2026年10月 9日
#1037 野中 健吾 『いちばん美しいスポーツ』
新人センターの野中選手。ラグビーの最大の魅力をチームスポーツであることに見出す、野中選手の思いを聞きました。(取材日:2026年8月上旬)
◆アタッキング・ラグビーが魅力
――同じ大学から同じセンターというポジションで入団した福島選手とは、何か話し合ったりしたんですか?
いや、特にはなくて、もともと僕はサンゴリアスに来たくて、早めに決まりました。秀法(福島)に関しては、そのあと時間が経ってから決まったみたいです。
――もともとサンゴリアスに来たかったというのは?
僕はアタックが好きなので、アタッキング・ラグビーというところがいちばんの魅力だと、小さい頃からテレビを見ていて思っていました。憧れの場所でもあったので、僕は一択でした。
――ラグビーの面白さはアタックですか?
そうですね。そこがいちばんの醍醐味かなと思います。チームとして一体感のあるアタックは、ラグビーにおいて素晴らしいところだと思っているので、どこからでも攻めたり、全員がひとつのことにフォーカスしてラグビーするというところが、僕のラグビー観とマッチするところだと思います。
――グラウンドに立つ選手が1チーム15名と多いラグビーが、スポーツとしての魅力を感じるところですか?
そうですね。やっぱりそこが、僕がスポーツをやる上で好きだと思うところです。個人スポーツなどいろいろありますが、やっぱり団体スポーツが好きだと思いますし、その上でラグビーはひとりひとりが助け合ってひとつのものを作り上げていくので、いちばん美しいスポーツなんじゃないかと思っています。
――今までの個人スポーツの経験は?
水泳をやっていましたが、自分でしか高められないというところに難しい部分があると思います。団体スポーツは横にライバルがいたり、一緒に助け合っていく中で自分のレベルも上がりますし、切磋琢磨して一緒に成長できるところが魅力だと思います。
◆波を作らずに一貫性を持ってやる
――ラグビー選手になるために意識したこと、努力したことは、自分に波を作らないことということですが、どんな波でしょうか?
もちろんミスをしたりはしますが、自分のスタンダードをブラさずにやり続けることで、信頼されるプレーヤーになるということを大学で学びました。その中でミスもあれば成功もあると思いますが、しっかりとメンタルも整理しながら、波を作らずに一貫性を持ってやるということを、自分の中で大事にしています。
――高校までは波があったんですか?
高校2年くらいまでは、ミスをしたら「どうしようかな」という感じはありましたが、それ以降は一喜一憂し過ぎないことを大事にして、自分に出来るところのスタンダードは最大限高くするということを意識し始めました。
――一喜一憂しないコツは何ですか?
トライしたら嬉しいですし、トライされたら悔しいですけれど、試合が終わるまでは結果はわからないので、試合が終わるまでは気持ちをブラさないようにしています。
◆チームをどれだけ愛するか
――高校でバイスキャプテン、大学ではキャプテンですね。みんなで作っていくというところとリーダーシップとのリンケージは?
大学ではキャプテンということで、どれだけ周りを巻き込めるかがいちばん大事だと思いました。同期もそうですし、チーム全体をどれだけ巻き込めるかを常に意識していました。そこで自分の意見はしっかりと伝えて、チーム一丸で戦わないと早稲田としては勝てないとわかっていたので、全員が同じ方向を向けるように1日1日努力していました。人が多いですから、僕ひとりだけじゃ無理なことはわかっていたので、いろいろな同期やリーダーがいる中で、いろいろな人を巻き込みながら、ひとつにしていきました。
――キャプテンをやって面白いと思ったところは?
最初は違う方向を向いていた人が、コミットして一緒に戦っていく中で、同じ方向を向いて最後に勝てたこと。一緒に戦えたことはとても嬉しかったですし、そういう試合メンバー外の選手が本気で応援してくれている姿を見ると、このチームでキャプテンが出来て良かったと思いました。
――チームを同じ方向を向かせるポイントは何ですか?
コミュニケーションもそうですし、チームをどれだけ愛するかがいちばん大事だと思います。チームを愛すると無意識に頑張るので、そういう人がひとりでも増えれば、コミットして全員が同じ方向を向いて戦えると思います。
――どうやってチームへの愛を作っていくんですか?
