いのち)の未来を育む”森づくりにとって、
<ゾーニング>は、基本となる重要な要素なのです。

  • 日本各地の「サントリー天然水の森」。
  • ひとつの「天然水の森」も、場所場所で、多様な姿を見せてくれます。
  • 上の図は、「サントリー天然水の森 きょうと西山」の
    2014年4月現在の植生を示したもの。さまざまな種類の樹々が、
    モザイク模様を成して入り組んで生えているのがわかります。
  • さて。上の植生図を起こすために欠かせないのが、植生調査です。
    まず、航空写真をもとに、大雑把な植生の予察を行い、
    それぞれの群落・群衆の中で、10m×10mの調査区を設定して、
    その中に生えている全ての植物を調査・記載していきます。
  • 上は、植生調査をもとにした、森の未来予想図。
    仮に何の整備も行わない場合、100年後に
    どのような森になっていると思われるかを表したものです。
  • 現在の植生をつぶさに知り、何も手を加えなかった場合の森の未来像を予測したら、
    次に、森を将来目指す姿に誘導していくために必要な整備計画を、
    各エリアごとに立案します。整備作業を行って、森がどのように姿を変えていくか、
    長い目で見守り続け、また別の整備が必要と思われれば、その時々で対応していく。
    <ゾーニング>による整備計画に基づいて、50年、100年先を見据えた、
    順応的な“水と生命(いのち)の未来を守る”森づくりが続いていきます。