まずは仲間との絆が大事だと思いますし、それに加えチームの文化を知ることも大事だと思います。やっぱり仲間がいてのスポーツだと思うので、一緒に戦うメンバーを知りながら、その中でチームを愛して、このチームのためにどれだけ頑張ろうと思えるかがいちばんだと思います。
◆目の前のことをひとつひとつ丁寧に
――サンゴリアスの文化はどうですか?
常に強いチームというイメージがあって、日本のラグビーを引っ張っているという印象があります。日本のラグビーの顔じゃないですけれど、僕にはそういうイメージがあるので、常に勝っているイメージもあります。そういうところがサンゴリアスだと思います。そして、やっぱり優勝を目指すことがいちばんだと思います。
――大学時代に好きな選手・目標とする選手としてサンゴリアスOBの佐々木隆道さん(現ヴェルブリッツ・アシスタントコーチ)を挙げていますね
僕が大学3年の時にヘッドコーチをやられていて、いろいろとコミュニケーションを取りながら、僕が落ち込むこともあったんですが、そういう時にはコミュニケーション量を増やして、一緒に戦ってくれた方です。人間的にもラグビーのコーチとしても、プロフェッショナルなコーチだと思いました。本当にあぁいう人になりたいと思いました。
大学4年の時には、ちょくちょくグラウンドに来てくださっていたので、その時にもコミュニケーションを取らせてもらいました。今はトヨタでコーチをされていますが、ライバルチームにいるからアドバイスをくれないという人ではないですし、質問をすれば真摯に答えてくれるので、本当に人間として素晴らしい人だと思っています。
――佐々木隆道さんは現役時、日本代表になりサンゴリアスではキャプテンも務めましたが、そういう道を目指していますか?
あまり先のことはわかりませんが、今の自分にフォーカスしながら、目の前のことをひとつひとつ丁寧にやっていきたいと思っています。
――得意なプレー・注目して欲しいプレーは、クイックハンズとのことですね
ハンドリングには自信があって、細かい動きも得意なので、そこは僕の武器かなと思います。
――試合を見ていれば、よくするプレーですか?
いや、ずっとクイックハンズというわけじゃなくて(笑)、そういうプレーを出す状況になればやります。
――それこそコミュニケーションが取れていないと上手くいかないプレーなのでは?
そうですね。仲間がどこにいるか把握して、コミュニケーションを取った上でのプレーだと思います。
◆チームみんなで一緒になって勝つ
――お父さんもお兄さんもラグビーをやっていたそうで、ラグビー一家なんですね
そうだと思います。
――自然にラグビーを始めていた感じですか?
そうですね。気がついたらラグビーをやっていましたね。
――子どもの頃はラグビーのどこが面白かったんでしょうか?
何が面白いかという明確なものはなかったんですけれど、やっぱりチームで勝つというところが良かったと思います。個人じゃなくて、チームみんなで一緒になって勝つというところに、面白さを感じていたと思います。
――子どもながらにみんなで話し合ってということもあったんですか?
いや、そこまで深いものはなかったですけれど、ほぼ友だちとラグビーをやっていたので、そういう仲間と一緒に戦って喜べたところに、ラグビーの素晴らしさを小学校の時に学びました。
――勝つためには大変なことも多いと思いますが、勝つ喜びはその大変なことを忘れるほど大きいものですか?
大きいですね。ただ小学校の時なので、みんながそこまで勝ちを意識しているわけじゃなくて、みんなと一緒に戦って勝てたら嬉しいですし、負けたら次は頑張ろうという感じでした。やっぱり勝った時の喜びは大きかったですし、小学校なのでいろいろな選手が試合に出て、その中での1勝の重みには楽しい思いがありました。
――友だちが好きという感じですか?
そうですね。みんなと一緒に何かを成し遂げたいという気持ちが強いので、そういうところが僕のプレーにも出ているかなと思います。ラグビーをする上で、とにかくチームのためにと意識しています。
◆よりラグビーが動く
――これからもラグビーを続けていくと決めたのはいつ頃ですか?
中学2年の時に、全国大会で日本一を目指しました。本当に勝ちにこだわって毎日取り組んだので、それで勝った時の喜びはまた違ったものがありましたし、そういう積み重ねがあったからこそ勝てた喜びがありました。それを感じてよりラグビーの素晴らしさを感じましたし、そこで変わったと思います。
――勝つことの喜びの中には、自分の貢献度も関係していますか?
試合に出て貢献するというところが僕の中でのスタンダードだったので、最後の勝ち負けはありますが、勝つことだけでなく、同じ日本一という目標に向けて1日1日を全員でやり遂げる過程に、素晴らしいものがあると思います。最後に勝つのは1チームですけれど、負けたとしてもそれまで歩んだ1日1日は、最高な日々になるんじゃないかなと思っています。
――毎日一生懸命やるためのコツはありますか?
仲間がやっているからやる、ということも大きいと思います。ひとりじゃキツい時もありますが、横にいる仲間と助け合いながら「こいつがやっているならやろう」というのが、やっぱりラグビーかなと思います。ひとりだけじゃ出来ないので、全員でというところが魅力なんじゃないかなと思います。
――大学の途中でポジションがスタンドオフからセンターに変わりましたが、それについてはどうですか?
僕の持ち味からすると、センターの方がチームに貢献できるんじゃないかなと思います。
――それはなぜですか?
12番からボールを動かせるということが、ラグビーにおいて大事かなと思います。その上で僕が12番にいると、よりラグビーが動くと思います。
――12番をやってみて、こっちの方が貢献できると感じたんですか?
もともと12番だったんですよ。12番をやっていて10番、そして12番に戻りました。
――12番の面白さは?
10番よりも時間がある中で、相手と駆け引きが出来るというところでしょうか。スペースを見る時間もありますし、スペースを見ることができて、仲間としっかりとコミュニケーションが取れるところが、面白さだと思います。
◆高いスタンダードでプレーし続ける
――サンゴリアスに入ってみてどうですか?
やっぱりいちばんは、フィジカルだと思います。そこの成長は、しっかりと示さないといけないと思っています。いちばんの差はフィジカルですね。
――半年やってみて、その差は埋まってきましたか?
いや、合流して最初の段階で怪我をしてしまったので、そこの差はまずは自分にフォーカスするところなんです。その差を縮められているかはわかりませんが、とにかく今は自分にフォーカスして、復帰に焦点を当てています。次のシーズンに向けては、大丈夫です。
――課題はフィジカルですか?
そうですね。まだまだ足りないところだと思います。
――もともとフィジカルへの自信は?
そうですね。自信というよりも、負けない身体作りは出来ていたかなと思います。
――次のシーズンでの目標は何ですか?
まずは試合に出場することだと思っています。その中でチームのやるべきことにフォーカスして、チームに貢献することがいちばんの目標です。
――試合に出場する自信は?
自信はありますけれど、今の自分の身体のコンディションをもっと高めないといけないと思っています。まずはしっかりと自分にフォーカスすることが、いちばんだと思います。
――もう少し先の目標はありますか?
やっぱり日本代表は目指したいところだと思います。次のワールドカップは厳しいかもしれませんが、その次のワールドカップは自分の中でもターゲットにしているので、それに向けてひとつひとつ頑張っていきたいと思っています。
――ファンの皆さんに期待してもらいたいところはどこですか?
僕の自信のあるところは、80分間通しての一貫性あるプレーなので、高いスタンダードでプレーし続けるところが僕の強みになるので、派手なプレーは出来ませんが、チームをしっかりと支えて、勝利に貢献できるようなプレーヤーになりたいと思っています。
――ボールキャリー、タックルスキルに長けていると書かれた記事を読みましたが、自分としてはどうですか?
ボールキャリーのところは、圧倒的な強さはありませんが、しっかりとフットワークを使いながらやらないと生きていけない世界だと思っているので、そこは成長しないといけない部分だと思っています。タックルについてもめちゃくちゃ強いわけではないので、もっともっと成長しなければいけないと思っています。
――タックルスキルについてはどうですか?
タックルスキルについては自信を持っているので、これから武器にして頑張りたいと思います。
(インタビュー&構成:針谷和昌)
[写真:長尾亜紀]